月夜のギャンブラー

彼のこの熱意は何なのだろう。
最初はおどおどしていたのに、今は友達みたいな距離感だ。
これが田舎の人のコミュ力?

「はい、何でしょう?」
「見ず知らずの私に、どうしてそんなに一生懸命になってくれるの?」

そう言ってワザとらしく首を傾げて見せると、少年の影が小さく揺れる。

「すみません、迷惑でしたか?」
「あ、そういう意味で聞いたんじゃないよ。ただ、他人の痴話喧嘩って普通は面倒なのに、君は興味津々だから……」

ぼんやりと浮かぶ姿に疑問をぶつける。
少年は小さな唸り声を上げた。

「正直に言うと興味本位です。この町って何もないんですよ。平和な事は良い事なんでしょうけど、若い人が少ないから色恋話もあまり耳にすることが無くて――あとは……」

饒舌だった口調が尻すぼみになって行く。

「……ん?」
「後学の為に、色々お聞きしたいです……」

可愛らしくて恥じるような声。

う、初心(うぶ)だ!
ここに初心がいるぞ!

「私なんかの話で参考になるかな?」
「期待してます」

キラキラした少年の声音に、学生時代の気持ちが蘇る。

嫌な事ばかりの一日だったけど、今夜は楽しく過ごせそうだ。