葵様が戻ったのを無事に見届け、俺は正門上の自室に戻った。
「えっと、何してるんですか、メジロさん?」
俺の目の前にいるのは、まるで自分のもののように、いろいろな玩具を手に取って遊にメジロの姿。
予想はしていたが、彼女は俺の言いつけを守るつもりはなく、そして、遊び終わった玩具を片付けるつもりもない。
棚は派手に散らかっていた。
「おかえり、ハヤテ。面白いな、この凧。骨の部分が竹ではなく、針金でできている。しかも、すごい弾力でしなる。」
メジロは自分の背丈ほどある凧を、両手を広げ掴むと、グニャっと曲げてみせた。
そして手を離すと、凧は「ぼん」と音を立て、また四角に戻る。
「ははは、面白い」
「その凧、こうやって折りたためるんですよ」
無邪気に笑っているメジロに見せるように、俺は凧に対角線へ力を加える。
ぐにゃりと曲った凧に、そのまま捻るように力を加えると、骨の張力同士が均衡して、懐に入るぐらいの大きさに収まった。
「へぇ、携帯用の凧か、よく出来てるな。紙の部分は丈夫な三鷹和紙……」
と、メジロは俺を感心した顔で見ていたが、急に目つきが鋭くなった。
さすが腕利きの忍。
この凧が単なる玩具ではなく、別の使い道もあることに気がついたのか?
だがメジロはヒクヒクと鼻を動かし、凧ではなく俺への詮索を始めた。
「いい匂いがする」
俺からいい匂い?
先ほど葵様と並んだ歩いたせいで、彼女の香の匂いが移ったのか。
さすが女性はそう言ったことに鼻が利く。
「このお香、いい匂いですよね」
「ごまかすな、君の胸からの甘い匂いだ」
ビシッと俺を指差すメジロ。
どうやら彼女が嗅ぎつけた匂いは、香ではなく、懐の金平糖のものらしい。
「あげませんよ」
「にゃー、まだ何も言ってないぞ」
先回りして、金平糖を差し出すことを拒否すると、メジロはお預けを食らった猫のように抗議の声を上げる。
だが彼女が叫ぼうが、この金平糖は差し出すわけにはいかない。
高価な菓子というだけなら、日頃世話になっているメジロに、差し出すことはできる。
しかし、これは葵様の気持ちのこもった菓子だ。これは俺一人で味わわせてもらう。
「はいはい、人のお菓子までねだっちゃダメですよ」
「だから、僕を子供扱いするな、そして追い出そうとするな」
俺がさりげなく部屋から追い出そうとすると、メジロはその場に踏みとどまる。
「あと一つ、仕事が残っているんです。今から着替えるから、出てください」
そう言って、俺は部屋の隅に置いた葛籠から、着替えの服を取り出す。
柿渋色の服を出すと、その奥に仕舞われた、黒く塗られた金属板が鈍い光を放った。
「なんだ、そう言うことか」
俺が取り出した服を見たメジロは、状況を察してくれたようだ。
さすが上司。さすが一流の忍。
説明せずとも、これから俺がしようとすることを、全て察してくれたか。
「大丈夫、いまさら君の裸など気にしない。僕は君のおむつを変え……」
「違いますよ」
俺はメジロの首を掴んで、ぽいと部屋の外に放り出すと……。
バタン!
彼女の言葉を遮るように、扉を閉めた。
少しの間、抗議のため扉を引っ掻く音がしたが、着替え終わる頃には、爪音は消えさっていた。
「僕もついていこうか?」
少し心配そうなメジロの声。
「大丈夫ですよ、あの程度の相手なら、俺一人で」
俺は彼女の申し出をやんわりと断ると、階段を降り、塀を乗り越えて城の外へと向かった。
これから行う仕事は、残業代も危険手当も付きはしない。
だが俺とっての大切な任務だ。
***
「あのガキ、騙しやがったな!」
奈川城から続く山道。
その枝道に建てられた古びた小屋から、老婆の怒声が聞こえる。
小屋の壁はところどころ崩れ、入り口はきちんと閉まることもなく、軋音を立て続けている。
雨を防げるだけマシな場所。
俺は戸板が剥がれ落ち、枠だけになった入り口に身を隠し、そっと中を覗いていた。
十二畳ぐらいはある十分な広さの土間。
そこでは、先ほど物乞いに来た婆さんが、俺が渡した銭袋の中を確認して憤っていた。
その口調は葵様の前で見せた、弱々しさを微塵も感じさせない。
「まあいい、あんなボロ城でも、金目のものはある。門番もよぼよぼのジジイだし、日が暮れるのを待つか……」
(やっぱりな、残業は決定か)
思った通り、あの婆さんは単なる物乞いではなかった。
となると、俺はこのまま帰るわけにはいかない。
「あの城、本当に金ないぞ」
「お、お前はっ!」
いきなり現れた俺に、婆さんは驚いた様子を見せる。
そして急に何かを思い出したように、右の膝を押さえ、か弱い老婆を演じ始めた……
が、もう遅い。
「イ、 イタタタ、持病の膝が」
「演技が下手だな、婆さん。痛がっている膝がさっきと逆だ」
婆さんのわざとらしい痛がり方に、思わずツッコミを入れる。
俺がこの婆さんを追ってきたのは、二つ不審な点を感じたからだ。
一つは、痛む膝と杖を持つ手。
普通は左の膝が痛む人間は、杖を右側に持ち、膝への負担を逃がそうとする。
そしてもう一つは……
「ちっ」
婆さんの舌打ちが聞こる。
次の瞬間、俺は反射的に大きく後ろに飛び退いた。
眼前に鋼の煌めきが走り、俺の首があった場所には、婆さんの刀の切っ先があった。
そう、これが不審な点の二つ目。
杖を触った時の違和感だ。
「やっぱりね、仕込み杖だったか」
木製の杖よりも遥かに重く、何か仕込んであることは、持った瞬間に分かった。
そんな物騒なものを持つ老婆を、警戒しないわけがない。
婆さんは、幅の細い仕込み刀を構えながら、こちらの動きを伺うように言う。
「これを避けるとは、ただのガキじゃないね。侍には見えないし、忍の類か?」
「昔、忍術は少し学んだ。今は単なる貧乏山城の使用人。侍も忍も両方嫌いなんでね」
俺はニヤリと笑いながら答えると、婆さんは警戒した様子で睨み返した。
今の一撃、ただの年寄りにしては十分に鋭いが、俺からすれば隙が多い。
もっとも俺の目的は、婆さんに盗みに入るのを諦めさせること。
あいにく、年寄りを痛めつける趣味はない。
「正体もバレたし、痛い目を見ないうちに、出てってくれれば助かるんだけど」
「ガキが、少しばかり腕が立つからって、いい気になりおって」
俺を睨む婆さんの目に、殺気が籠る。
その視線からは、修羅場を潜り抜けてきただろう凄みが感じられた。
(生活がかかってるからな、すんなりと退いてはくれないか)
生きていくために物乞いをし、時には盗みを働く。
それを否定できるほど、俺も恵まれた生まれ育ちはしてはいない。
だから婆さんが、自分の正体を見破られたことで、奈川城から手を引いてくれるなら、これ以上戦うつもりはなかった。
だが。葵様の善意を踏み躙るのなら、それを見過ごすわけにはいかない。
「交渉決裂か……」
だが、婆さんは無言で仕込み杖を構えた。
普通なら、目の前に刃物を突きつければ、震えて身動きもできなくなる。
けど、あいにく俺も相応の訓練は受けてきた。
そしてこの一年間、柄にもなく鍛錬だけは真面目に続けてきた
侍相手ならともかく、刃物を持った婆さん相手に怯むほど、やわではない。
俺が平然とした態度でいるのに、イラついたのだろう。
「くそガキがっ」
婆さんは銭袋を俺に投げつけてきた。
顔面に向けて渾身の力で投げられた銭袋を、造作なく受け止める。
すると「じゃらっ」と、手の中で金属が擦れる感触と痛みが同時に来た。
「贋金で人を騙しおって」
どうやら俺に対しては、騙されたという憤りもあるようだ。
俺は婆さんの誤解を解くために、巾着の中身を取り出して見せる。
それはどう見ても、本物の銭には見えない、穴の空いた円形の金属片。
「ああ、これね。中途半端に銭に似せると、贋金造りになるからな」
婆さんが勝手に、これを銭と勘違いしただけ。俺は騙してなんかいない。
「それに嘘つきはお互い様だろ」
「嘘つきではない」
憎々しげに俺を睨みつけ、大声を出す。
その目つきは、偽金をつかまされたことにではない。
もっと根深い憎しみがこもった目つきだ。
「家族を、いくさで奪われたのは本当じゃ」
婆さんは、物乞いのふりをして盗みに入ろうとしたことは否定しなかった。
だが、いくさで家族を亡くしたことは、この婆さんには譲れない事実なのだろう。
ばっ。
そして婆さんは覚悟を決めたように、着物をはだけさせ、左肩を露出させる。
しなびた長瓜のような乳房が着物の下から溢れでた。
しかし俺の視線は、乳房ではなく左肩の刺青に止まる。
そこには小さな黒いウサギの刺青が掘られていた。
「侍専業の盗賊、『怪盗黒兎』とはワシのことじゃ!」
ごめん、知らない。
勢いよく啖呵を切った婆さんには悪いが、それは事実。
いくさで家族や家を失い、盗賊に身を落とす人間は多い。
いちいちそんな盗賊の名前なんか、俺が知るわけもない。
だが、どうしたものか。
婆さんの身の上を聞いた途端に、本気を出して戦いづらくなった。
「えっと、何してるんですか、メジロさん?」
俺の目の前にいるのは、まるで自分のもののように、いろいろな玩具を手に取って遊にメジロの姿。
予想はしていたが、彼女は俺の言いつけを守るつもりはなく、そして、遊び終わった玩具を片付けるつもりもない。
棚は派手に散らかっていた。
「おかえり、ハヤテ。面白いな、この凧。骨の部分が竹ではなく、針金でできている。しかも、すごい弾力でしなる。」
メジロは自分の背丈ほどある凧を、両手を広げ掴むと、グニャっと曲げてみせた。
そして手を離すと、凧は「ぼん」と音を立て、また四角に戻る。
「ははは、面白い」
「その凧、こうやって折りたためるんですよ」
無邪気に笑っているメジロに見せるように、俺は凧に対角線へ力を加える。
ぐにゃりと曲った凧に、そのまま捻るように力を加えると、骨の張力同士が均衡して、懐に入るぐらいの大きさに収まった。
「へぇ、携帯用の凧か、よく出来てるな。紙の部分は丈夫な三鷹和紙……」
と、メジロは俺を感心した顔で見ていたが、急に目つきが鋭くなった。
さすが腕利きの忍。
この凧が単なる玩具ではなく、別の使い道もあることに気がついたのか?
だがメジロはヒクヒクと鼻を動かし、凧ではなく俺への詮索を始めた。
「いい匂いがする」
俺からいい匂い?
先ほど葵様と並んだ歩いたせいで、彼女の香の匂いが移ったのか。
さすが女性はそう言ったことに鼻が利く。
「このお香、いい匂いですよね」
「ごまかすな、君の胸からの甘い匂いだ」
ビシッと俺を指差すメジロ。
どうやら彼女が嗅ぎつけた匂いは、香ではなく、懐の金平糖のものらしい。
「あげませんよ」
「にゃー、まだ何も言ってないぞ」
先回りして、金平糖を差し出すことを拒否すると、メジロはお預けを食らった猫のように抗議の声を上げる。
だが彼女が叫ぼうが、この金平糖は差し出すわけにはいかない。
高価な菓子というだけなら、日頃世話になっているメジロに、差し出すことはできる。
しかし、これは葵様の気持ちのこもった菓子だ。これは俺一人で味わわせてもらう。
「はいはい、人のお菓子までねだっちゃダメですよ」
「だから、僕を子供扱いするな、そして追い出そうとするな」
俺がさりげなく部屋から追い出そうとすると、メジロはその場に踏みとどまる。
「あと一つ、仕事が残っているんです。今から着替えるから、出てください」
そう言って、俺は部屋の隅に置いた葛籠から、着替えの服を取り出す。
柿渋色の服を出すと、その奥に仕舞われた、黒く塗られた金属板が鈍い光を放った。
「なんだ、そう言うことか」
俺が取り出した服を見たメジロは、状況を察してくれたようだ。
さすが上司。さすが一流の忍。
説明せずとも、これから俺がしようとすることを、全て察してくれたか。
「大丈夫、いまさら君の裸など気にしない。僕は君のおむつを変え……」
「違いますよ」
俺はメジロの首を掴んで、ぽいと部屋の外に放り出すと……。
バタン!
彼女の言葉を遮るように、扉を閉めた。
少しの間、抗議のため扉を引っ掻く音がしたが、着替え終わる頃には、爪音は消えさっていた。
「僕もついていこうか?」
少し心配そうなメジロの声。
「大丈夫ですよ、あの程度の相手なら、俺一人で」
俺は彼女の申し出をやんわりと断ると、階段を降り、塀を乗り越えて城の外へと向かった。
これから行う仕事は、残業代も危険手当も付きはしない。
だが俺とっての大切な任務だ。
***
「あのガキ、騙しやがったな!」
奈川城から続く山道。
その枝道に建てられた古びた小屋から、老婆の怒声が聞こえる。
小屋の壁はところどころ崩れ、入り口はきちんと閉まることもなく、軋音を立て続けている。
雨を防げるだけマシな場所。
俺は戸板が剥がれ落ち、枠だけになった入り口に身を隠し、そっと中を覗いていた。
十二畳ぐらいはある十分な広さの土間。
そこでは、先ほど物乞いに来た婆さんが、俺が渡した銭袋の中を確認して憤っていた。
その口調は葵様の前で見せた、弱々しさを微塵も感じさせない。
「まあいい、あんなボロ城でも、金目のものはある。門番もよぼよぼのジジイだし、日が暮れるのを待つか……」
(やっぱりな、残業は決定か)
思った通り、あの婆さんは単なる物乞いではなかった。
となると、俺はこのまま帰るわけにはいかない。
「あの城、本当に金ないぞ」
「お、お前はっ!」
いきなり現れた俺に、婆さんは驚いた様子を見せる。
そして急に何かを思い出したように、右の膝を押さえ、か弱い老婆を演じ始めた……
が、もう遅い。
「イ、 イタタタ、持病の膝が」
「演技が下手だな、婆さん。痛がっている膝がさっきと逆だ」
婆さんのわざとらしい痛がり方に、思わずツッコミを入れる。
俺がこの婆さんを追ってきたのは、二つ不審な点を感じたからだ。
一つは、痛む膝と杖を持つ手。
普通は左の膝が痛む人間は、杖を右側に持ち、膝への負担を逃がそうとする。
そしてもう一つは……
「ちっ」
婆さんの舌打ちが聞こる。
次の瞬間、俺は反射的に大きく後ろに飛び退いた。
眼前に鋼の煌めきが走り、俺の首があった場所には、婆さんの刀の切っ先があった。
そう、これが不審な点の二つ目。
杖を触った時の違和感だ。
「やっぱりね、仕込み杖だったか」
木製の杖よりも遥かに重く、何か仕込んであることは、持った瞬間に分かった。
そんな物騒なものを持つ老婆を、警戒しないわけがない。
婆さんは、幅の細い仕込み刀を構えながら、こちらの動きを伺うように言う。
「これを避けるとは、ただのガキじゃないね。侍には見えないし、忍の類か?」
「昔、忍術は少し学んだ。今は単なる貧乏山城の使用人。侍も忍も両方嫌いなんでね」
俺はニヤリと笑いながら答えると、婆さんは警戒した様子で睨み返した。
今の一撃、ただの年寄りにしては十分に鋭いが、俺からすれば隙が多い。
もっとも俺の目的は、婆さんに盗みに入るのを諦めさせること。
あいにく、年寄りを痛めつける趣味はない。
「正体もバレたし、痛い目を見ないうちに、出てってくれれば助かるんだけど」
「ガキが、少しばかり腕が立つからって、いい気になりおって」
俺を睨む婆さんの目に、殺気が籠る。
その視線からは、修羅場を潜り抜けてきただろう凄みが感じられた。
(生活がかかってるからな、すんなりと退いてはくれないか)
生きていくために物乞いをし、時には盗みを働く。
それを否定できるほど、俺も恵まれた生まれ育ちはしてはいない。
だから婆さんが、自分の正体を見破られたことで、奈川城から手を引いてくれるなら、これ以上戦うつもりはなかった。
だが。葵様の善意を踏み躙るのなら、それを見過ごすわけにはいかない。
「交渉決裂か……」
だが、婆さんは無言で仕込み杖を構えた。
普通なら、目の前に刃物を突きつければ、震えて身動きもできなくなる。
けど、あいにく俺も相応の訓練は受けてきた。
そしてこの一年間、柄にもなく鍛錬だけは真面目に続けてきた
侍相手ならともかく、刃物を持った婆さん相手に怯むほど、やわではない。
俺が平然とした態度でいるのに、イラついたのだろう。
「くそガキがっ」
婆さんは銭袋を俺に投げつけてきた。
顔面に向けて渾身の力で投げられた銭袋を、造作なく受け止める。
すると「じゃらっ」と、手の中で金属が擦れる感触と痛みが同時に来た。
「贋金で人を騙しおって」
どうやら俺に対しては、騙されたという憤りもあるようだ。
俺は婆さんの誤解を解くために、巾着の中身を取り出して見せる。
それはどう見ても、本物の銭には見えない、穴の空いた円形の金属片。
「ああ、これね。中途半端に銭に似せると、贋金造りになるからな」
婆さんが勝手に、これを銭と勘違いしただけ。俺は騙してなんかいない。
「それに嘘つきはお互い様だろ」
「嘘つきではない」
憎々しげに俺を睨みつけ、大声を出す。
その目つきは、偽金をつかまされたことにではない。
もっと根深い憎しみがこもった目つきだ。
「家族を、いくさで奪われたのは本当じゃ」
婆さんは、物乞いのふりをして盗みに入ろうとしたことは否定しなかった。
だが、いくさで家族を亡くしたことは、この婆さんには譲れない事実なのだろう。
ばっ。
そして婆さんは覚悟を決めたように、着物をはだけさせ、左肩を露出させる。
しなびた長瓜のような乳房が着物の下から溢れでた。
しかし俺の視線は、乳房ではなく左肩の刺青に止まる。
そこには小さな黒いウサギの刺青が掘られていた。
「侍専業の盗賊、『怪盗黒兎』とはワシのことじゃ!」
ごめん、知らない。
勢いよく啖呵を切った婆さんには悪いが、それは事実。
いくさで家族や家を失い、盗賊に身を落とす人間は多い。
いちいちそんな盗賊の名前なんか、俺が知るわけもない。
だが、どうしたものか。
婆さんの身の上を聞いた途端に、本気を出して戦いづらくなった。


