その日の放課後、美化委員の集まりに行くと、そこには榊がいた。同じクラス、隣同士で座ることが決められているため、榊の隣に座ったところで「間山」と榊が言った。
「朝宮のこと、ぶっちゃけどう思ってんの?」
「え?」
「あんなにも露骨に好意向けられて、間山はどう思ってんのかなと」
「……いい奴だとは思う」
そう、悪い奴ではない。
ただ俺へ向けられた矢印がかなり大きく、愛情も偏っているとは思うけれど。
「俺も朝宮はいいと思うよ。友達だからとかじゃなくて」
「そうなの?」
「イケメンじゃん」
ああ、と納得するしかない反応が出てくる。ほかにも性格の面でいろいろと出てくるかと思ったのに、どうやらそうではないらしい。
「っていうのはさておき」
「おくんだ」
「間山を好きになる前の朝宮は、なんていうか、AIみたいな奴だったから」
「AI? 完璧すぎってこと?」
「それもあるけど、感情がないっていうか。表情とかもほとんど変わることないし。なんかデフォルトのままみたいな」
言われてみれば、朝宮が爆笑するような姿も、激怒したところも今まで見たことはない。
でも笑ったりはするし、静かに怒ったりもしている。だからAIという表現が俺にはぴったりはまらない。ただ、感情豊かかと言われればどうなんだろう。
「でも、俺の前でもそんな感じだよ」
「俺らから見たら違うんだよ。間山といるときの朝宮は、こんな顔するんだ、みたいな」
一緒にいる榊たちもそんなことを思うのか。それは意外だ。
「俺の前では、どんな顔してんの、朝宮」
「柔らかくなるっしょ、間山の前にいる朝宮って」
それは俺も見たことはある。あれは俺を怖がらせないようにしているものだと思っていた。
なんというか、小さな子どもに、俺は無害ですよ、と知らせるためみたいな。
「本気で間山に骨抜きにされてんだなって俺は思うわけよ」
「骨抜きって……そんなことしたつもりはないけど」
「無自覚だとしても、俺から見たらそう見えるんだよ。朝宮が人を好きになるって、それだけ珍しいことだから。たぶん、俺らのこともそんな好きじゃないと思うし」
「え」
友達なのに、そう思ってしまうことはなんだか悲しい気がした。でも榊は別にそこを気にしているわけではないようで「でも友達ってそんなもんだから」とさっぱり言う。
俺はぼっちを貫いてきたから、理解者になることは難しいけど、榊たちの関係性を見ていると羨ましいなと思うことはある。
約束もなく、無条件に一緒にいられる存在というのは、そう簡単に手に入るものではない。
俺も朝宮と一緒にいるのは嫌いじゃないけど、朝宮が俺のことを友達だとは思っていないからまた関係性は違うのだろう。
「朝宮のこと、ぶっちゃけどう思ってんの?」
「え?」
「あんなにも露骨に好意向けられて、間山はどう思ってんのかなと」
「……いい奴だとは思う」
そう、悪い奴ではない。
ただ俺へ向けられた矢印がかなり大きく、愛情も偏っているとは思うけれど。
「俺も朝宮はいいと思うよ。友達だからとかじゃなくて」
「そうなの?」
「イケメンじゃん」
ああ、と納得するしかない反応が出てくる。ほかにも性格の面でいろいろと出てくるかと思ったのに、どうやらそうではないらしい。
「っていうのはさておき」
「おくんだ」
「間山を好きになる前の朝宮は、なんていうか、AIみたいな奴だったから」
「AI? 完璧すぎってこと?」
「それもあるけど、感情がないっていうか。表情とかもほとんど変わることないし。なんかデフォルトのままみたいな」
言われてみれば、朝宮が爆笑するような姿も、激怒したところも今まで見たことはない。
でも笑ったりはするし、静かに怒ったりもしている。だからAIという表現が俺にはぴったりはまらない。ただ、感情豊かかと言われればどうなんだろう。
「でも、俺の前でもそんな感じだよ」
「俺らから見たら違うんだよ。間山といるときの朝宮は、こんな顔するんだ、みたいな」
一緒にいる榊たちもそんなことを思うのか。それは意外だ。
「俺の前では、どんな顔してんの、朝宮」
「柔らかくなるっしょ、間山の前にいる朝宮って」
それは俺も見たことはある。あれは俺を怖がらせないようにしているものだと思っていた。
なんというか、小さな子どもに、俺は無害ですよ、と知らせるためみたいな。
「本気で間山に骨抜きにされてんだなって俺は思うわけよ」
「骨抜きって……そんなことしたつもりはないけど」
「無自覚だとしても、俺から見たらそう見えるんだよ。朝宮が人を好きになるって、それだけ珍しいことだから。たぶん、俺らのこともそんな好きじゃないと思うし」
「え」
友達なのに、そう思ってしまうことはなんだか悲しい気がした。でも榊は別にそこを気にしているわけではないようで「でも友達ってそんなもんだから」とさっぱり言う。
俺はぼっちを貫いてきたから、理解者になることは難しいけど、榊たちの関係性を見ていると羨ましいなと思うことはある。
約束もなく、無条件に一緒にいられる存在というのは、そう簡単に手に入るものではない。
俺も朝宮と一緒にいるのは嫌いじゃないけど、朝宮が俺のことを友達だとは思っていないからまた関係性は違うのだろう。

