■■■はじめに■■■


 この言葉の図鑑は、エモい言葉や、優しい言葉、
 センチメンタルな言葉の詰め合わせた図鑑です。

 日常で使っている何気ない言葉を切なく、優しい意味にしてみました。
 エモい情景や、エモい瞬間に舞台を移し、
 何気ない言葉でも、エモい意味を足すことで、
 その言葉がキラキラ輝くことを紹介したいと思い、書きました。

 また、言葉と合わせて、エモーショナルに思える、
 身近なものや、建物、食べ物、飲み物なども、まとめてみました。

 エモくすることって、一見すると難しいことに感じますが、
 実は、ひとつひとつの言葉を軽く、ポジティブに捉えることで、
 その言葉に光が射すと思っています。

 同じ言葉でも、メロくすることも、エモくすることも、
 自分の捉え方次第で、作り変えることができてしまうとも思います。

 文章をとにかくエモくしたい方。
 例文の情景から、舞台を連想させたい方。
 切ないシチュエーションをたくさん読みたい方。
 恋の話をたくさん読みたい方。

 そんな方にむけて、この図鑑を作りました。
 紹介した言葉で、新しいアイデアに繋がったり、イメージが湧いたら嬉しいです。

 それでは、一緒に、いつも使っている言葉をメロく、切なく、キラキラさせていきましょう!
 

☆この図鑑の読み方☆

 『単語』→『単語の意味』→『例文』
 ※単語の意味、例文での言葉の使い方は、すべてが正しくはありません。
 エモーショナルに寄せた世界観、ニュアンスを楽しんでいただけたら嬉しいです。
 





■■■目次■■■



☆感情と優しい言葉☆

センチメンタル ごめんね 十分だよ クール ありがとう おはよう トラウマ 伝わらない ロマンティック シック おまたせ かまってちゃん インストール ドキドキ ファンタジー・ファンタジック 忙しい 頑張る 頑張らないで 泣いてもいいよ 臆病 大切 思い出 真面目 乾杯 笑う 微笑む 泣く 涙が止まらない 忘れたい 無頓着 決意 マイナス思考 孤独 憂鬱 無数 虚しさ プライド コンプレックス 励ます 静かに 現実逃避 慮る 罪悪感 虜 弱音 言い訳 嘘 大人になれない 中途半端 自意識過剰 QOL



☆恋の言葉☆

キス 抱きしめる 友達以上恋人未満 ラブストーリー 愛している 連絡 離れ離れ 傷を舐めあう 倦怠期 不機嫌 機嫌を直す 約束 横並び 告白 片思い 君と話す時間 手を繋ぐ ずっと、一緒にいよう 世界の片隅 オキシトシン 好き 大好き 可愛い・かわいい 別れ 相性抜群 おいしいね すれ違い 寂しい 振り向いて 元気だして ロマンス




☆ポジティブな言葉☆

素敵 素直 再会 上手くいきそう 綺麗 チャンス 証明 100% 純度 透明 最高 優しい 丁寧 未来  天才 シンプル 大丈夫 嬉しい



☆ファンタジックな言葉☆

星の欠片 冥王星 隕石 キラキラ 反射 プリズム 空飛ぶクジラ 空飛ぶペンギン タイムマシーン タイムスリップ タイムリープ 永久機関 メビウスの輪 流氷 雨乞い 雪乞い 月の下 ボールプール ビーカー 
フラスコ オーロラ ダイヤの輝き UFO


☆時間の言葉☆

瞬間 一瞬 今日 過去 無限 永遠 今 同じタイミング 寿命 いつまで 月曜日 季節が巡る 午前0時 ダイアリー



☆色の言葉☆

ワインレッド イエローゴールド ピンクゴールド カーキ 青色LED 白いLED ネオン色 電球色 パステル


☆天気の言葉☆

雨 夕立 雪 虹 朝日


☆食べ物の言葉☆

クロワッサン パフェ ストロベリーパフェ 生クリーム レモンキャンディ チョコレート シュークリーム モンブラン クッキー アイスクリーム チーズとワイン ラズベリー マシュマロ ショートケーキ チョコムース フレンチクルーラー


☆飲み物の言葉☆

アイスコーヒー アイスカフェオレ フラペチーノ カプチーノ ラテアート コーヒー牛乳 ミルク ミルクティー ココア レモネード オレンジジュース ポカリ ソーダ水 コーラ ジンジャエール クリームソーダ


☆お酒と煙草の言葉☆

カルアミルク シャンディーガフ カシスオレンジ ファジーネーブル モヒート ラムコーク セブンスター ラーク


☆ファッションの言葉☆

ワンピース レトロワンピース ワイシャツ ロンT ネックレス ボブ ショートボブ セミロング セーター マフラー マフラーのフリンジ ピアス シルバーのピアス ピンキーリング 


☆季節の言葉☆


トレンチコート 春色 春風 桜 桜吹雪


水槽の中 砂浜 麦わら帽子 ひまわり 冷たいコンクリートの階段 プール クラゲ 塩素ナトリウムの香り 
線香花火 炎天下 テトラポッド 白いパラソル 夏至 入道雲 



静電気 イチョウ カーキのMA-1 秋雨 


溶けない イルミネーション ブラックフライデー クリスマス ブランケット バレンタイン スノードーム 



☆青春・学校の言葉☆

少年少女 絆創膏 机 クラス クラスガチャ 白いカーテン 制服姿 ベンチ ブランコ シーソー 5時のチャイム 



☆街・乗り物・小物の言葉☆

ビル群 雨で濡れた銀色のビル街 アスファルト 交差点 スクランブル交差点 オープンテラス ウォーターフロント ショッピングモール ホーム 踏切 カフェ カウンター席 街路樹 コンビニ 夜のスタバ ファミレス レイトショー 深夜のコインランドリー 電車 バス 夜行バス 東京タワー ジェット機 夜の住宅街 堤防 商店街 カーブミラー ビニール傘 マグカップ グラス ベッド 



☆デジタルの言葉☆


iPhone AirPods AirDrop LINE トーク画面 トーク画面 メッセージ Netflix Spotify TikTok インスタ








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感情と優しい言葉


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*




☆センチメンタル
 感傷的になるということ 透明で繊細な思いを抱いていること



 ■■■青い夜はイリュージョン■■■


 センチメンタルを袋詰して、
 走り抜けよう青い夜の街を。

 未来はきっと明るいだなんて、
 誰かが呑気に言っていたのを思い出した。

 立ち止まって、深呼吸して、
 まだ冷たさが残る春の空気を吸い込み、
 現実にトリップして、
 叫びたい衝動をそっと抑える。

 生きているだけで、
 それで十分なんだって、
 今更だけど、思い出して、
 過去を断ち切る決意を今、そっと心に誓う。





☆ごめんね
 相手を思いやり、自分の非を認め、反省と優しさを込める言葉



 ■■■いくつも季節が流れたけど、未だにあの日を思い出す。■■■


 あの日、夕日の中で君が泣いていたのに、
 君のことを上手く慰めることができなくて、
 不甲斐なかったね、ごめんね。

 あのときから、いくつも季節が流れたけど、
 君には、あのときの素直さを忘れないでほしい。





☆十分だよ
 物事が満ち足りているさま 欠点なんて、もう存在しないということ



 ■■■十分だよ■■■


 泣いてもいいよって、
 言われると途端に泣けなくなるのは、
 君に気心を許してないからじゃないよ。

 雨の中で愛を誓うみたいに、
 急に恥ずかしくなってるだけだから、
 私のことなんか気にしないで。

 大好きなレモンのキャンディを
 口の中でコロコロさせても、
 つらいことなんて消えないからさ。

 だから、今、このまま、
 一緒に過ごしてくれるだけで十分だよ。





☆クール
 爽やかで、冷静そうな様子 すまし顔 冷静さが、かっこいいさま




 ■■■君は素直じゃない■■■


 雨上がりで冷たい街を二人で歩いている。

 LEDの青を反射するアスファルトは
 君の黒色マッシュと相まって、すごくクールだよ。
 そして、君はいつものように口数が少ない。

 夜のこの街は人が多くて、
 浮足立つから、
 君の冷たい手をぎゅっと握って、
 いつもの店まで行く。

 そんな君が好きだって、強く思った。





☆ありがとう
 感謝の思いを相手に伝える言葉 最上級に優しい言葉



 ■■■泣きそうになるよ■■■



 「もっと力、抜きなよ」という、
 君の優しさだけで、泣きそうになるよ。

 今の私がそれだけ弱くなっているのを、
 どうして、簡単にわかるの。

 そんな君が最高すぎるから、
 ありがとうの爆弾を炸裂させたい。





☆おはよう
 一日の始まりを相手と共有するあいさつ 今日の会話を始める言葉




 ■■■君がもう一度、振り向いてくれたら良いのに。■■■


 最高に気持ちがいい朝、冷たい空気を思い切り吸い込むと、
 君を失った現実が込み上げてきた。
 制服姿の君がくれたキャンディは、甘酸っぱいレモンだった。
 
 懐かしい世界の中で、君と永遠に終わらない恋の定義を話したけど、
 結局、その定義は証明されなかったね。

 だから、もう一度、ドラマを動かすために、
 手に持ったままのiPhoneの中に、
 あの時のまま冷凍されたトークを開いた。

 『おはよう』と打ち込んだあと、
 後先なんて考えないで送信したら、
 すぐに既読がつき、急に心臓が破裂しそうになった。







☆トラウマ
 過去の大きな出来事で心が傷き続けていること なんとか、つらい過去を乗り越えた代償



 ■■■忘れたい記憶で取り残される。■■■


 忘れたい記憶が残ったまま、
 トラウマは刻まれたまま、日々は過ぎていく。

 その青いままの棘を忘れて、
 なにも考えずに肝がんに踊ることができたら、
 きっと、もっと生きやすくなるのはわかってるよ。

 だけど、不器用すぎて自分を軽くできないんだ。






☆伝わらない
 思ったことが相手に意思疎通できないこと 伝えたいことがたくさんある状態のこと



 ■■■叶わない無数の約束■■■


 夢の中で、幼なかったふたりが、
 意味が伝わらない無数の約束を交わし続けていた。
 君も、私も、幼かった。

 目覚めて、涙を拭う。
 きっと、素直なときのまま、
 もう会うことなんてあり得ない君と、
 楽しさを紡げたら、
 もっと、私の今は、楽しかったかもね。






☆ロマンティック
 恋愛や、夢想的な美しさのこと 夢や想像する楽しい未来が輝いていること




 ■■■コスモス柄のワンピなんて■■■


 コスモス柄のワンピなんて
 子供っぽいかなって思ったけど、
 思いっきって着たら、私は鏡越しで秋になった。

 秋の朝日が最高の一日になることを教えてくれていた。

 iPhoneに君からの通知が来た。
 それだけで胸が高鳴る。

 これからのあなたとの時間が
 最高にロマンティックになる予感がした。






☆シック
 上品で洗練されたさま 大人っぽい雰囲気があること




 ■■■普段を取り戻す■■■


 「なにそれ面白い」
 君はそう言ったあと、ファジーネーブルを一口飲んだ。

 君はいつも通りだ。

 週末の夜、今日も雨が降っていて
 窓越しの世界を冷たく染めていた。

 シックな暗さと気持ちよさそうに、
 酔った君の顔を見ているだけで、幸福度が上がる。

 でも、よかった。君と仲直り出来て。






☆おまたせ
 相手を待たせたときに使う言葉 



 ■■■君を待つカフェから雨に濡れた秋を眺める■■■



 連日、降り続く雨が秋を深めていく。

 カフェから交差点を見渡す。
 多くの人達が傘をさし、目的の場所まで通り抜ける。

 肩を叩かれて、振り向くと君が
 「おまたせ」と言った。

 「待ちくたびれた」と返すと
 「ごめん」と君は笑って謝った。

 隣の席に座った君との時間は尊い。と思った。




☆かまってちゃん
 他者からの注目や関心をひくのを求めていること 寂しさで爆発しそうな様子




 ■■■かまってちゃん■■■


 寂しいから、大胆に置き手紙を残して、
 わかりやすく失踪して、君に見つけてほしい

 あの時の約束は、赤い糸だと信じていた

 君といることに、
 不満はないけど、不足を感じる
 街を歩いて、人混みの中で一人を感じたい

 そんな気持ちにさせる君が嫌いで、
 それ以上に自分が嫌いだから
 抱きしめてほしい






☆インストール
 なにかの要素を読み込み、自分のものにするさま



 ■■■君が傷つきやすいのは、知っている。■■■


 切なさをインストールするように、
 君としっかり見つめ合うと、
 そんな傷つきやすい君を抱きしめたくなる。




☆ドキドキ
 期待により、緊張が高まり、鼓動が激しくなる様子 恋の予感を察知すること




 ■■■甘く反射した。■■■


 君のピアスが対向車のライトで反射したとき、
 車の中の親密感が急に圧縮された気がした。
 冷静にドキドキしたから、素直に君のピアスを褒めた。



☆ファンタジー・ファンタジック
 空想や、幻想という意味 現実逃避できそうなくらい、物事が明るく変換されること




 ■■■君は魔法使い。■■■


 雨が降り続ける夜の街を
 君と一緒に歩くと、なぜか憂鬱がファンタジックになるよ。




☆忙しい
 何かしらの状況に追われて、休む暇がないこと 




 ■■■最近は夜も楽しめない■■■


 疲れた日々を癒やす暇すらないくらい、
 ここ最近は忙しいよ。

 いつもなら、大好きな夜も、
 ここ最近はあっという間で、
 もう、辞めてしまいたいって、
 ふと、思ってしまうよ。

 ただ、今は頑張りどころだから、
 あと、もう少し、もう少しって自分を励まして、
 明日も乗り切るよ。 






☆頑張る
 なんとか、その場を乗り越えるための内的な力のこと 



 ■■■セルフケアは大切。■■■


 頑張るつもりなんてないけど、
 結果的にそうなってしまう自分が嫌だ。
 日頃の傷で充電が切れたから、
 今夜もココアを飲んで回復しよう。





☆頑張らないで
 相手が頑張りすぎているときに、相手に頑張っていることを気が付かせる言葉




 ■■■もう、力が抜けないよ■■■

 
 頑張れって言われたって、
 これ以上、どう頑張ればいいの?

 力を入れ続けないと、生きていけないから、
 もう、力の抜き方を忘れてしまったんだ。

 だから、「頑張らないで」って、
 誰かに今の自分を全否定してほしい。





☆泣いてもいいよ
 泣くのを我慢しているのを悟ったときに使う言葉



 ■■■我慢しないで■■■


 今だけは泣いてもいいよ。
 君はそれだけのことをされたんだから。
 正当な涙は流すべきだと思うんだ。
 その涙を我慢してしまったら、
 きっと、君は君でいられなくなるから。




☆臆病
 些細なことで、恐れを抱く感情 新たな場所へ進むのをためらってしまうこと




 ■■■47分発待ちのいつものホーム■■■


 朝のホームは朝霧のなかで冷たかった。
 夏の肌寒さは珍しくて、それすら新鮮に思えるね。

 いつも、私の心が満たされないのは、
 いつも、それなりにストレスと、
 不満を胸に抱え込んだままだからなのはわかっているよ。

 ただね、私は臆病な性格だから、
 誰にもそれらを言うこともできないし、
 それを言える適切な人なんていないんだよ。

 だから、私は私の心を封じたまま、
 今日も47分発の電車を待ち続ける。





☆大切
 対象のことを、丁寧に扱うこと 相手との関係を永遠に続けたいと強く思うこと



 ■■■世界が透明になれば、君はもっと息がしやすくなると思う。■■■

 屋上から街を見渡しながら、君と手すりに寄りかかり、
 理性と知性の違いや、愛情と温情の違いについて、
 結論のない話を永遠としている。

 君は通り雨みたいに透明だから、
 脆いガラスみたいに大切にしたい。

 青空を見ると、白い2本の線を描きながら、
 ボーイングが真上を通り過ぎていった。

 横にいる君の表情を見ると、
 君は静かに泣いていた。




☆思い出
 過ぎ去った時間をふと思い返すこと よかったことを振り返ること



 ■■■傷を塞ぐ絆創膏は次の恋しかない。■■■


 終わった恋はりんごの皮を剥くのを失敗し、
 人差し指を縦に赤く滲ませたように、
 今までのことを自己否定していて痛い。

 ただ、胸の中に君の甘さがまだ残っていて、
 思い出が無駄に涙に変換される。





☆真面目
 相手に嘘、偽りがなく、本気であること 



 ■■■必死だったんだよ■■■


 必死にやってきたのに、
 いつの間にか、ボロボロになっていたよ。
 
 息の仕方を教えないのと一緒で、
 手を抜く方法なんて誰も教えてくれなかった。

 真面目すぎるんだよ。って誰かが言ってくれたら、
 こんなバカみたいに必死に生きようとしなかったのに。




☆乾杯
 めでたいことを祝う行為 



 ■■■みつけることなんてできないと思うよ。■■■

 君からの思いが規定量に満たないから、
 どれくらい好きなのか聞くと、
 「夏にポカリが美味しく感じるくらい好きだよ」って君は涼しい顔でそう言ったから、

 私たちはポカリで乾杯をして、
 そして、炎天下で失った水分をお互いに取り戻した。
 まだ足りないから、もう一度どれくらい好きなのか聞くと、
 「かくれんぼで最初にみつけるくらい好きだよ」と言われたから、
 私は絶対に君が探し出せない場所に隠れる練習をしようと決めた。

 そしたら、底なしの私が君の好きや愛で満たされると思うから。






☆笑う
 思わず声を上げるほど、おかしかったり、嬉しさを共有する状態




 ■■■同じテンションでいられて嬉しいよ。■■■


 赤いブランコに座ると一気に熱が伝わり、
 思わず笑うと、君もしっかりと笑ってくれた。

 誰もいない炎天下の小さい公園で、
 無邪気に同じようにはしゃいでくれる
 君のことが好きだよ。




☆微笑む
 声を出さずに、にっこりとした表情を浮かべていること 




 ■■■かすかに夏を感じる■■■


 君のシルバーのネックレスが、
 黄色い日差しで輝いている。

 5月の終わりは、
 5月病の名残で憂鬱がまだ残っているけど、
 君と夏の思い出がたくさん作れると思うと、
 そわそわするよ。

 君が微笑むたびに、かすかに揺れるネックレスが、
 やけに目に付くから、
 きっと、今日のこの瞬間すら、
 思い出になりそうだよ。

 これから夏が始まるね。





☆泣く
 悲しかったり、悔しかったり、つらい思いをしているときのこと




 ■■■終わりなんて見えないから、世界は美しく見えるんだろうね■■■


 時空を逆らうように、
 泣く君はなぜ綺麗なんだろう?

 輝く涙は潮騒しおさいに紛れて消えていく。
 潮風がきっと忘れさせてくれるよ。
 そんな気の利いたこと言って、簡単に終わらせたくない。
  
 だから、炭酸が抜けないうちに
 コーラを飲んで、無数の虚しさを消し飛ばしちゃおう。





☆涙が止まらない
 うちに秘めた悲しさを、コントロールすることができない状態 



 ■■■君の行方を知りたくなった。■■■


 終わった夏が忘れられず。砂浜を歩いている。
 ビーチハウスはとっくに壊されて
 はしゃいだあの夏はもう終わってた。

 君と駆け抜けた波打ち際、
 穏やかな波が砂をさらっていく。

 冷たい風。遠くでなびくすすき。
 高くなった透明な空。

 過去が流れて、涙が止まらない。
 君はどこへ行ったの?







☆忘れたい
 過去の嫌なことにとらわれているさま



 ■■■窮屈は嫌だ。■■■


 とにかく、外に出て走りたくなったんだ。

 深夜の商店街は薄暗い白さで、
 誰もいなくて、自分が取り残されたように感じる。

 ただ、嫌なことをすべて忘れたい。

 だから、気が済んだら、ローソンに入って、
 ハーゲンダッツバニラを買って帰ろう。





☆無頓着
 気にかけず、平気な様子





 ■■■無頓着で強靭なハートをください■■■


 夜の路地は街灯の弱い光で照らされている。

 立ち止まり、白い満月に手をかざした。
 指の間から漏れる光は妙に幻想的だった。

 傷つきやすいから、
 無頓着で強靭なハートをください。
 そう願った。

 別に何も起きないけど、
 身体が軽くなった気がした。
 そんな、白けた空気に蹴りを入れたくなった。





☆決意
 はっきりとした意思を持っていること



 ■■■観覧車から夜の海を眺める。■■■


 観覧車から見る夜の港は、
 無数の白い光で涼しく見え、
 水面で光がそっと揺れている。

 この景色を君と共有できるのは、
 素直に嬉しいから、
 今すぐに好きだって伝える決意を固めた。





☆マイナス思考
 あまりよくないことが頭のなかでぐるぐるすること




 ■■■もう、こんな時間なのはわかってるけど、
    マイナスに支配されるよりマシ。■■■


 マイナス思考で頭がいっぱいになったから、
 夜にコーヒーを飲んで落ち着かせている。

 もし、上手く寝付けなかったら、
 明日は休む覚悟で飲んでるから、
 こんな時間に飲むなよって言わないでほしい。





☆孤独
 寂しさを紛らわすことができない状態




 ■■■真夜中と明け方の間。■■■

 冷たい風が吹きつける埠頭でひとりきり、
 起き出す前の青くて薄暗い街を眺めている。

 寒いし、誰もいないから、
 白いパーカーのフードを被って、
 日が昇っていくのをまっている。
 
 お気に入りの腕時計の秒針がしっかりと、
 時間を進めていくのを数秒、見たあと、
 もう一度、対岸を眺めなおす。

 すっかり、都会の孤独にはなれてしまったけど、
 たまに忙しさに疲れてしまい、
 そっと逃げ出したくなる。

 だけど、今の生活を抜け出すことなんて、
 できないから、
 夜明けを静かに待つよ。





☆憂鬱
 うっとうしくて、気持ちが晴れないこと



 ■■■君の知らない、何かを忘れさせたい。■■■


 君の憂鬱な表情はずっと見てられるくらい、
 美しくて、心の奥の青さを思い出すけど、

 それが過去のつらい気持ちから、
 来ていることは知っているよ。

 だから、君を笑顔にしたいから、
 一緒に海が見たい。




☆無数
 ぱっと見たときに、数え切れない状態



 ■■■夜が始まったビル街は夕立で濡れている■■■

 夕立で濡れたアスファルトに
 夜のビル街のネオン色が反射している。
 無数の人が行き交うその中をしっかり歩くたびに
 孤独が深まっていくように感じる。

 ただ、それでも毎日、
 こなし続ければ、
 いつか今の状況が好転すると思う。

 今はそう信じるしか、
 自分を労ることができないから、
 「よくやってるほうだよ」って誰かに言われたい。





☆虚しさ
 心のなかが空っぽになってしまったように無益を感じている状態



 ■■■楽しい街とうんざりな自分■■■


 どうせ自分なんて、なんにもできないよ。
 そう思うくらい、今がなにも見えなくてつらいや。

 コートのポケットに両手を突っ込み、
 ぶすっとした気持ちを抱いたまま、夜が始まったばかりの街を歩いている。
 
 12月に入った街は少しだけソワソワとし始めていて、
 街路樹はLEDで青色の世界を作っている。

 そんな自分と対極的な街の中を歩いていると、
 そんな自分だけ置いていくように季節は巡って、
 自分なんか世界から忘れられているような気さえするよ。

 だけど、今は歩かなきゃ。
 家に着くまでにこの虚しさが消えてくれたらいいな。





☆プライド
 自分に対する確固たる自信を持っていること



 ■■■君のしょぼいプライドなんて捨てちゃえば最高なのに。■■■


 私はもう、疲れてしまったんだ。
 君の言い訳とか、君のどうでもいい話とか、
 君のしょぼいプライドとか。

 だけど、そんな君のことなんて、
 嫌いになれないよ。
 だって、そんな君でも、
 世界で一番、私のことを大事にしてくれているから。




☆コンプレックス
 自分の欠点に目を向けていること



 ■■■前に進めないや■■■


 コンプレックスのすべてを受け入れてくれる
 君とはなぜか、上手くいかなかった。
 冬は寒いまま過ぎていき、
 春が始まっても寒いままで、
 たまに怒るロマンスも君以上の人はいなくて、
 どうしても君と比べてしまうよ。

 もし、パラレルを選べるとしたら、
 パステル色の中で冷静にドキドキしたい。

 もし、夏までに前を向けなかったら、
 すべて君の所為にしてもいいよね?




☆励ます
 誰かを元気づけること



 ■■■君にエールなんてダサいから、そっと、君のこと肯定する■■■


 君と抜け出した夜は、
 何もかも絶望的に思えて、実は希望的で、
 薄暗い公園の角で手を繋いだまま、
 無数の瞬く星をしっかりと眺めている。

 「世界なんて終わればいいのにね」って
 ポツリと君が言ったから、
 それも悪くないかもなって思った。
 だけど、君と一緒にいられなくなるのは嫌だなって、
 ちょっとだけ、ほろ苦くなった。

 もし、目の前に星が落ちてきたら、
 素直にサヨナラを言ったあとに、
 また来世でねって付け加えよう。
 
 だけど、今はこんなに平穏なんだから、
 明日から、また君が生きれるように
 今は静かに励ますよ。




☆静かに
 物音なく、ひっそりとしている様子




 ■■■君はただ、疲れてるだけだよ。■■■


 静かに方を震わせ、
 泣き始めた君の青の涙を拭いたいから、
 疲れ切った君を、ただ、抱きしめたい。



☆現実逃避
 問題から背を向け、気を紛らわせようとしている様子



 ■■■今は考えるのをやめてしまおう。■■■


 気分が悪くなることなんて、
 考えるのをやめてしまって、
 今は、現実逃避に集中しようよ。

 とりあえず、ウィルキンソンでも飲んで、
 諦めるのも悪くないって、
 しっかり自分を落ち着かせよう。



(おもんばか)
 相手のことを深く考えて、思いやること



 ■■■グチャグチャな気持ちを混ぜたい■■■


 無数の言葉をミキサーにかけて、
 君の気持ちを慮おもんばかって、
 手帳に思ったことを綴るよ。

 コーヒーにクリープを入れて渦を作り、
 混ぜずに馴染んでいくさまを
 ゆっくり眺めて3秒、心の中で数えた。

 上手く寝付けなかったのは君の所為だよ。
 
 寝不足の頭で君から一方的に言われたことが
 グルグル頭の中を回っているから、
 君に言いたい。
 時間返して、と。

 コーヒーを飲んでも気分は治らないし、
 世界はありきたりに過ぎていく。

 きっと、そのうち忘れるよって、
 誰かにそっと言ってほしいな。





☆罪悪感
 間違ったことをしたかもと、自分を責め、モヤモヤした気持ちを抱くこと



 ■■■どうしても一人になりたかった。■■■


 自分を守るためにつき慣れた嘘を言って、
 今日もなんとかひとりの時間を作った。

 遠くの街のカフェまで行き、
 ようやく嘘をついた罪悪感から一息ついた。

 友達と居ると楽しいこともあるけど、
 疲れることのほうが多い。

 理由はわかってるんだ。
 自分が他人に気遣いすぎだってことも。

 だから、今は気にせずひとりで、
 クリームブリュレの表面を
 スプーンでそっとつついた。




(とりこ)
 夢中になってしまっている様子



 ■■■君の虜とりこ■■■


 僕と君以外、誰もいない放課後のプールで、
 制服を着たまま、素足に水をつけている。
 たまに弱いしぶきを作り、底の青を揺らして、
 無数のキラキラを作る君は、
 無邪気で、最強の透明感を作り上げているよ。

 そんな君は、本当にもう、可愛すぎるんだよ。

 夕方になっても絶望的に暑すぎる日々が続くけど、
 君とこうして横並びになって、話している時間は長く感じないよ。

 もう、お互いに緊張なんて存在しないくらい、
 くだらないことばかり話しているから、
 きっと、もう、僕は君の虜だ。





☆弱音
 乗り越えられそうもない、困難な状況になったとき、
 乗り越えられないような言葉や、態度を表に出してしまうこと


 ■■■君はきっと、今、私が泣いていることなんて知らない。■■■

 君と離れ離れになり、
 電波じゃ埋め合わせられない言葉じゃ、
 もう、限界が来そうで怖いよ。

 こんな弱音、言えないのはわかっているよ。
 頭の中では。

 ただ、深く思うの。
 会いたいって。




☆言い訳
 自分がやったことの説明をし、相手に理解を求めていること



 ■■■集団に適合できない■■■


 休み時間の他の笑い声が聞こえると途端に孤独で怖くなる。
 10代の段階で、集団に適合できなくて、
 馴染めない自分はどうすればいいんだろう。
 
 そう思うってことは、
 それなりに上手く行かない理由を言い訳しているだけなのかな。
 
 ぐるぐる頭のなかでそんなことを回しながら、
 今日も、誰も話しかけられない一人きりの世界で、
 朝、自販機で買ったボトルのカフェオレを一口飲んだ。




☆嘘
 真実ではないことを、人に伝えること



 ■■■嘘で塗り固めないと、自分を保てない君へ■■■


 嘘で塗り固めないと生きていけないんだよね。
 そんな君の嘘は人のことを考えて過ぎている嘘なんだよ。

 だけど、気がついて。
 君のことをわかってくれる人は君自身だってことを。
 だから、もう、嘘つかないようなところを見つけて、
 自分らしさのゆりかごに少しだけ近づいてみてほしい。

 もっと、自分勝手に。
 強く、強く。




☆大人になれない
 自分の精神年齢が、未成年のままのように感じているさま


 ■■■普通の人が羨ましい■■■


 どうして普通ってレベチなの?

 普通になりたかった。
 普通になれない私は大人になれない扱いをされ、
 小馬鹿にされる表情、言葉、仕草、向けられる悪意が嫌だ。

 そして、確かに私って、普通じゃないよねって、
 はいはい、わかってますからって、思っても、
 社会は普通の人向けに作られているから、
 結局、普通じゃない自覚をして、
 それでも私は自然と普通を求める。

 だから、普通を求めない世界を自分で作れるようにしたい。




☆中途半端
 物事を完結させず、そのままになっていること



 ■■■始まってしまった遠距離恋愛■■■


 ホームで電車を待ちながら、
 昨日、中途半端にしてしまった
 君とのメッセージの返信を考えている。
 
 君はきっと、上手くいくと思うよ。
 そう思えるくらい、
 眩しくてうらやましい内容だから、
 もう、別に返さなくてもいいんじゃないかと思ったけど、
 離れても君とのつながりを失いたくないから、
 しっかり、優しいメッセージを返してあげよう。




☆自意識過剰
 他人の何気ない言葉に敏感になりすぎている様子



 ■■■雪が幻を癒やしてくれたらいいのに■■■


 手のひらを灰色の空に向けて、
 降り始めた雪を受け止めてみる。
 誰もいない公園で、冷たさを感じる。

 綿雪が手のひらに乗った瞬間、
 白はすぐに透明になった。

 こないだの上手くいかなかった恋の傷は
 まだ癒えないから、
 雪の感触を、そっとひとりで楽しみたい。

 受け入れられなかった事実と
 緑黄色や差しをミキサーでかきまわし、
 それを一気飲みして、
 健やかになりましょうね。

 雪の降りがだんだん強くなるほど、
 自分が世界の中心に思える。

 自意識過剰でも、たまにはいいでしょ?
 傷が癒えるなら。




☆QOL
 クオリティ・オブ・ライフの略 生活の質や、幸せかどうかを計る概念



 ■■■QOLは下げられない。■■■


 疲れ切った身体でパスタを茹でる。
 本当は惣菜を買ってもよかったけど、
 健康と節約のためだと根性を張る。
 いい生活をしたいと思うのは、
 意地っ張りだとたまに思う。

 きゅうりを切り、レタスをちぎり、
 トマトを切る。

 眠いけど意地でもQOLを下げたくない。
 いつまで頑張ればいいんだろう?








*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


恋の言葉


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*





☆キス
 好きな人と、口づけをすること


 ■■■空飛ぶクジラ■■■


 3秒のキスはチョコが溶ける
 早さと同じくらいに感じた。

 辺りは静まりかえっていて、
 夜の公園は二人だけのものだった。

 願っても相変わらず
 時は止まらないから、

 君と一緒に空飛ぶクジラに乗って
 荒野を探索しよう。

 そんな約束を提案したら、
 君は小指を差し出して、大好きだよと言った。



☆抱きしめる
 愛情や好意を示すこと 恋人同士だと愛を確かめること



 ■■■ 強く抱きしめて■■■


 「泣いたままでいいよ。弱くなんかないから」
 君にそう言われて、胸の奥の黒さがはち切れそうになったよ。

 それはもう、抑えきれる力じゃないから、
 余計に何粒も涙が流れちゃったじゃん。

 気がつくと、私は君の胸の中にいた。
 だけど、つらさは溢れるばかりだから、
 それらをすべて忘れられるように、
 もっと、強く抱きしめて。




☆友達以上恋人未満
 告白はされていないけど、何気なく恋愛関係にあるように錯覚する相手との距離感



 ■■■誰もいないホームで、君とふたりで電車を待っている。■■■


 薄暗くなったホームのベンチに座り、
 ふたりで無限にくだらないことばかり言いあって、
 友達以上恋人未満にもっと浸っていたい。

 遠くで鳴る踏切の音がして、
 一気に離れ離れの現実が訪れた気がした。

 だけど、そんなことなんて気にもせず、
 君が無邪気に笑い続けるから、
 もう少しだけ電車の速度が落ちればいいのにって、
 静かに願った。





☆ラブストーリー
 恋愛に関する物語、恋物語



 ■■■寂れた街と海と君■■■


 ラブストーリーを忠実にこなすことすらできなかったね。

 あの日も、このなにもない寂れた街だから、
 ぼんやりと海を眺めることしかできなかったんだ。
 
 退屈な日常と、憧れる夢のギャップで、
 お互いに夢に向かって、歩き始めたら、
 共通点は、寂れた街の海を一緒に眺めたことしかなくなってしまっていたんだ。

 あのときは、もっと、大切な思いを抱いていると
 思い込んでいたけど、それはラブストーリーの夢に過ぎなかったね。





☆愛している
 相手のことを特別な存在だと、伝える言葉



 ■■■ダメな私を全肯定してくれる君はネ申だけじゃ収まらない。■■■


 恋に迷いやすく、
 しくじることが多かった私のことを、
 全肯定してくれる君に出会えたのは
 奇跡だったと今でも思うんだ。

 こんなダメな私でも、
 「君のすべてを愛しているよ」って、
 こっちが照れるくらいの言葉でしっかり伝えてくれる人は、
 もう、これ以上現れないような気がしているよ。
 




☆連絡
 スマホなどを使って、相手と気持ちを共有し合う行為のこと



■■■あなたが好き■■■


 残り日数が少ない手帳を開き
 自分が変わったのを実感する。

 恋愛はすべて知らないから良いわけで、
 あなたを呪うほど知り尽くしたいけど
 重たい恋だなんて言わせない。

 だから、嘘をつきたくない。
 今日も特に用もないのに連絡してしまった。

 仕方ないじゃん。
 好きになったんだから。






☆離れ離れ
 恋人と近くに居たいのに、距離ができてしまうこと



 ■■■1000年の中で生きているつもりで。■■■

 なぜかわからないけど、
 お互い離れ離れだったような気がするんだ。

 君がそう言ったから、
 前世でも惹かれ合ってたんだよって言おうと思ってやめた。

 だけど、本当にそんな気がするよね。
 まだ、照れくさくて君に返せなかったけど。

 もし、何度も生まれ変わって、
 1000年後に君に再会したら、
 今日のこと、そっと伝えてみよう。



☆傷を舐めあう
 お互いの嫌なことを共有し、慰め合うこと




 ■■■すべての記憶を消して、あなたと出会いたかった。■■■


 季節は冬に進むにつれて、
 あなたとの関係性は深まるばかりだけど、
 手を繋ぐことは変わらないよね。

 公園の中はすっかり枯れ葉に覆われて、
 踏むたびに響く乾いた音が切ないな。

 あなたとの時間は先週の初雪みたいに
 清らかに解けていくのはなぜかしら。

 そんなこと、聞く必要なんてないほどね、
 暖かくキラキラした日々を感じ続けているよ。

 すべての痛かった記憶を消して去って、
 今の瞬間から始めたかったな。

 お互いに傷を舐めあうことはきっとしないけど、
 私はただ、今のあなたが好きだよ。






☆倦怠期
 恋がマンネリ気味になり、輝きを一時的に失うこと


 ■■■倦怠期を乗り越えたい。■■■


 すれ違う日々が続き、
 お互いにギクシャクしているような気がする。

 君の機嫌を直すきっかけを作るために、
 君の好きな店のシュークリームを買ったよ。

 甘さと引き換えに倦怠期を乗り越えられたら、
 きっと、ふたりはより強くなれる気がするよ。





☆不機嫌
 相手に自分の気持ちが上手く伝わらなかったり、気持ちがすれ違うこと



 ■■■君の不機嫌を甘さで戻せたらいいな■■■


 不機嫌をなおしてよって言うのは、一方的すぎるよね。
 だって、君を不機嫌にさせてしまったのは、
 軽はずみで言ってしまった僕の言葉の所為なんだから。
 ごめんね。

 夜風で頭を冷やしながら、
 ローソンでロールケーキ買ってくるね。



☆機嫌を直す
 いつもどおりの愛情が蘇ること


 ■■■あのね、最近■■■



 ソーダ水の前で突っ伏して、
 顔を上げてグラス越しに君を見る。
 泡の中で拡大された君はそっと微笑んだ。
 
 あのね、最近。
 私自身を保てなくなっているの。

 レモンをひとつ混ぜるように
 酸味のある日々を過ごしたいね。
 そう君に言いたいけど、言えないな。

 コーヒーフロートのバニラみたいに
 ゆっくり気持ちを溶かして
 仲直りの魔法をかけよう。

 機嫌を直すには君の言葉が必要だよ。
 必死になっている私をバカにしないでね。

 そうとはしらずにそっと頭を撫でられたから、
 モヤモヤを打ち消して、君のことを許そうかな。




☆約束
 相手から、愛の提案をされること



 ■■■君からのメッセージで勝手に熱を帯びる。■■■


 奥手な君を待ちきれなくなっている。
 夏に君と知り合って、思いを寄せていることに
 きっと、気づかれていなくて、
 砂浜で二人で踊りたい気持ちは、今も抑えられない。

 だけど、君との恋は進まず、
 世界は変わらないままだ。

 だから、たった今、
 届いた君からのメッセージで、
 会う約束をされたのは革命的な出来事で、
 勝手にソーダ水のように透明な君との未来を想像して、
 今、熱を帯びている。



☆横並び
 相手の隣に座ること



 ■■■夏休みは恋のはじまり。■■■

 君とは未だに恋人以上恋人未満だけど、そう思っているのは私だけかな。

 夏休みが始まった無人駅のベンチで二人、横並びに座り、
 1時間に一本の列車を待っている。
 帰宅部の君は忘れ物を取りに来たって、
 こんなことでわざわざ学校に来るなんてどうかしていると笑った。

 君はオーバーサイズの白いTシャツにシルバーのネックレスを付けている。
 君の私服姿を初めて見たけど、やっぱり君が眩しすぎるよ。

 「このまま、街に行こう」
 と言われて、ドキッとした。

 私も制服なんて着てこなきゃよかったな。




☆告白
 相手に恋心を抱いていることを伝えること



 ■■■不意に夜が明るくなる。■■■


 蒸した夜のローソン前で、
 君に告白された瞬間、
 予想外の言葉に呆気に取られてしまった。

 だけど、答えはひとつしかないよ。
 君は最高だからね。

 このまま、家まで向かってアイスを食べようね。



☆片思い
 相手が自分に好意があるかわからないゆえに、気持ちがモヤモヤすること



 ■■■私が片思いしていることを君は知らない■■■


 片思いなんて、無意味なのかもしれない。

 だけど、君が私にくれた優しい言葉が忘れられず、
 もっと君のことが知りたくなったんだ。

 だから、君との関係が終わってもいいから、
 明日、君に伝えてみる決意をした。




☆君と話す時間
 どんなに時間を費やしても、相手のことを、もっと知りたいこと



 ■■■閉じ込められた世界の中で、僕たちはしっかり生きるしかない。■■■


 土砂降りの公園を屋根付きのベンチの中から、
 君と座りながら雨が上がるのを待っている。
 天気予報を当てにした僕らはバカらしくて、
 お互いに几帳面に生きる僕たちは、
 雨に笑われているねと君と話す時間は尊い。

 「このまま閉じ込められたらどうしよう」と
 君がぽつりと言ったから、
 君となら閉じ込められてもいいよと、
 素直な気持ちを君に伝えると、
 君は微笑み返してくれたあと、僕の手を繋いだ。

 だけど、その願いとは逆に、
 降り続けている雨が雲の隙間から差し込み、
 黄色でキラキラし始めた。
 きっと、僕たちはこれからも上手くいくなって、
 理由はわからないけど、微かな予感を抱いた。




☆手を繋ぐ
 同じ行動や同じ場所に行くこと



 ■■■夏は永遠くらいがちょうどいい。■■■

 ひまわり畑で白のワンピと
 麦わら帽子の君は最強すぎて眩しい。

 君の姿をiPhoneに残して、
 いいねと伝えると君は柔らかく微笑んだ。

 僕たちの先には入道雲が立ち込んでいる。
 先の未来なんて何も考えたくない。
 
 君の手を繋ぐと、君は握り返して、
 「来年もまた見ようね」と
 ささやかな永遠を誓った。
 
 僕は離さないと強く決意を固めて、
 君にキスした。






☆ずっと、一緒にいよう
 ずっと隣にいたいくらい、相手との時間を共有したいという意味



 ■■■昨日は楽しかった。ただ、それだけの事実だけでいい。■■■

 指切りをした昨日を思い出した。

 あなたと橋から眺めた花火は儚くて、
 穏やかな川面に揺れながら、反射していた。

 「ずっと一緒にいよう」と言われたのを思い出し、
 右の小指を立てて、小指をじっと眺める。

 あなたの感触をありありと思い出せるよ。

 当日配布のように確約のない約束を
 あなたは本当に守ってくれるのかな。

 捨てられた過去はつらいけど、
 そんなの忘れて、夏を楽しもう。




☆世界の片隅
 ふたりきりの例え 世界滅亡など究極の状況になっても、
 相手と一緒にいたいと思えるさま



 ■■■穏やかに日々は過ぎていく。■■■


 楽しいことを君とたくさん作って、
 ミラクルな暮らしをしよう。

 外はいつものように騒がしいから、
 炭酸水を飲みながら切り離そう。
 日々、秋は深まっていくけど、
 心の隙間は埋まっていくよ。

 世界の片隅に思えるくらい、
 この家は二人だけの楽しい空間だね。
 穏やかな日々が過ぎ去るだけでいい。

 それ以外は何もいらないから、
 都市の孤独とは無縁になれるね。

 だから、何が言いたいかと言うと、
 君が好きだってことだよ。



☆オキシトシン
 相手からの優しさや愛情を感じると放出される神経伝達物質


 ■■■君は安眠装置。■■■


 狭いソファで君に膝枕をしてもらうと、
 オキシトシンが増量されている気がするのはなぜだろう。
 これだけ、落ち着く人なんて、
 もう、いないかも知れないね。




☆好き
 相手を恋愛感情で特別視しているということ




 ■■■君との恋は永遠に続く。■■■


 最初から君のことが好きだよ。
 君を見た瞬間から、
 この恋は上手くいくと確信した。

 だから、今、こうして君と一緒にいれることは、
 砂浜に落ちた星の欠片を集めて、
 それをミキサーでミルクと一緒に混ぜて、
 淡い黄色にするくらい、特別なことだよ。





☆大好き
 「好き」よりも、より相手を恋愛感情で特別視しているということ




 ■■■甘すぎるくらい君への気持ちが溢れる■■■


 君が涙を流すたびに、
 君を全肯定したくなっちゃう僕は、
 君に甘すぎるくらい、
 君のことが大好きなんだよ。



☆可愛い・かわいい
 愛らしいこと




 ■■■君と僕は、今日、世界から取り残された。■■■


 悩んでいる君の表情は幼くて可愛いから、
 深刻そうな悩みも、なぜかポップに見えてしまうよ。

 学校に行かなかった僕たちは、
 手を繋いだままベンチに座った。
 誰もいない午前中の公園は秋の風が吹き、
 木々が音を立てて揺れている。

 君のショートボブも弱く揺れて、
 僕は思わず、君の頭を撫でた。

 君は音もなく泣き始め、
 「みんな、いなくなればいいのに」と言った。
 僕は思わず、君を抱きしめた。
 君が多数から消されないように。




☆別れ
 一緒にいようと思っていたのに、相手と決別してしまう理由ができてしまったこと



 ■■■別れたあとの穴は塞がらない。■■■

 別れたあとの世界は淡々と進むけど、
 心に空いた穴は未だに塞がらないよ。

 キスをしたことや、
 キズを癒やしあったことは、
 すべて夢の彼方に消えてしまったね。

 だけど、忘れないよ。
 君に優しくされたことは。





☆相性抜群
 どんなことも、まるで相手の内面を覗いているみたいにわかってしまうこと




 ■■■ふたりは相性抜群 ■■■


 喧嘩のあとって、寂しさと、自己嫌悪で最悪だけど、
 「ごめんね」と伝えたら、
 「いま、言おうと思ってた。ごめん」って君が返してくれた。

 そう言われるってちょっとだけ思ってたよ。

 嫌なムードでも、ふたりの相性抜群で、
 この愛は同じタイミングで、
 同じように思うことで、続くんだから。






☆おいしいね
 美味しい食べ物を共有したときに伝える言葉



 ■■■テイクアウトしたい春■■■

 
 テイクアウトしたフラペチーノを飲みながら、
 ふたりで桜のしたのベンチに座って、
 暖かいなかにいるのは、
 ただ単に幸せすぎるのは君のおかげだよね。

 「おいしいね」って君が言ったから、
 「おいしいね」って返すことができる今を、
 今、膝の上に落ちてきた、
 花びらと一緒に保存したくなった。




☆すれ違い
 相手と連絡や、会う機会が社会的理由で断裂させられているさま



 ■■■春に始まり、春で終わる恋だった■■■


 君との恋は桜が散るときに始まり、
 桜が咲いてすぐに終わったね。

 この一年、すれ違いとか、多かったし、
 君のことをしっかり理解できているつもりで、
 理解できていなかったし、
 お互いに妙にすれ違っていたんだね。

 もっと、君との心の距離を近づければ、
 簡単に別れることなんてしなかったのかもしれないね。





☆寂しい
 精神的に弱くなってしまったときに、より相手を意識すること



 ■■■一緒だけど寂しいのは夜の所為■■■


 君と一緒に夜の住宅街を歩くのは少しだけ寂しいよ。
 なんでだろうね、一緒にいるのに。

 ただ、そんなことを口に出すと、
 きっと、引かれるだろうから、
 私はそのまま、君と手を繋いだまま、
 小さいパフェを買いにローソンへ向かう。




☆振り向いて
 相手に片思いをしているときに、相手に好意を持ってほしいと思うこと



 ■■■揺れているよ■■■


 蜃気楼のなかでビルが揺れるみたいに、
 君への想いは日々、積み重なり揺れているよ。

 どんなにメッセージを繰り返し、
 夢のなかで何度も君と会っても、
 いまだに君との距離は縮まらないね。

 ねえ、はやく振り向いてよ。




☆元気だして
 相手のことを思い、無事であることや、健康であることをそっと願う言葉




 ■■■花火大会を遠くから見るのは、僕たちらしい気がするよ。■■■


 君の悩みを忘れさせる魔法なんてないから、
 思いつきで橋の上から花火を見ている。

 川面に染まるカラフルは一瞬だけど、
 君の彩りは永遠だと思うよ。

 だから、元気だして。





☆ロマンス
 すべての恋愛のこと


 ■■■いつか忘れそうになったら、最初の頃のこと、思い出すよ■■■

 
 
 いつの間にか大人になってしまった。
 雨の中で愛を誓ったときよりも
 ロマンスをたくさん袋の中に詰め込んだね。

 君と過ごす時間はすごく貴重だから、
 空港で空飛ぶクジラを待つように
 ゆっくり過ごす時間を作りたい。

 チョコレートに生クリームを混ぜて、
 美味しくふわふわにするように、
 大切に扱ってね。

 もし、君との言葉が噛み合わなくなったら、
 あのとき交わした3秒間のキスを
 しっかりと思い出して、
 すべて許してあげるよ。









*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


 ポジティブな言葉


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☆素敵
 すばらしいこと



 ■■■ヒロインは君だ。■■■

 離れたくない。
 海まで続くこの下り坂を歩いて行こう。
 ずっとこのままでいようと安直に思える君は素敵だ。

 遠くの踏切が赤く点滅し始めた。
 海の先には入道雲が立ち込めている。

 袖付きの青いレトロワンピースを
 君は華麗に着こなしていて、
 君がヒロインの物語は出来上がっている。

 急に君が立ちどまった。

 「手を繋いで」
 穏やかな声でそう言ったあと、
 君は僕に手を差し出した。





☆素直
 考えや、態度がまっすぐなこと



 ■■■いつまでも笑いあえるのは、君が魅力的だからだ。■■■


 君も僕も出会ったときよりも、
 すっかり変わってしまったように思うけど、
 お互いにコーヒーを飲みながら語るたびに、
 大人になったような気がするよ。

 ただ、今でも少年少女のまま、
 笑いあえるのは君のおかげだから素直に感謝したい。



☆再会
 会いたかった相手に、念願叶って、久々に会う様子



✦純粋に君のことが好きだった


 小学校のとき、好きだった男子がいた。
 息だってあうし、無限に会話だって続くような気がした。

 だけど、お互いにどうやって、
 恋を成熟すればいいのかわからないまま、
 卒業の日を迎えて、
 ふたりは別の中学校に進んだ。

 そして、この夏、
 4年ぶりに君とたまたま、
 近所のイオンモールで再会してしまった弾みで、
 私は思わず、
 「あのとき、好きだったよ」と勢いで言ってしまった。

 そしたら、君は微笑んでくれて、
 「あのときは、わからなかったんだ。だけど、今ならわかるよ」
 と言って、私の手を繋いでくれた。




☆上手くいきそう
 思ったより、相手と息が合うさま



 ■■■突然の雨は本当の姿をさらす。■■■

 突然の雨で、二人でずぶ濡れになりながら、
 屋根のある公園のベンチに座り、お互いに見つめ合う。

 君の髪から滴る雫。
 濡れた顔や服すら似合う君は素敵すぎるから、
 それがおかしくて笑うと、君も笑ってくれた。

 「なんか、上手くいきそうだね」と言われた瞬間、
 この恋は実ることをしっかりと感じ取ったよ




☆綺麗
 美しいこと 内面も素直で美しいこと



 ■■■終わりなんて見えないから、世界は美しく見えるんだろうね■■■


 時空を逆らうように、
 泣く君はなぜ綺麗なんだろう?

 輝く涙は潮騒しおさいに紛れて消えていく。
 潮風がきっと忘れさせてくれるよ。
 そんな気の利いたこと言って、簡単に終わらせたくない。
  
 だから、炭酸が抜けないうちに
 コーラを飲んで、
 無数の虚しさを消し飛ばしちゃおう。



☆チャンス
 良いことに繋がる予兆を感じること



 ■■■ピンチな気持ちを楽しくしたいんだよ■■■


 ピンチになった瞬間から、
 チャンスが来たと思い込むようにしているんだ。
 だって、そう思わないと楽しくないじゃん。



☆証明
 裏付けの証拠があること



 ■■■君が中心だよ。■■■


 君が世界の中心だってことを
 証明したいくらい、このままずっと君の話を聞いていたい。



☆100%
 欠点が見当たらないさま 100点と同義



 ■■■このまま透明なままでいて。■■■

 君とこのまま、手を繋いだまま、真夏の空を飛び、
 ショッピングモールの吹き抜けのガラスの上を歩きたい。

 透明感100%の君がこのまま消えてしまわないように、
 素直に君の透明感が好きだと伝えた。



☆純度
 素直であること



 ■■■君の純度を僕は知っている。■■■


 冬が始まった朝の凛とした空気くらい、
 君の素直さの純度が高いのを、僕は知っているよ。



☆透明
 「純度」よりも、より素直に感じること


 ■■■透明なままで十分だ。■■■


 君の泣き顔なんて見たくないよ。

 何色かに無理矢理、染めようとする人のことなんて、
 無視して、君には透明なままでいてほしいんだ。

 だから、君はそのままで十分輝いているよ。



☆最高
 相手のことを、より強く、素敵だと思うこと


 ■■■あなたは優しいけど、遠い。■■■


 あなたは、最高に夜の淵が似合うね。

 たまに遠い目をしているあなたは、
 自分のことで精一杯なのかもしれないね。

 ただ、これだけは言わせて。
 私はあなたを必要としているよ。





☆優しい
 相手がしっかりと、自分のことを理解を示してくれていること 認めてくれていること



 ■■■温度感は忘れても■■■



 仮に凍てついた世界の果てで、
 蒸し暑かった今日の熱気を忘れても、
 君からの優しい言葉は忘れないよ。




☆丁寧
 相手のことを思いやり、優しく接すること



 ■■■もとに戻す魔法を唱えたい■■■


 公園のベンチにそっと缶を置いて、
 桜で鮮やかになった世界をぼんやり眺める。

 記憶とリンクする春の空気、
 君が好きだったフレンチクルーラー、
 トレーに落ちる砂糖、
 クーラーで満たされた停滞する空気感。
 今でも、きれいに再生できるよ。

 風で弱く揺れる小枝にそっと囁きたい。
 あのときはすべて本気だったんだよと。

 いらない言葉ですべてを汚して、
 黒い懐かしさをそっと水に馴染ませたい。
 そして、すべてを元に戻したあと、
 変わった自分で仲良しの魔法をかけて、
 君を丁寧に扱いたい。



☆未来
 無限の可能性を感じること



 ■■■スランプに負けたくない■■■


 もう、スランプすぎて、
 自分の気持ちもわからなくて、
 ノートにすら書けないくらい言葉が見つからなくても、
 ひとつだけ言えることはある。

 未来は絶対、明るいんだ。
 夜明け前が一番暗いから。




☆天才
 素質もありながら、一定の努力も重ねることができること




 ■■■天才になりたかった■■■


 天才になりたかった。
 もっと、憧れる人になりたかった。

 年パスでディズニーシーに通い詰めたいな。
 新作のiPhoneでエモい写真を撮りたいな。

 無数のプチプラのリップの蓋をカチカチ何度もやって、
 TikTokで一発バズって、
 インフルエンサーにでもなろうかな。

 でも、今は絶望を繰り返しすぎて、
 まともに動くことすらできなくて、
 ベッドは絶望を溶かす唯一の夢空間で、
 そのなかで妄想をめぐらし続けても、
 自分が一体何なのか、自分でもわかりやしない。
 
 大人になんてなりたくないし、
 今はただ、本当になにもしたくないな。

 そんな今でも、光が射してほしい。
 



☆シンプル
 素直であるゆえに、本質に気がついているという状態



 ■■■ 君は特別な存在だからだよ ■■■


 私が苦しくて、絶望の中にいたとき、
 「シンプルに考えたらいいんだよ」
 と君は笑みを浮かべながら、あのとき言ってくれたよね。

 そのとき、闇の中だった私の心を救ってくれて、ありがとう。

 あのときから、君はどうして私のことを
 そんなにわかってくれるんだろうって、
 すごく不思議だったんだ。

 だけど、あのときから3年経って、
 君のことを知った今なら、私は簡単に答えられるよ。

 君は特別な存在だからだよ。





☆大丈夫
 混乱している、相手や自分に優しく言い聞かせる言葉



 ■■■たまに鬱屈するけど■■■


 今まで生きてきたのは、間接的にも、
 直接的にも、無数の人たちが私と関わってくれたからだ。
 
 たまに鬱屈するときもあるけど、
 そんなときは、大丈夫、大丈夫って自分に言い聞かせて、
 悪いことのあとはいいことがあるって、信じることにしている。

 だから、こんな何気ない日常にも、
 私はすべての人に「ありがとう」って大きな声で伝えたい。



☆嬉しい
 喜びを素直に表現できる言葉

 
 ■■■少し背伸びして、大人っぽいワンピースを買った結果。■■■


 君のために少し背伸びして買った
 青いワンピースを褒める君は本当に優しい人だね。

 少し大人っぽいかもと思ったけど、
 素直に褒めてくれて嬉しいよ。






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ファンタジックな言葉


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☆星の欠片
 黄色い星の欠片のこと 隕石として落下した際に隕石が粉々に割れてしまった破片のこと




 ■■■あの日、君と世界の果てへ行くことを約束した。■■■

 屋上で二人きりで、
 世界の果てみたいな夕日を眺めた日、
 君と恋に落ちた。

 それは今でも続いたままで、
 君と無限について、何度も何度も話して恋に落ちたんだ。

 星の欠片を繋ぎ合わせて、
 落下した星をそっと空に返すように
 紡ぎあった言葉は今でも有効で
 きっとこのまま手を繋いだまま、
 裸足で砂浜を歩き続けることができるね。

 君と退屈を抜け出して、
 果てまで行きたい。



☆冥王星
 人を惑わすと言われている惑星
 1930年に発見され、太陽系第9惑星とされていたが、
 2006年に「惑星」の再定義の基準に満たさなかったため、準惑星にされた


 ■■■無理なんてしなくてもいいよ。■■■


 君は無理をして、
 いつも全力で何かを突破しようとする癖は知っているよ。

 君の情熱は冥王星と地球を往復する
 客船を引くクジラくらい、
 変え難いものがあるけど、
 休める時は休んで。




☆隕石
 星が地球に落ちること



 ■■■コンクリートの非常階段にて■■■


 コンクリートの非常階段から夜景を眺めていた。
 夏が始まったばかりだから、少し冷たい。
 時々、なぜこんなに人が都会に暮らすのか疑問に思うけど、
 便利で仕事があるからに尽きる。

 セブンスターが燃え切ったとき、
 遠くで隕石が落ちていくのが見え、手が震えた。




☆キラキラ
 太陽などの光源により、あるものが輝くさま



 ■■■透明の季節になり、久々に君に会えることになった。■■■

 電車に乗って、遠くの街に住む君に会いに行く。

 被ってきた麦わら帽子を膝に乗せて、
 流れていくキラキラした海をぼんやり眺めている。 
 
 クールな君はきっと久々の再開でも、
 いつもみたいに波がない反応を返してくると思うけど、
 昨日、したためた手紙を渡したときは驚いてほしいな。



☆反射
 太陽などの光源により、あるものが輝くさま キラキラと同義



 ■■■悩みあるときは、シャボン玉でも吹いてよう。■■■


 不甲斐ない思いをシャボン玉の中に、すべて吹き込んでしまおう。
 ストローから離れ、上昇していくのを眺めた。

 虹色に太陽を反射して、
 一瞬、きらめいて消えていった。

 これと言って、気持ちは晴れないけれど、
 あんなふうにすぐに終わればいいな。



☆プリズム
 透明体を光が通過したときに、屈折、分散され映される淡い虹色のこと



 ■■■夏の始まりのプリズム■■■


 梅雨の中は夢の中みたく歪んだトンネルで、
 見たくない余韻はプリズムに反射する。

 一瞬、時が止まり、
 雨粒が浮遊したまま、球体に緑と灰色を透過し、
 みんなの命が止まるのを映し出す。

 そんなワケない。
 歪んで、滲んで、死んでしまえばって思うけど、
 毎日は私を残して平和みたい。


 
 


☆空飛ぶクジラ
 ファンタジックな世界で、ザトウクジラなどが空を飛んでいる様子のこと 


 ■■■いつか、夏の空の上でホエールウォッチングしよう。■■■


 空飛ぶクジラに手を振る
 君の無邪気さをiPhoneに収めたら、
 君は少しだけ照れて
 「やめてよ」と小さな声で言った。

 深くなる夏の木々の緑の上を僕たちなんか無視して、
 銀色のビル群の方へゆっくり旋回した。

 今度、白い飛行船に乗って、ホエールウォッチングに行こう。
 そして、虹をくぐり、海原へ向かう
 クジラ達にまたこうして手を振ろうよ。

 傷つきやすい君に夢中な理由なんてわからないけど、
 一つあえて言うのなら、君の素直さはアルコールを入れると、
 より際立つからかもしれないな。

 だから、君にはいつまでも、純粋な気持ちを大切にしてほしいだけさ。



☆空飛ぶペンギン
 ファンタジックな世界で、コウテイペンギンなどが空を飛んでいる様子のこと 


 ■■■たとえ、ペンギンが空飛ぶ世界でも、日常は続く。■■■


 いつもの場所で赤信号につかまった。
 
 凛として澄み切った空気は最高に気持ちよくて、
 空は青さで昨日のことを思い出し、
 急に切なくなり、泣きそうになった。

 空飛ぶペンギンの群れが北に向かって、
 飛んでいくのが目に入る。

 昨日言われたつらい言葉なんか忘れて、
 今日も頑張ればいいやって、
 思っているうちに信号が青になった。



☆タイムマシーン
 時を遡ることができる乗り物のこと


 ■■■今、無価値の代償を支払いに行く。■■■


 タイムマシーンで君を迎えに行くよ。
 時空の果てで遭難した君を。

 座標をセットしたら、あのときのキスを思い出した。

 僕が引き出しに、したためた手紙を君が読んでいたら、
 ――この作戦は成功だ。

 僕はポータブルに吸い込まれた。




☆タイムスリップ
 過去や未来に時空を飛ぶこと


 ■■■素直になれなかったから、夏を永久に保存したい。■■■



 制服姿のときに伝えたあの気持ちは、
 すでに無効になっているのは、大人になった証拠だね。

 夜のローソンでアイスを買って、
 駐車場で人を愛することについて語った。

 LEDに変わり、固くなった街灯。
 街は夏でも冷たく感じる。

 仕事が終わってすべてが、
 どうでも良くなると君を思い出してしまう。

 だから、タイムスリップして、
 君と手を繋いで、そのまま約束を永久凍結のよに
 一生にする努力をしてやる。



☆タイムリープ
 ある一定地点の今に来た際、もう一度、ある一定地点の過去からやり直すこと



 ■■■楽しいことを増やせば、タイムリープになんて憧れない。■■■

 満たされない心は空っぽで、
 何をすればいいのか、わからない。

 今日も当たり前のように改札口は混雑していて、
 急いでいる人たちに圧倒される。
 
 上手くいかないことばかり思い出すから、
 スタバに入った。

 茶色の店内は少しだけ優しくて、
 苦いコーヒーで落ち着けと居活かせる。

 あのときのまま、
 夏がタイムリープしていれば、
 きっと、大人になる痛みを
 知らないで終わったんだろうな。




☆永久機関
 外部からのエネルギー供給されずに、ずっと力を生み出すことできる機械のこと



 ■■■君と永久機関で充電したい。■■■


 夏の青は一瞬のしぶきで吹き飛び、
 白い泡になり還っていった。
 ロマンチックな昼の港で二人で夢の話をしよう。

 手軽に永久機関を開発する話や
 電柱が宙に浮く超磁力の話
 恋の進捗が数値化される機械の話

 何でも手に入れたいけど、すべてのアイテムが無意味だね。
 と言った君が一番天才だね。



☆メビウスの輪
 輪を一度ひねり、「∞」の形になること 
 永遠や無限、終わりなき繋がりなどを象徴しているとされている



 ■■■もう、何も惑わされない。■■■


 メビウスの輪をヘアバンドで作った。

 テーブルに宇宙ができた瞬間、
 彗星が最接近するニュースが流れた。

 オレンジジュースを飲んで、
 何も考えないで輪を見る。

 今、目の前に、飛び込む情報に
 惑わされて、興味もないのに
 星を探しに行きたくなった。

 もう少しだけ、流されない軸が欲しい。



☆流氷
 冬にオホーツク海を覆い尽くす氷の塊 白にかすかに水色がかった色をしている


 ■■■週末の流氷■■■


 20時の電車はみんな疲れている。

 送ったメッセージは未読のままで、
 モヤモヤして返事待っている。

 今度の週末は二人でゆっくりしたい。

 例えば、星形のクッキーに乗って
 流氷を見に行こう。

 氷原に沈む夕日のオレンジに
 むかって乾杯しよう。

 そしたら、間違いなく気持ちが晴れるね。




☆雨乞い
 雨を天に望み、願うこと

 
 ■■■君を信じるよ■■■


 天に向かい雨乞いをする君のことを信じるよ
 だって、それだけ本気なんだよね
 だったら、僕が信じないのは、
 ダメなことだと思うから


☆雪乞い
 雪を天に望み、願うこと


 ■■■真面目な君が好きだよ。■■■


 「真面目ってよく言われるのけど、好きじゃないんだ」
 そう言ったあと、君は僕の数歩先を歩き、
 そして、立ち止まった。

 夜空を見上げて、
 君はそっと両手を広げた。

 僕はそんな君をただ眺めることにした。

 別に何かが降ってくるわけではないのはわかっている。
 だけど、君は何かを受け取ろうとしているように見えた。

 夏に雪乞いをするような君は真面目すぎるよ。



☆月の下
 月が出ている日の夜道を歩くこと

 ■■■ 君と一緒に歩く、月の下■■■


 月の下をふたりで歩いている。
 どこまでも、どこまでも、このまま歩き続けたいな。
 寂しさなんて、無縁な世界へ歩いて行こう。
 月の裏側に続く道を歩いて。



☆ボールプール
 原色でカラフルなプラスチックボールで満たされた遊び場 ドリームコアの代表格


 ■■■君の些細な言葉が私を励ましていた。■■■


 急に孤独のボールプールに飛び込んでも、
 寒色系の青いボール郡はプラスチックの冷たさを感じるよ。

 そんな想像ができるくらい、
 「頑張らなくていいよ」って言ってくれていた
 君が私の前から消えた事実は、
 動揺してマーブルチョコを床に撒き散らすくらい、
 つらいことだよ。


☆ビーカー
 注ぎ口があるガラス製の実験器具 300mlの目盛りがつきの大きさが多い印象


 ■■■すっきりしないから、光が射す方に自然と歩みたくなる。■■■

 もっと楽しいことを求めて、
 曇った空に右手を伸ばして、
 意識的に頭を空にする。

 水晶から世界を見るように、
 ガスで煙る朝を軽くしたい。

 もし、願いが叶うとしたら、
 ファンタジックな世界で余生を送ってみたい。
 
 大好きだった出来事をビーカーに入れて、
 世界に彩りを加えたい。



☆フラスコ
 底が丸くて、首が細いガラス製の実験器具 化学反応や蒸留をするために空け口の口径が小さく作られている



 ■■■嫌な傷をしっかり癒やしたい■■■


 フラスコ水に水色を足すように
 一滴ずつ、思い出をそっと混ぜていく。
 それを水瓶に移して、
 大好きなロックの周波数をあてて、
 踊る楽しさに増幅させたい。

 アパートの窓越しの世界は、
 今日も雨が降っていて、
 冷たい春は暖まる気配はない。

 フラッシュバックする嫌なことは、
 コーヒーをのむことくらいじゃ、
 消えなさそうだから、
 大好きな曲をiPhoneで流して、
 大嫌いな過去をしっかりと忘れる努力をしよう。




☆オーロラ
 ものすごく寒い場所で見れる光 大気の酸素と窒素にプラズマがぶつかり発光する



 ■■■雨音が響く■■■


 雨音は響く。
 今日も雨は降り続く。

 単調な毎日を過ごせてるだけ
 すごいことだけど
 いつも君に会えないから満たされない。

 いっそう、
 全部の不幸をぶちまけよう
 おもちゃ箱をひっくり返すように。

 オーロラを眺めるペンギンのように
 君と幻想的な自由を得たい。

 雨上がりに君に会いたい。



☆ダイヤの輝き
 ダイヤモンドに光があたり、屈折すること カットの方法によって、輝き方が違う


 ■■■そっと歩こう■■■


 雪の木曜日にロマンティックを求めたい。
 ネガティブなことすべて、吹き飛ばして。

 だけど、
 現実は甘くないから、
 ダイヤの輝きみたいに無難を祈って眠るよ。

 もし、雪原で君の無邪気さが見れたなら、
 こんなに最高なことはないよね。

 だから、今夜の夢のキャストは
 君が中心だからね。



☆UFO
 未確認飛行物体と言われている銀色で円盤状の乗り物

 ■■■きっと、今日の夕暮れは忘れない。■■■

 君はあの円盤のことを銀色のフリスビーみたいと言った。
 
 緑が深い山と山の間にUFOが飛んでいた。
 夏の夕暮れのオレンジに照らされたシルバーの反射は、
 きれいで思わず息を飲んでしまった。

 それが消えたあとも、
 君は人差し指を、空に指さしたまま、呆然としていたから、
 そっと君の人差し指を握った。







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時間の言葉


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☆瞬間
 またたく間


 ■■■夏に君の涙は湿度に溶けた■■■


 終電を降りて、
 駅前の信号で立ち止まった瞬間、
 少女だった君のことを思い出した。

 熱帯夜の公園、白いLEDの下で、
 君が悔しそうに涙を流したあの瞬間、
 僕は君のことを守りたいと思ったんだ。

 君をしっかり理解するとあの日、約束したけど、
 その約束は僕と君の心変わりで消えてしまったね。

 もう、相当前に過ぎ去ったことだけど、
 君の悔しさを、たまに思い出すんだ。




☆一瞬
 一回、またたきする間 


 ■■■恋に溺れ、嘘を覚えた■■■



 恋に溺れ、嘘を覚えた私は
 ペンギンが空飛ぶことを願うような状態になった。

 だから、本当に恋した君のことを逃したくないから、
 君を困らせようと思った。
 「本当は好きな人がいるんだ」
 「いいよ」
 「えっ、なんで?」
 「俺、人の心の声聞こえるんだ」

 一瞬、揺れた気持ちも君にバレちゃったかな。




☆今日
 朝、起きて、朝日を確認した瞬間、自覚する時間のこと


 ■■■大好きな朝の時間はもう終わるから、
    永遠にこの生ぬるい時間が続いてくれと願う。■■■

 機嫌に振り回されている。
 今日は朝から昨日の残りが、
 頭の中で渦巻いているから、
 限定のフラペチーノを飲もう。
 
 失望と絶望は尽きと星みたいに輝き、
 努力と義務は砂浜に流れ着いた、
 色あせた瓶みたいに徒労だ。

 口の中で渦巻く、優しい甘みとフレーバー。
 
 矛盾が正しい世界で
 今日はどう生きればいい?

 誰か教えて。


☆過去
 1秒でも、今が通り過ぎたあとのこと


 ■■■君を閉じ込めたゼリーをスプーンで掬う。■■■


 君のすべてを知る必要なんてないけど、
 君のつらかった過去を
 透明な炭酸ゼリーに閉じ込めて、
 すべて受け止める自信はあるよ。


☆無限
 時間をまったく意識しないこと


 ■■■こぼれた恋をたまに思い出す。■■■

 アイスコーヒーを飲みながら、
 ずっと前に思いを伝えられなかった君を思い出した。

 まだ、少年少女だった二人は、
 恋の進め方を知らなくて、
 思いを秘めて、
 無限に君と会話をすることだけが楽しかった。


☆永遠
 このまま、今の時間がずっと続いてほしいと願うこと

 ■■■君がもう一度、振り向いてくれたら良いのに。■■■


 最高に気持ちがいい朝、
 冷たい空気を思い切り吸い込むと、
 君を失った現実が込み上げてきた。
 制服姿の君がくれたキャンディは、
 甘酸っぱいレモンだった。
 懐かしい世界の中で、
 君と永遠に終わらない恋の定義を話したけど、
 結局、その定義は証明されなかったね。
 だから、もう一度、ドラマを動かすために、
 手に持ったままのiPhoneの中に、
 あの時のまま冷凍されたトークを開いた。
 『おはよう』と打ち込んだあと、
 後先なんて考えないで送信したら、
 すぐに既読がつき、
 急に心臓が破裂しそうになった。





☆今
 自分が自覚している瞬間のこと


 ■■■一緒に居れて楽しいよ■■■


 今は海浜公園のから海を眺めながら、
 君とコーラを片手にくだらない話ばかりしている。
 そんな君と手を繋がずに横にならんで座ったままだし、
 いつもと同じようなことしか話していないのに、
 どうしてかわからないけど、一緒に居れて楽しいよ。

 それはシンプルに心の底から思うし、
 それに対して、君はどう思っているのかな。

 だけどね、今はこの宙に浮いたままの、
 この状態が私はすごく嫌なんだ。

 だから、勇気を振り絞って、思わず君の右手を握って、
 君を見たら、君が不思議そうな表情を浮かべていたから、
 君の所為で余計つらくなっちゃった。






☆同じタイミング
 相手と同じ瞬間を共有すること

 ■■■ふたりは相性抜群■■■


 喧嘩のあとって、寂しさと、自己嫌悪で最悪だけど、
 「ごめんね」と伝えたら、
 「いま、言おうと思ってた。ごめん」って君が返してくれた。

 そう言われるってちょっとだけ思ってたよ。

 嫌なムードでも、ふたりの相性抜群で、
 この愛は同じタイミングで、
 同じように思うことで、続くんだから。





☆寿命
 生命において、生きる時間が決められていること


 ■■■もし寿命が200年だったら、この愛をどう処理すればいいの?■■■


 カフェの窓越しに夜の銀色な街を眺めていたら、
 色々、失ったことを思い出して、
 少しセンチメンタルになった。

 もしも、ホッキョククジラみたいに
 寿命が長くなったら、
 どうやって感情を処理して、生きればいいんだろう?

 もう二度と会えない
 君と今、デートしたら
 どれだけ会話が弾むんだろう?






☆いつまで
 期限を設けること


 ■■■このまま、自転車で駆け抜けたい。■■■


 遠くで鳴る踏切の音が静かな街に響く。
 自転車でいつものように中心地を目指し、
 少しだけひんやりした空気を切り裂く。

 シャッターがしまった商店街は
 いつまでもレトロのままで時が止まっている。

 今のままで十分だと、漠然とたまに思う。

 いつまでこんなこと続けるんだろう。
 とりあえず、次の休みはどこかに行きたい。

 ショッピングモールだけじゃ満たされないから、
 誰もいない展望台で思いを馳せたい。
 そして、ぼんやりして何もかも忘れたい。





☆月曜日
 日曜日の次の日のこと。休日の次の日に感じる憂鬱のこと


 ■■■大人になれない月曜日は、夢のかけらが二人を包み込んでいる■■■


 ファンタジーな日々を君に送りたいから、
 メリーゴーランドのスピードを落としたくない。

 月曜日には、きっと魔法がとけて、
 醒めた世界がひっそりと始まる。

 巡る季節が僕たちを追い越して、
 二人きりになったら、
 きっと二人とも今より、
 大人になっているのかもしれないね。






☆季節が巡る
 季節の変わり目に、自分が変わっていないのに対し、
 季節だけが先に進んだように感じ、寂しさを感じるさま



 ■■■早く季節が巡ればいいのに。■■■


 夏が始まったばかりの世界を、
 カフェの窓越しからぼんやり眺めている。
 飲みかけのアイスコーヒーと
 開かなっぱなしの手帳はそのままで、
 風で揺れる街路樹の木陰が涼し気に感じる。
 傷ついた昨日はすでに過去だけど、
 頭の中で言葉がぐるぐる回る。
 朝日と夕暮れを繰り返し、
 季節が早く巡って、
 癒えないままの私を一人だけ、
 置いてけぼりにしてくれたらいいのに。





☆午前0時
 日付が変わる瞬間のこと



 ■■■午前0時のモラトリアム■■■

 
 泣くな、青春は一瞬だ。
 前を向き続けることが人生なの?

 そんな生活や、価値観が、
 鬱陶しくて、押しつぶされそうだよ。

 呪われた灰色の青春に色を与えてください。
 大嫌いな日常はいつも空回りばかり。
 嫌な世界に、さよならを。

 そっと告げたいと思い、
 午前0時を跨ぐ。






☆ダイアリー
 日記、手帳のこと 過去の出来事を書き記したり、予定を書くもの



 ■■■青春が遠くなる■■■


 なぜか、離れ離れになったと錯覚していて、
 銀色の街を彷徨うように、
 運命的な出会いばかりを追い求めていた、
 あのときの私は、
 アイスコーヒーを夜に飲むたびに、
 大人に近づき、遠くなっていくような気がするよ。

 その苦みを感じ、
 黄色のロルバーンダイアリーを開くたびに、
 キラキラしていた日々が離れていくのを実感するたびに、
 青春が遠くなるって、思うんだ。








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色の言葉


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☆ワインレッド
 赤、濃い赤紫色 カラーコード #633142


 ■■■秋色ロマンス■■■


 二度と会えない意味を知るために
 二人で手を繋いで、落ち葉の上を歩いているわけじゃない。 
 
 死に向かって生きているのは
 当たり前の事実で、いつか大人になることも
 気の合う誰かと戯れ合うことも
 全ては幻想でしかないことは
 きっと生まれた瞬間からわかっていたはずだ。

 そんなことより、今を記憶に留めるために
 君と一緒に自撮りしたい。
 枯葉のブラウンや、ワインレッドと一緒に
 君のカーキと黄色の日差しを
 そして、肩寄せ合っているところを画素に落とし込みたい。

 この一枚の瞬間が、走馬灯を見るときに再生されるように。

 これからもたくさん、二人のストーリーを作ろう。





☆イエローゴールド
 金に他の金属を混ぜた輝きの色 本来の金より黄色みを帯びている カラーコード #C7B994


 ■■■尽きない輝きは永遠だ。■■■

 尽きない輝きを保存したくて、
 あの夏、キラキラの海で
 ふたりで自撮りした画像は、
 今、見返しても最強の夏に思えた。

 ただ、君ともう、別れてしまったんだ。

 帰ってきたあと、
 テーブルに置いたままの君からもらった、
 イエローゴールドのネックレスが
 午後の光で輝いているのが寂しいよ。





☆ピンクゴールド
 金に銅や銀を混ぜて、わずかにピンク色の輝く色 カラーコード #F5E2DB



 ■■■あのときを思い出すと、胸がきゅっとする。■■■

 鮮やかに消えていく記憶は断片だけになる。
 羊雲は強い風で柔らかく切れ、
 パーフェクトな青に混ざり合う。

 きっと君は私のこと、忘れているんだろうな。

 手を空に突き上げたって、
 ピンキーリングのピンクゴールドがきらめくだけで、
 もう何もわかりやしない。




☆カーキ
 黄褐色や黄緑色を帯びた茶色系の色 カラーコード #9a753a


 ■■■もし、今から駆け寄ったら■■■


 秋の半ばの銀杏並木道をあなたは駆け抜けていく。
 そして振り返り、僕を手招きした。

 あなたは木漏れ日に照らされていた。

 カーキのアウターに黄色のスカートが、
 なぜこんなにも似合うのだろうと強く思った。

 もし、今、僕が駆け寄って、
 あなたを抱きしめたら、
 どんな表情をするだろう?





☆青色LED
 青色 青色発光ダイオードが実用化されたことから、
 10年代からクリスマスのイルミネーションによく使われるようになる




 ■■■メリークリスマス■■■


 去年、君とクリスマスツリーの前で、
 誓った約束は有効のままで、
 今、こうして、君と手を繋いでアトリウムの中に立っている、
 LEDで青色のもみの木を眺めている時間は、
 すごく大切になりそうだよ。
 
 外は雪が降っていて、冷たくて寒いクリスマスだけど、
 信じることでより熱くなる気持ちが溢れて、嬉しいよ。

 「来年も大切にするね」
 君が急に耳元でそう囁いた。
 
 だから、私はゆっくり頷くと、君はまた笑顔になった。
 オーロラを眺めるアザラシのように、
 今夜は二人でのんびりと、サンタクロースを待とうね。





☆白いLED
 白色 LEDライトが電球よりも、消費電力が少なく、長期間の使用可能なことから、
 10年代から街灯や、家庭用電気に使われるようになる



 ■■■ただ、君を癒したいだけだよ。■■■


 頑張りすぎな君を癒やしたくて、
 白いLEDの街灯が照らす路地を歩きながら、
 君への言葉を考えたけど思いつかないんだ。

 軽い言葉じゃ、癒せないのはわかっているから、
 冷たい闇の中で青く光るローソンで
 ハーゲンダッツを2つ買うことにした。





☆ネオン色
 ピンク、ブルー、イエロー、オレンジ、グリーンなどの蛍光色
 日本では1918年から歓楽街などのビル看板に使用された



 ■■■ネオン色の宇宙のなかで■■■

 窓の外に広がる週末の繁華街は
 ネオン色で宇宙を作っている。

 今日も通勤電車は疲れ切った人たちを規則正しく運んでいる。

 眠い目をこすり、「愛している」と打ち込んだ。

 それを一息おいて送信した。

 君はいつも夢で会えないから、
 君への思いが溢れ出てくる。

 明日会う君になんて言おうかな。





☆電球色
 温かみのあるリラックスできる色


 ■■■君なんて永遠に封印されたらいいのに。■■■
 
 放っておいてほしいから、
 電球色のカフェでぼんやりとしている。

 都会はこういう時だけ優しくて、
 切なくて、擦り切れた心を癒やしてくれる。

 夜更けに君から来たメッセージは、
 キャンディを溶かして、飴細工を作るくらい
 すべてを飲み込むことができない。

 コーヒーの横に置いたiPhoneをなぞり、
 指先で履歴をたどる。

 今年の夏は心がすれ違っていた。
 もし、なんてもう、ないのかもしれない。

 コーヒーを一口飲むと、涙が頬を伝い、
 鼻の奥が重くなった。






☆パステル
 原色に白を混ぜた、淡くて、柔らかく、明るい気持ちになる色


 ■■■楽しいことはキャンディボトルに詰め込んで、
     夢みたいに絶望的な日々を乗り越えていこう。■■■



 恐れないで。
 楽しいことをキャンディのように便に詰めて過ごそう。
 七色のパステルのように、
 甘く、傷つかない日々を胸に詰めて過ごそう。

 生きるのを諦めないように、
 甘酸っぱさを感じて、
 正気を取り戻そう。

 そうすれば、
 今日もきっと上手くいく。














*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


天気の言葉


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☆雨
 空が泣いている様子 濃いブルーなど色を足すと、より悲しみが増す




 ■■■最悪だけど、最高だよ。■■■

 夏の微温い雨の中、君と夜の住宅街を駆け抜ける。
 急な雨の所為で僕たちはびしょ濡れで、
 どうしてこんなことになったんだろうを連呼しながら、
 公園の屋根つきのベンチにたどり着いた。

 雨に打たれた君は滴っていて、
 乾いたタイルをポツポツとグレーに染め上げていた。

 「最悪だけど、こういうとき、最高って思えば楽しいよ」

 君はそう言ったあと、
 あーあ。バッグも、ワンピースもぐちゃぐちゃ。と続けたから、
 矛盾してるじゃんって返すと
 君は、それでもいいのと微笑んだ。

 雨が止む気配がなく、僕らは完全に濡れた世界の中に置いてけぼりにされた。

 「ねえ、次、にわか雨に打たれたら、またここに連れてきて」

 君にそう言われたから、
 小指と小指を繋ぎあい、
 また濡れようねと誓った。




☆夕立
 夏の夕方に大量の雨が降る現象のこと 「晴れていたのに雨」というセリフがよく使われやすい




 ■■■このまま時が止まれば、ずっとこの青さを保てるのに。■■■

 夕立でびしょ濡れになった君と、
 公園の屋根がついたベンチで、
 雨が止むのを待っている。

 制服姿の濡れた君はとても涼しくて、
 もし、このままお互いに抱き合ったら、
 一瞬でここが秘密基地になりそうだ。

 君を見ると、君は穏やかに微笑んでくれた。

 「このまま、止まなきゃいいのに」と君が言った瞬間、
 コーラが瞬間冷却されたように、
 世界がぎゅっと凝縮した気がした。





☆雪
 街を白くする雪のペンキ屋さん 列島が寒波に覆われると、降りやすい




 ■■■君と初雪■■■


 受験を理由に君と図書館で
 過ごすようになった。
 あと数ヶ月で制服姿の君も見納めになる。

 勉強を終え、外に出ると
 暗くなっていた。
 息が白くて色々憂鬱になった。

 「もうすぐ雪が降るね」
 君はそう言った。
 「雪は好き?」
 「うん。明るくなるから好き」
 そう言う君は最高に無垢だった。





☆虹
 雨上がりに大気中の水分が日光によって、7色のプリズムを放つ現象




 ■■■朝はいつもの繰り返しだし、夢の余韻に浸る暇なんてないんだね■■■


 お気に入りの白い自転車で、
 朝霧につつまれた商店街をぐんぐんと切り裂いていく。
 
 頬に冷たい空気が当たる。
 さっきのデタラメな夢の中で、
 虹を描くザトウクジラを見た。

 あんなふうに空を気持ちよく泳ぎたい。

 そうすれば、
 憂鬱な朝とさよならできそうだね。





☆朝日
 真夜中に終わりを告げる、その日、生まれた太陽のこと



 ■■■空虚な君の絶望癖は、すべて青と黄色でそっと塗りつぶしたい。■■■


 君が生まれた日の朝日の色を混ぜて、
 君のつらいことを浄化してあげたい。

 そんな特別な魔法なんてないから、
 そんな空虚な雰囲気の君に対して、
 できることは、
 君が受け取って優しいと感じそうな、
 弱くてぼやけた言葉しかかけられないんだ。

 そんな自分がもどかしいよ。






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食べ物の言葉


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☆クロワッサン
 生地にバターを織り込んで、三角に巻かれているサクサクなパン 
 量は足りないことがあるけど、パン屋さんで朝ご飯にする少食な感じが、かっこいい気がする




 ■■■秋雨が街を灰色にしていた■■■


 起きたら君がいないみたいに
 秋雨が街を灰色にしていた。

 起きてコーヒーを淹れた。
 昨日、閉店前のパン屋で買った
 クロワッサンと一緒にデスクに持っていく。
 
 iMacを起動し、
 クロワッサンを食べる。
 低血糖で見た夢は、
 一人で箱の中に閉じ込められていた。

 しぶきが窓を溶かすように濡れていた。



☆パフェ
 最上級のご褒美スイーツ 生クリーム、多めがいい



 ■■■誰も助けてくれないときは、いつも甘いものが魔法をかけてくれる。■■■


 バランスを崩した現実とは、
 ご褒美のパフェでサヨナラしよう。

 スプーンでクリームと一緒に
 悩みを飲み込むよ。
 窓越しに見る駅前通りの街路樹は、
 綺麗に夏を知らせている。
 
 甘さが脳天に落雷する。
 
 夢中を無限に
 無限を有限に
 言葉では伝えられない思いを
 胸でしっかり溶かしてしまおう。

 だから、明日からしっかり夏を感じるよ。
 なんとか現実に折り合いつけながら。




☆ストロベリーパフェ
 いちごの甘酸っぱさも楽しめるパフェ いちごがたくさん乗っていれば乗っているほど、最高



■■■君はそれをプリズムと言った■■■


 すすきが夕日で輝いている
 君はそれをプリズムと言った

 ストロベリーパフェのような
 凛々しさとあどけなさが、
 君は最強でレベチだね

 5時のチャイムのような
 寂しさとやるせなさが、
 君と離れたくない理由なんだよ

 君が求めているのなら、
 無くした捜し物みたいに
 綺麗にワープして消えてやる。





☆生クリーム
 万能な甘くて白い食べ物 ケーキ屋さんの味は生クリームで決まるとよく言われている



 ■■■悩みを溶かしたい。■■■


 チョコレートでボールを溶かすように、
 君が抱えている厄介なことも、
 溶かし切って、生クリームを混ぜて、
 新しい甘さに変えたい。





☆レモンキャンディ
 レモン風味の甘酸っぱいキャンディ 甘さのなかに酸っぱさがあることで、切なさが増す




 ■■■ミッドナイトエスケープ■■■


 夜の公園で君と二人で社会に馴染めないことについて、
 あれこれ愚痴を言い合いながら、
 雄弁に自分を正当化し合うのは、
 なんでこんなに楽しいんだろう。

 弱々しい白い街灯を背にして、
 小高い地元から眼下のカラフルな夜景を眺めている。

 君は学校に馴染めないし、
 人間関係もうんざりだって言うし、
 だからと言って働きたくもないと、
 平然と言ってしまう。

 君はバッグの中で溶けたレモンキャンディみたいだね。

 君は素直すぎるんだよ。
 君は率直すぎるんだよ。
 君は臆病すぎるんだよ。

 今のままじゃ、
 無理があることくらい、
 君もわかっているだろうし、
 そんなこと、聞きたくもないだろうから、

 君を必要としているよ。
 と素直に伝えることにした。





☆チョコレート
 日常のご褒美になるお菓子 特に冬の板チョコをぱきっとするのが好き




 ■■■めげないで■■■


 チョコレートをかじって忘れてしまおう。
 今、頭抱えてる煩わしいことなんてさ。

 さっきネトフリで観た
 古い恋愛映画の甘い余韻に浸っていよう。

 もう一本、映画観て
 夜更かしすることにしよう。

 現実なんてって、嘆く前にさ、
 キャンディの包み紙のように、
 カラフルな幸せ見つけたい。






☆シュークリーム
 コンビニでも手に入るスイーツ 生クリームが食べたいとき、ハーゲンダッツと迷いがち




 ■■■別に頑張りたくなんてない■■■


 いつも頑張りたくなんてないのに、
 まわりのことを気にしすぎて、
 頑張りすぎる癖を
 自分でもどうにかしたいって思っているよ。

 だけど、頼まれたり、勝手に期待されたりするのは、
 どうやって断ればいいのか、わからないんだ。

 だから、今日の夜みたいに
 頑張りたくない日は、
 エキナカで買った期間限定の
 桜色のシュークリームとか買って、
 甘さで自分を満たすことにしている。






☆モンブラン
 マロンクリームがたっぷり生地に乗っているケーキ 
 最近は搾り器で、搾りたてのモンブランを提供するお店がトレンドになった



 ■■■秋の始まりも二人きり。■■■


 夏の名残で今日も君と公園のベンチに座り、
 他愛のないことを話している。

 「もし、私がいなくなったらどうする?」と
 整ったボブを揺らして、君はそう言った。

 宇宙の風とか、輪廻を超えるくらい、
 君の瞳は青く輝いているから、
 泡の中に包んであげたくなった。

 少しだけ寂しくなった公園は貸し切りで、
 ふたりだけの秋が始まったような気がした。

 モンブランをほぐすように
 君のことを丁寧に扱いたいと思った。





☆クッキー
 わけあうのに適している焼き菓子 個人的にはコーヒーにも合うから好き




 ■■■わけあうクッキーは愛。■■■


 ハートのクッキーを半分にわけて、
 それを差し出す君は優しくて、
 そんな君が好きだけど、
 ハートを割らずに、
 君との愛を確かめたかった。





☆アイスクリーム
 夏の王様 冷たさが正義 そしてバニラが爽やか この言葉を使うだけで文章に夏が彩る



 ■■■ふたりぼっち■■■


 公園のベンチに座り、
 君と二人マフラーしてさ、
 手を握りあってる。

 アイスクリームみたいに溶ける恋愛を
 今、瞬間冷凍して、君と食べたい。

 君との青春はあっという間で、
 未だに照れているのは、お互い様だね。

 春になったら、
 一緒に手を繋いで、
 あそこに見える桜並木、
 並んで歩こう。






☆チーズとワイン
 大人な気持ちになれる定番の合わせ方 お祝いごとで食べたい


 ■■■話したい。■■■


 君から着信があった。

 並木が電球色をまとい
 駅前がクリスマスになっていた。

 君に発信したけど、
 出てくれなかった。

 ため息をつくと白かった。

 iPhoneで並木を写した。
 すれ違いが寂しくて、
 デジャブを感じた。

 帰ったら、君と通話しながら、
 チーズとワインで少し酔いたくなった。





☆ラズベリー
 甘酸っぱい果実 いちごやレモンに比べるとマイナーだが、
 そのポジションだからこそ、文章に意表をつきたいときに使いやすい
 



 ■■■チョコレートが溶けるように時間が溶けた。■■■


 誰もいないホームで
 君と電車を待っている。
 髪を乱すくらい
 秋風がたまに吹いた。

 ラズベリーを摘むくらいの
 優しさが欲しくて
 君の手をそっと繋いだ。

 君は驚いていたけど
 手を繋いだままでいた。

 チョコレートが
 溶けるように時間が溶けた。

 遠くに電車が見えてきた。
 電車に軽く嫉妬した。





☆マシュマロ
 焼けば陽キャ、そのままだと陰キャになる不思議な食べ物 
 ただ、その甘さと柔らかさは普遍的で美味しい 




 ■■■さらば!■■■


 マシュマロを溶かすくらいの情熱で夢中になるよ。
 君とのおしゃべりは甘くて飽きずに尽きない。

 コーヒーも冷めるくらい時間が流れたね。

 要所要所で君の優しさが滲む。

 だけど、来月から離れ離れになる。

 もう、引き止めないよ。
 夢に向き合えばいい。

 約束しよう。
 帰って来るこの夏、一緒に海に行こう。





☆ショートケーキ
 お祝いごとでも、ちょっとしたご褒美でも、どのシーンでも使える万能スイーツ
 文化的背景から、特別感が簡単に手に入る なにより美味しい




 ■■■ちょっと狂ってることを愛と呼ぶんだぜ■■■


 理性が効かないほど、
 俺は君のことが好きだし、
 普通に最初から、相性がいいのはわかってたよ。

 だからさ、
 一緒にショートケーキ作って、
 ちょっとだけ不格好なバースデーケーキの出来を見て、
 ツボって、バカみたいに笑い合うくらいが、
 二人の関係は、ちょうどいいと思うんだ。

 こういう、ちょっと狂ってることを愛と呼ぶんだぜ。





☆チョコムース
 ふんわりしていて、軽くて優しいスイーツ たびたび、コンビニの期間限定スイーツとして登場しやすい
 



 ■■■明日はバレンタイン■■■


 スポンジに生クリームを絞り乗せるように
 君にありったけの気持ちを示したい。

 青のバスソルト入れた浴槽の中で渡し方、
 思案するよ。

 今夜は、君だけのショコラティエになったよ。
 心を込めて作ったチョコムース。

 冷蔵庫で想いも冷やしている。

 明日はバレンタインだから、丁度いいね。





☆フレンチクルーラー
 シュー生地を揚げて作ったドーナッツ 
 日本では1973年にミスタードーナツで販売開始したのをきっかけに、広まった




 ■■■もとに戻す魔法を唱えたい■■■


 公園のベンチにそっと缶を置いて、
 桜で鮮やかになった世界をぼんやり眺める。

 記憶とリンクする春の空気、
 君が好きだったフレンチクルーラー、
 トレーに落ちる砂糖、
 クーラーで満たされた停滞する空気感。
 今でも、きれいに再生できるよ。

 風で弱く揺れる小枝にそっと囁きたい。
 あのときはすべて本気だったんだよと。

 いらない言葉ですべてを汚して、
 黒い懐かしさをそっと水に馴染ませたい。
 そして、すべてを元に戻したあと、
 変わった自分で仲良しの魔法をかけて、
 君を丁寧に扱いたい。







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飲み物の言葉


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☆アイスコーヒー
 グラスに入った冷たいコーヒーのこと 時間をかけ、低温で抽出したコーヒーは「コールドブリュー(水出しコーヒー」という
 夏の季語




 ■■■常にいろんなことが変わっていくけど、このまま変えたくないこともある。■■■

 朝なのに蒸し暑くなったのは、
 それだけ季節が進んだ証拠で、
 一年の中で最高に青が美しい。

 アイスコーヒーに映る電球色は
 ほっとできる環境にいる証拠で、
 何よりもこの時間を大切にしたい。

 時はこうしてゆっくり進むけど、
 変わりたくない気持ちは残される。

 一口飲んで、やっぱり少し苦いから、
 クリープを入れて、白い渦を作った。






☆アイスカフェオレ
 アイスコーヒーを牛乳で割った飲料 苦さが得意じゃない人向けの優しいコーヒー飲料
 夏の季語




 ■■■本当は君の失恋話なんて聞きたくない。■■■

 迷いの中で生きている僕たちは、
 いつも迷うと海を眺めることにしていた。

 今もこうして、海浜公園のベンチに座り、
 君と一緒に海を眺めながら、
 ボトルのアイスカフェオレを飲むのは、
 だんだん君との日常になりつつある。

 君の失恋話は本当は聞きたくない。
 だって、僕は素直な君が好きだから。

 どさくさに紛れて、
 本当は君の悩みを聞くついでに思いを伝えたいけど、
 そんなことをしてより君を混乱させたくはない。

 右にいる君を見ると、
 君は頬を濡らしていた。
 思わず、輝く涙を人差し指でそっと触れた。

 濡れた人差し指に悲しみを感じた。





☆フラペチーノ
 スターバックス社が提供している氷を砕いた甘く冷たい飲み物 飲み物ファッション界隈の頂点




 ■■■重ねた君との深さと傷はきっと、君と同じだと思う。■■■


 同じフラペチーノを頼んでくれた君は優しいと思った。
 スタバで話を始めると、その優しさは本物だった。

 君と出会った日の夜は、
 本当に君と、あらゆることについて親和性を感じ、
 簡単に夜明けを迎えた。

 無限に続く話の中で、
 「こんなに合う人と会ったの初めて」
 と君が別れ際にポツリと言ったことが頭の中に残っている。

 何年も重ねて、悲しみと喜びを重ねて、
 すれ違う言葉を重ねて、
 最初の親和性はいつの間にか消えてしまった。

 本当に君と最後の日になると思う今、
 スタバで向かいあって、君と同じフラペチーノを飲んでいる。

 今、別れることにしたけど、
 楽しかった思い出は消えないよ。

 だから、今、こう言うことにした。
 「いままで、ありがとう」
 そう言い終わると、君は寂しく微笑んでくれた。





☆カプチーノ
 エスプレッソコーヒーを泡立てたミルクで割った飲み物 
 カフェオレとの違いはコーヒーの濃さでカプチーノのほうが大人の味に近い 冬の季語




 ■■■カプチーノ■■■


 いつも行くカフェは今日は珍しく静かで
 恋の話とか、
 のろけ話とか、
 そういうものとは疎遠な空気だった。

 カプチーノはまだ熱を帯びてて、
 白くふわふわなフォームミルクが
 雲のように熱を押さえ込んでいる。

 一口飲んだあと、
 明日から始まる現実の前に
 少しだけ背きたいと思った。






☆ラテアート
 カフェオレのミルクの泡にイラストが描かれている状態 ハートやメッセージが描かれることが多い




 ■■■海は広がる。もうすでに世界の定義は変わった。■■■

 覚えている?
 君と会話が弾んだ日は土砂降りだった。
 カフェの窓越しに溺れた街が見えた。
 
 水疱が簡単に浮き上がって、消えるように、
 そっとした優しい時間が流れた。

 きっと今はそんなのは消えて、
 海に落ちた流れ星のように藻屑となった。

 ラテアートのハートは脆くて苦かった。
 大好きだった街は今は水没してしまった。

 君はもう別の街に行ってしまった今、
 今日も沈んだ街を潜る。





☆コーヒー牛乳
 唯一、子供が安心して飲むことができるコーヒー飲料 カフェインが少量のため、眠気を飛ばせないが、
 わずかなほろ苦さと、甘さで幸せな気持ちになる




 ■■■ネガティブが回る。■■■


 真夜中に湧き上がったネガティブが我慢できなかったから、
 冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出して、
 それをグラスに入れて、一気に飲み干した。

 自分に足りたいことはたくさんある。
 だけど、あんなにその未熟さを責めなくてもいいのに。

 もし、これから先もずっと歩き続けると、
 きっと、血糖値が下がりすぎるから、
 今後どうするかを考えながら、
 とりあえず、
 フードコートのサーティーワンで、
 ラブポーションをひとつ注文した。





☆ミルク
 牛乳のこと ミルクと英語由来のカタカナ表記をすることで、文章に、より温かみを出しやすい




 ■■■朝日が昨日の決意をそっと応援している気がした■■■


 スニーカーの紐を締め直して、
 昨日の決意をふと思い出した。

 早朝の海の前を走る気分を友達にして、
 今日から何もかも違う世界にするために
 痛手を負った過去はきっぱり捨てることにした。

 君から受け取った気持ちを
 思い出すたびに切なさで胸が痛くなるから、
 手紙のほとんどは昨日、ハサミで切り刻んだ。

 ホットミルクに強さをゆっくり混ぜるように
 痛かった君との青春はいい思い出に変えていこう。

 また、走り始めると冷たい風と朝日がそっと、
 おはようを言ってくれた気がしたから、
 誰もいない海岸でそっと、
 「おはよう」とぼそっと囁いた。





☆ミルクティー
 紅茶にミルクを混ぜた飲み物 ロイヤルミルクティーの割合は紅茶とミルクが1:1





 ■■■絶望を逃避したい■■■


 佐藤をバスタブに入れてかき混ぜるように
 不毛な世界の中に慣れきってしまったから、
 自分の感覚が甘くてよくわからなくなった。

 ミルクティーを一口飲んで落ち着こうとしても、
 頭はぼんやり宙に浮いたままだね。

 自分の機嫌がわからなくなるのは
 キケンなサインだってことはわかるけど、
 生活のために疲れきるまで進むよ。

 絶望するのが癖になり始めているから、
 クリアになるまで意識をオキシ漬けして、
 浴びたての真っ黒でうす汚い言葉の棘を
 すべて、洗い流したい。

 だから、今を楽しむのを手を抜かないよ。
 ミルクティーの甘さと香りをしっかり味わおう。





☆ココア
 甘さと温かさで、冬を暖めてくれる飲み物 ホットチョコレートとは、また違った魅力がある
 冬の季語




 ■■■満ち足りた日々なのは君がいるおかげだよ■■■



 本当はすべての気持ちを心地よいテラス席に座り、
 強い日差しのなかで君と溶ける話がしたかった。

 すべてが凍りついたこんな真冬じゃ、
 エアコンで作られた暖かい空間で
 君とときが流れるのを過ごすだけで十分さ。
 テーブルに置いたままのココアのホイップが
 溶けていく中で幸せについて、
 君と語るのは悪くない。

 窓の外は雪がちらついていて、
 歩く人は力を入れて歩いている。

 「悩みのすべてを置いていきたい」と言って、
 君は微笑みココアを一口飲んだ。
 雪が消える頃には、
 君のことをもっと知れるかな。





☆レモネード
 レモン果汁に甘さを加えた飲み物 夏の定番でレモネードに炭酸を加えるとレモンスカッシュになる
 夏の季語




 ■■■ねじの所為で僕らは共依存。■■■


 君の命は儚くて、別れを考えるだけでも寂しいから、
 僕は君の背中にあるねじを1週間に一度、巻いている。

 ジリジリといつものように回すと、君はいつも、ありがとうって素直に言ってくれる。
 その行為は生命維持のためだけど、髪を切るみたいで、君にこうやって触れている時間が貴重に思えるよ。

 夏のオープンテラスで銀色に輝くビル街や、
 その下を行き交う多くの人を眺めながら、
 君と一緒にレモネードを飲んでいる。

 こうしている時間があまりにも貴重だし、
 君の一日はねじ一回転分だから、より貴重に思う。

 7回しか巻けない、そのねじはゆっくりジリジリと回転して、君の心臓を動かす。
 「7日周期なのは、人間の摂理なのかもしれないね」
 と君はいつも、君の背中のねじのことをそう言って、笑う。

 僕はそのたびに君がどうして、ねじまき病になってしまったんだろうと悲観してしまう。
 ねじまき病は回すことを忘れなければ、天命まで全うできると言われている。

 「一生、君のねじを回すよ」と君に伝えると、
 「あなたのねじも一生回すよ」
  麦わら帽子を被ったまま、レモネードを片手に持っている君の微笑みは、ガラスより眩しかった。





☆オレンジジュース
 甘さの中に、爽やかな酸味がある飲み物 小さい頃から多くの人が味を知る、爽やかで優しい飲み物




 ■■■すべて忘れてしまおう■■■

 手帳に書ききった黒くぎっちり詰めた思いを
 ページを切り取って、ハサミで切り刻み、
 それらをベランダからそっと春風に乗せたい。

 当たり前だった充実感は消えて、
 退屈が日々押し寄せてくる。

 透明なコップにオレンジジュースを注いで、
 溢れてもなお、
 白いテーブルをオレンジの海にして、
 しばらくの間、指で泳いで、気を紛らわそう。

 抑えきれない感情の波は、
 やられたことを忠実に再現してくる。

 無視されたサイン、
 粉々になったハートにクッキー、
 すべて忘れて頑張ろう。





☆ポカリ
 ポカリスエットの略称 爽やかな夏のCMが特徴で、特に90~00年代にかけて、数多くのヒット曲が生まれた
 夏の季語
 



 ■■■みつけることなんてできないと思うよ。■■■

 君からの思いが規定量に満たないから、
 どれくらい好きなのか聞くと、
 「夏にポカリが美味しく感じるくらい好きだよ」って君は涼しい顔でそう言ったから、

 私たちはポカリで乾杯をして、
 そして、炎天下で失った水分をお互いに取り戻した。
 まだ足りないから、
 もう一度どれくらい好きなのか聞くと、
 「かくれんぼで最初にみつけるくらい好きだよ」と言われたから、
 私は絶対に君が探し出せない場所に隠れる練習をしようと決めた。

 そしたら、底なしの私が君の好きや愛で満たされると思うから。





☆ソーダ水
 炭酸水のこと 時間が経つと気泡が底からゆっくりと上っていく 涼しさの象徴
 夏の季語




 ■■■秋は深まるけれど、変われない。■■■


 スタバのカウンター越しに見る街は灰色で
 今朝も秋雨が降っている。
 MacBookで昨日残した仕事を進めるけど、
 終わる気配がなくて、
 つじつま合わせで楽しく思えない。

 電球色の非日常な暖かさの中で
 コーヒーを飲むと寂しさは紛れる訳ではなく、
 君と過ごした夏は、
 すでに幻で、
 思い出すと胸が締め付けられる。
 ソーダ水の中で息を止めるように
 虚しさで息苦しくなる。

 冷やした愛はバニラには合わなくて、
 そんなことを繰り返しているうちに
 ガラス越しに君を見るようになった。
 弱くなる呼吸が切なくて、
 管で繋がれた腕をそっと掴みたかった。

 君の微笑みが熱い涙で見えなくなるうちに
 季節は深まり、
 受け入れられない自分だけ置き去りにされた。
 MacBookの画面が滲んで見えない。
 コーヒー飲んでも落ち着かないよ。
 
 ねえ。
 君はいない現実をどう受け入れたらいい?





☆コーラ
 一気に青春感が増す飲み物 1914年に高村光太郎の詩集で紹介され、日本でも、青春の定番として広まった
 夏の季語




 ■■■伝わらない君が好きなのに。■■■


 君の前では素直になれないのは、
 それだけ、君のことを意識しているからだってこと、
 君はどうして、わかってくれないんだろう。

 役目を終えたガラス窓みたいに、透明が地面を反射して、
 その先にプリズムをつくるようにもどかしいよ。

 人と人はわかりあえないよって、よく言われてることを、
 君は本気で信じているのかな。

 私だって、それなりに君に100%を伝えようとしているのに、
 君の受信はいったい、何%なんだろうね。
 君の分母の基準がわかれば、きっと、私は君を虜にできると思うのに。

 夏休みに入る前に、君に伝えたいんだ。
 だから、炎天下を回避するために、
 誰もいない、市民プールのエントランスで、
 ベンチに座り、口の中で、コーラと塩素ナトリウムの香りを混ぜ、
 二人きりで私といる意味を君はまだ、感じ取ってくれないんだね。

 私はもう、我慢できないから、
 君に今、思いを伝えるよ。

 「透明なガラスみたいで繊細で切ない君が好きだよ」

 そう言われて、私は手に持っていたコーラを床に落としてしまった。





☆ジンジャエール
 しょうがを炭酸で割った飲み物 甘さのなかに辛さがあり、癖になる爽やかさが特徴




 ■■■朝の電車は日常を整えてくれる■■■

 電車はいつもの橋を通過している。
 旭で輝く大きな川は今日も穏やかだ。
 ドアにもたれて、景色を見ながら、
 イヤホンから流れるお気に入りの曲で
 今日も憂鬱とさよならしよう。

 君がいない毎日は彩りに欠けていて、
 退屈な毎日を繰り返しているよ。

 ジンジャエールの辛さのように
 すっきりした日常は無理みたいだから、
 たまに涙もろくなるの。
 
 昔にトリップして、
 今を忘れそうになる。
 だから、前を向くしかないんだよ。





☆クリームソーダ
 緑色の炭酸飲料であるメロンソーダの上にバニラアイスを乗せた飲み物 喫茶店の象徴的存在
 赤いストローとグラスが最も似合う飲み物 夏の季語


 ■■■君と日々を重ねたい。■■■

 赤いストローを咥えて、クリームソーダを飲む君はなぜか幼く見えて、
 一瞬、タイムスリップをして少女みたいでかわいいよ。

 君との夏はこれが初めてだから、
 まだ、知らないことばかりで君との話は尽きない。

 君が持つグラスの中の気泡は気まぐれに昇り、
 きっと、君との思い出もいつかこんな感じで
 ふわっと忘れていくのかもしれないね。

 そのときまで、君との恋は続くと信じているけど、
 できるだけ多くのことを閉じ込めて、
 いつか、君と懐かしいねって言い合いながら、
 季節を重ねていきたい。







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お酒と煙草の言葉


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☆カルアミルク
 コーヒーリキュールをミルクで割ったカクテル 独特の甘さが特徴




 ■■■少し冷たい風が心地よかった■■■


 電球色したオープンテラスで
 君と飲んでいる。
 少し冷たい風が心地よかった。

 「出会ってもう、3ヶ月経つね」って君は言った。
 君はカルアミルクでもう、赤かった。

 ソルティドッグを飲み干したあと
 夏はもう終わってたなと思いながら、
 グラスを置いた。

 「ねえ、最高だね」って君は静かにそう言った。





☆シャンディーガフ
 ビールをジンジャエールで割ったカクテル ビールの苦みがジンジャエールの甘さで緩和されている




■■■都市を下に、君を横目に見る。■■■


夜が深まる中で君と一緒に飲む、
カルアミルクは最高に甘くて、
窓越しに広がる夜のビル群の光を、
楽しくなかった頭のまま眺めていたいな。

君のシャンディーガフの泡は、
もうだいぶ薄くなってしまうくらい、
君は弱いみたいだけど、
顔を赤くしている君が一番かわいいよ。





☆カシスオレンジ
 カシスリキュールをオレンジジュースで割ったカクテル 
 日本では、飲みやすく市民権を得ているが海外ではマイナーなカクテル



 ■■■遠距離の愛は不条理。■■■


 薄暗いカウンター席にひとりきりで
 カシスオレンジを飲むのは、どうして寂しいんだろう。

 物理的な距離感やすれ違うくらいお互いに忙しすぎて、
 意味を見いだせなくなったのはつらいね。

 結局、別れ話もオンライン上で完結してしまったから、
 私はまだ、君と別れてしまった実感がわかないよ。

 君に好きな人ができなら仕方ないよね。
 君を支えられなかった私に落ち度があると、
 私自身も思っているよ。

 胸が痛み続けたままだから、
 カシスオレンジの酸味が今日はよく染みるよ。




☆ファジーネーブル
 ピーチリキュールをオレンジジュースで割ったカクテル 度数が低く、甘いため飲みやすい




 ■■■普段を取り戻す■■■


 「なにそれ面白い」
 君はそう言ったあと、ファジーネーブルを一口飲んだ。

 君はいつも通りだ。

 週末の夜、今日も雨が降っていて
 窓越しの世界を冷たく染めていた。

 シックな暗さと気持ちよさそうに、
 酔った君の顔を見ているだけで、
 幸福度が上がる。

 でも、よかった。
 君と仲直り出来て。





☆モヒート
 ラムベースのカクテル ミントとライムの風味が特徴




■■■週末のときめきは君が作り上げている■■■

 モヒートを飲みきった。
 週末のときめきは君が作り上げている。

 酔いが回り、より優しくなった君に
 なぜ、引き込まれるんだろう。

 会えない日々はたまらなく寂しかった。
 今日はただ、それを君に伝えたかった。

 「このままだったらいいのに」

 君はグラスを空にして
 ぽつりとそう言った。





☆ラムコーク
 ラムをコーラで割ったカクテル ラムの甘さとコーラの爽やかさが特徴




 ■■■夜は始まったばかり■■■


 ファジーネーブルにそっと口づけする君は
 始まったばかりの夜の所為か余計にかわいい。
 耳元で反射するピアスが
 君が笑うたびに残像を作っている。

 ラムコークを一口飲んで笑いを
 甘い香りでそっと落ち着かせる。
 だけど、君との世界は胸が弾むよ。

 切り揃えられたショートボブの毛先が揺れるたび、
 あどけない表情で僕を包もうとする。
 止まらなくなった笑みを浮かべ続け、
 君の根底を穏やかに吐き出すとギャップがあるね。
 
 君は意外に楽しいことが好きなんだね。
 普段は真面目なふりしてる癖に。
 どうで、夜はまだ始まったばかりだから、
 君の深いところを探りたい。





☆セブンスター
 14ミリの重めの煙草 重めだけど、まろやかで吸いやすいのが特徴 なにより、名前がかっこいい




 ■■■遠くの空気が熱で揺れる■■■


 夏の非常階段はひんやりして白い。
 バリバリに剥がれた白のペンキは新築だった30年前を忘れ、粉になっていく。

 誰もいないから、最近はここでセブンスターを吸っている。
 今日も完璧な青空が低く広がり、遠くの空気が熱で揺れる。

 昨日、あなたに言われた思わせぶりな言葉を思い出した。





☆ラーク
 ミリ数、フレーバーなど多数種類がある煙草 
 白のパッケージが基本だが、赤いパッケージの赤ラークなどが存在する 


 ■■■雪の日になると、君を思い出す。■■■


 すれ違いは大きな溝になり、
 季節はどんどん僕を置いて巡っていく。
 雪で白くなった夜をゆっくりと歩いているけど、
 気持ちはあんまり晴れないのはなぜだろう。

 君と僕とが離れ離れになってしまったのは、
 仕方ないことだけど、
 もし、君がそばに居てくれたら、
 きっと、違う人生になっていたんだろうなってふと思うよ。
 あのときの約束も全ては溶けてしまった。
 君が吸う1ミリのラークに火をつけたいと思う時もあるけど、
 もうあの時のように簡単に君のラークを灯すことはもうないよ。

 君とのやりとりはいつの間にか自然消滅していて、
 君の名残はLINEトーク履歴だけだよ。
 たまに君とのトークを開くと、
 もう、何年も時間が経ってしまったんだとふと思うんだ。

 きっと、君は傷ついたし、
 きっと、君はもう癒えたはずだ。

 だけど、もう仕方なかったんだ。
 言い訳する自分は嫌いになったけど、
 もう、全ては終わったことだ。

 君と何気ない日常を過ごしていたら、
 今頃、どうなっていたんだろうって思ってたら、
 また、不安定に無数の雪が目の前を白くし始めた。







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ファッションの言葉


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☆ワンピース
 夏場であれば、一枚でコーディネートが完成するアイテム 日本ではワンピースという名称だが、
 ドレスをカジュアルにしたもののためか、英語では、ドレスと言われている。




 ■■■一歩踏み出したい■■■


 海につながる大きな川辺をゆっくりと歩いている。
 春の陽気につられて外に出たけど、
 こんなところを歩くつもりなんてなかったのに。

 風に揺れるワンピースと、
 一緒に踊りながら、
 また芽吹き始めた世界で感性を磨こう。

 ひとりぼっちで過ごすことはもう慣れて、
 悲しさすら簡単に乗り越えられるようになった。

 だけど、たまに寂しいから、
 誰かに話しを聞いてほしくなっちゃうのは本能だね。

 理性では強がり、だけど、根は怖がりだから、
 新しいことを踏み込むのに戸惑う。
 だから、この春はしっかり自分を作りたい。
 もっと、世界が違って見えるように踊ろう。





☆レトロワンピース
 ワンピースのなかでも、50~60年代のクラシックさを意識したデザインのもの 
 色味はライト系や、オータムカラーが多く落ち着いていて、大人な印象




 ■■■ヒロインは君だ。■■■

 離れたくない。
 海まで続くこの下り坂を歩いて行こう。
 ずっとこのままでいようと安直に思える君は素敵だ。

 遠くの踏切が赤く点滅し始めた。
 海の先には入道雲が立ち込めている。

 袖付きの青いレトロワンピースを
 君は華麗に着こなしていて、
 君がヒロインの物語は出来上がっている。

 急に君が立ちどまった。

 「手を繋いで」
 穏やかな声でそう言ったあと、
 君は僕に手を差し出した。





☆ワイシャツ
 ワイシャツはメンズの背広と合わせる服だった しかし、19~20世紀ころに
 派生し、レディースデザインも登場した ブラウスも同時期からあったが、分けられる結果となった
 



 ■■■クールな君の気持ちが知りたい。■■■


 気持ちを確かめるために
 君にレモン味のキャンディをあげてみた。

 君はいつも通りクールな顔して、
 涼しさを出してくきたから、
 少しだけ、また寂しくなった。

 君とは近づけないね。
 会話はいつものように弾まない。

 制服のワイシャツの長袖の裾を、
 折って出た腕が妙に視界に入り、
 気持ちが徐々に揺さぶられていくよ。

 「ありがとう」だけじゃ、満足できないよ。
 もっと君のことを知りたい気持ちが強いんだ。

 だから、君に緊張している場合じゃないよ。
 優しさをあげるから、こっちを見てよ。





☆ロンT
 ロングTシャツの略称 近年はオーバーサイズで着こなすコーディネートが流行っており、
 ファミリーマートや、ローソンでもオーバーサイズを意識したロンTが発売されている




 ■■■白いロンTの袖を重くしても■■■


 白いロンTの袖を涙で重くして、
 君が振り向いてくれるなら、
 片思いのプレイリストを
 Spotifyで流したりしないのに。





☆ネックレス
 首に着用する装飾品 シルバーネックレスなどシンプルなデザインのものだと、
 エモさを演出することができる



 ■■■ダサいモチーフのネックレスを買った話。■■■



 永遠を誓うために、君と一緒にきゃっきゃ言いながら、
 安いネックレスを2つ買った。

 ショッピングモールの吹き抜けの下にあるベンチに座った。
 吹き抜けのガラスからは冬の銀色の弱い日差しが差し込んでいて、
 弱い光に暖かさを少しだけ感じた。
 君と私は温室育ちのよしみのバナナみたいに、
 人目をはばからず、弱々しく肩をくっつけあっていた。

 ローブランドの袋から取り出した2つのネックレスは、
 1つには、ハートの片割れ。つまり右心室と、鍵、
 2つには、ハートの片割れ。つまり左心室と、南京錠がついていた。

 「右と左、どっちがいい?」
 「鍵と錠の聞き方のほうがよかったな」と私が返すと、
 君はどっちだっていいじゃんと、ゲラゲラ笑い始めた。

 何もかも、初めての体験の私たちはこのやり取りすら新鮮に感じ、
 今、降り積もっている雪は永遠に溶けないような気さえした。

 あのとき、鍵を選んだ私は、
 結局、君の心を上手く開くことができなかった。

 失くしたと思っていたはずのダサいネックレスで、
 昔のショッピングモールファンタジーを痛く思い出した。





☆ボブ
 丸みのあるシルエットが特徴的な髪型 60年代のヴィダルサスーンが革新したデザインの流れは、
 今ではクラシカルボブとして要素が取り込まれている 近年は韓国発信で、タッセルボブなどが流行っている
 



 ■■■優しい世界だね。■■■


 無数に飛んでくる
 カラフルな風船を蹴りながら、
 大人になるための旅路を上手く進もう。

 切り揃えた茶色いボブと五分丈の白いTシャツを
 風に流しながら、レモンを買いに行こう。

 背伸びして買った履いたヒールサンダルは
 足にはまだ馴染んでいない気がするよ。
 今朝は悪夢で目覚めて、しょんぼりした。

 忘れたつもりだった心の傷が、
 まだ癒やし切れていないのかしら。
 そんなことより、毎日をカラフルにするために、
 ついでにお小遣いを全部使って、マカロンも買って帰ろう。




☆ショートボブ
 ボブよりも短く、耳出しを意識したデザインの髪型 ボブよりも軽く、爽やかな印象を作ることができる
 女性の登場人物で、ピアスを描写したい場合、ショートボブか、まとめたロングで耳出しの髪型だと、
 矛盾が少なく表現しやすい



 ■■■機嫌なおしてあげるよ。■■■

 不機嫌そうな君の表情は氷上で踊る笑みとは遠くて、
 雨をサイゼリヤの窓越しに眺める僕らは水槽の中のネオンテトラみたいだね。

 雨が降るたびに冬が近づき、僕らは置いてけぼりをくらったまま月日は経つ。
 言葉数が少なくなったのは、
 倦怠期という言葉一つで片付けたくないよ。

 もし、何かが不足しているのなら、
 普段はあまり言わないありがとうの束を君に贈るよ。
 そんなことはもう、遅すぎるような気がした。

 君を怒らせるのはいつも僕のほうだと思うけれど、
 そんなに君が気になることに僕は鈍感なのかな。

 君のショートボブはいつの間にか新鮮味がなくなっただけだから。
 今日もこうして、少ない言葉でやり取りできるのは、
 たぶん信頼しすぎている所為かもしれないな。

 頬杖をつく君は雨で濡れた窓に映る。
 目を合わせずに窓に映るいつもの君を横目で見ていると、
 ふと、ピアスに目がいき、
 いつもと違うイエローゴールドが今日も雨で濡れる街の片隅に映っていた。

 君に視線を視線を戻すと君はようやく僕に目線を戻し、

 「気づいた?」と冷たくそう言い放ったから、
 「似合うよ」
 「遅いね。もう夜になりそうなのに」

 君はようやく笑みを浮かべたから、僕は君に別れを告げることにした。






☆セミロング
 肩から鎖骨にかかる長さの髪型 ウェーブをかけることもできたり、内側を軽くして、扱いやすくすることもできるなど、
 長さを使ったアレンジがしやすいのが特徴 作品で、髪飾りを使用する場合は、セミロングにしがち



 ■■■春色ロマンス■■■


 桜並木の下で、
 白いセーターを着て、
 両手を広げて回る君はかわいい。

 セミロングでピンクが混じった茶色の髪で弧を描いたあと、
 ピンクの花びらが舞うなかで
 君が微笑んだから、
 僕はそっとシャッターボタンを押し、
 君のその姿をiPhoneでデータ化した。




☆セーター
 冬の最強アイテム パーカーとセーターは制服に合わせることも可能 また、萌え袖も表現しやすいアイテム



 ■■■大嫌いな君を紛らわす。■■■


 秋が通り過ぎていく感覚の中で、
 公園の並木道の下を自転車で通り抜けていく。

 おろしたての白いセーターは、
 思った以上に暖かくて、
 朝を切り裂けたから、少しだけ安堵する。

 大嫌いな君の言葉が胸に刺さったままだよ。

 絶望と闇を早く溶かしてほしい。
 大好きなロックを口ずさむけど、
 気持ちは沈んだままで、
 君は言葉の影響力を理解したほうがいい。

 悲しみはブロックの彼方へ、
 銀河連合体に出会うように、
 価値観を勝手に決めつけないよ。

 とりあえず駅まで自転車を飛ばし、日常を始めるよ。
 つらいことはそうやって、紛れさせるんだ。





☆マフラー
 首元を温めるアイテム 制服にアウターを着せずにマフラーだけ着ける描写にすると、
 秋の寒い日を表現することができる



 ■■■ふたりきり■■■


 真冬に路面電車を待つのは滅茶苦茶、寒いけど
 君と二人きりになるのは、すごくラッキーだ。

 会話は妙に途切れるけど青いシャーベットを
 溶かせるくらい胸が熱くなっている。

 そんなんだから、
 君が巻いているマフラーのフリンジが
 風でなびくのが妙に気になるし、
 マフラー誉めてみよっと。





☆マフラーのフリンジ
 マフラーの末端の紐の部分 冬場は風が強いので、フリンジを風で揺らすとエモい演出ができる



 ■■■寒いけど、君の話をもう少し聞きたい。■■■


 白い息を隠すように、
 君のマフラーのフリンジが風で揺れた。

 「話、聞いてくれてありがとう」
 
 そう言った君を見ると、
 君は僕の視線に気が付き、優しく微笑んだ。

 もう少し、話を続けたいから、
 寒いけど、このまま歩こう。




☆ピアス
 主に耳につける装飾品 ピアスホールを作る必要があるため、痛みが伴うアイテム
 ただ、その痛みを乗り越えたからこその、可愛さ、かっこよさがある


 ■■■甘く反射した。■■■


 君のピアスが対向車のライトで反射したとき、
 車の中の親密感が急に圧縮された気がした。

 冷静にドキドキしたから、
 素直に君のピアスを褒めた。




☆シルバーのピアス
 ピアスのなかでも、光を反射しやすい色のピアス 登場人物が一瞬、動くときに、
 「〇〇のピアスが輝いた」といれるだけで、一気にエモくなる




 ■■■弱いところを出す君は新鮮。■■■


 私は君のことを理解しているつもりだよ。
 ただ、君の浮かない顔にシルバーのピアスは似合わないから、
 ただ、堂々としてほしいと伝えると、
 君はありがとうと言って、微笑んでくれた。





☆ピンキーリング
 小指につける指輪 ピンキーリングの場合、ファッションアイテムという意味合いも強いことから、
 カジュアル感を演出することができる スリーコインズで買いがち


 ■■■深まる秋の中でも、あなたは世界の中心みたい。■■■


 冷たい空気の屋上から
 あなたと二人で街を見下ろしている。
 指につけているピンキーリングが反射して、
 空間を柔らかくしている。

 白いセーター越しに弱い日差しを感じ、
 右手からはあなたの体温を感じている。

 高く突き抜けた青空は秋の深みになって、
 もうすぐ冬が来るのを告げている。

 「ずっと、こうしていよう」
 あなたはポツリとそう言って、
 水晶みたいな空を仰いでいた。

 すべてのこの瞬間を真空にして、
 胸に詰め込みたくなった。







*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


季節の言葉


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*





*-*-* 春



☆トレンチコート
 春の定番アイテム 単語だけでベージュを表現できてしまう ライトグレーやカーキにするとより大人感が演出できる
 また、カラーバリエーションが豊富なことから、「あまりみたことない青いトレンチコート」と書くだけで、
 高級感も出すこともできる
 


 ■■■春はトレンチ■■■


 トレンチコートを着こなす君は凛としていて、
 人には見せない弱さを抱き締めたくなる

 桜は散っていくけど
 思い出はその分増えていくね

 君は突然、立ち止まり、
 繋いでいた手を離して、
 屈みこみ、ひとひらの花びらを摘まんだ

 「綺麗だね」
 そのまま花びら持って、
 君が大好きな、クリームブリュレ食べに行こう





☆春色
 パステル調の温かく明るい色合いのこと 松田聖子の「赤いスイートピー」の冒頭で「春色」という表現が使用されるほど、
 キャッチーな表現



 ■■■もっと、君を春色にしたい■■■


 ピンクの中で両手を広げて、
 はしゃぐ君は最高に素敵だね。
 
 回転と一緒に弧を描く茶色のボブの端は
 春の白い光をしっかり反射して、
 君の無邪気さがより引き立っているよ。
 だから、一生忘れないようにiPhoneで撮ったよ。

 春色のプリズムを
 柔らかいフィルターで補正をかけて、
 あとでもっと、かわいくしてあげる。

 だから、あとでゆっくり、
 スタバで限定フラペチーノを飲んで、
 思い出をしっかり刻もう。




☆春風
 春の風のこと 「春一番」は立春から春分までの間に、強く吹く南風のことである
 春風の場合、風が冷たくても、暖かくても、どちらでも表現可能




 ■■■君のすべてが好きだった■■■


 さよならを言ってから、
 すでに2週間が経ってしまったんだね。
 ひとりでスタバに来てみたけど、
 寂しい気持ちはテーブルの上に浮いたままだよ。

 ただ、今はソファに深くもたれて、
 iPhoneを握って必要のない情報を
 人差し指でなぞっているだけなんだ。

 君との恋は若草の上を軽く流れる春風みたいだった。

 「本当の恋ってなんだろう」
 そうぼそっと呟いても、君との関係は、
 もう戻らないことくらい知っているよ。




☆桜
 ピンク色を表す言葉 卒業や入学のタイミングの描写として多く使用されている



 ■■■君は素直じゃない。■■■


 春が揺れるように、桜の木々が風で揺れている。
 君と桜の下を歩くのは、君から誘われたからで、
 私はこの春、この街を出る。

 最後になる制服はJKブランド卒業が名残惜しい私は、
 19歳に向かい、20歳を過ぎ、大人になれるのか、
 自分でもまだ、いまいちイメージができない。

 君にそのことを話すと、
 「同じだよ。時間は無情に流れるよ」
 「同じって、どういうこと?」
 「無条件に時間は流れて、誰もが嫌でも大人にならなくちゃいけないってことだよ」
 
 大人ぶって、何でも知ったふりをするそんな君が好きだ。
 だけど、君はこの街に留まるし、離れてしまうよね。
 こんなに頻繁に近くにいたのに、二人とも一定の距離を取りあって、
 無地のキャンパスに何かしらの色を足すことができなかった。

 「ねえ、私がいなくなっても生きていける? そんな調子で」
 「その言葉、そのまま返すよ。心配だよ」
 「心配?」
 「そう。素直じゃないから」
 「ひねくれてるのはお互い様でしょ」
 私たちは絡まった二匹のクラゲみたいに軟弱で、
 空回りし始めて恋を始めるきっかけを逃した私たちは、
 きっと、このまま大人になり、
 桜が散ったことなんてクリスマスには覚えていないように、
 自然消滅するんだと思う。

 そして、桜を見たときに、ふと君のことを思い出して、
 青かったなってきっと、独り言をつぶやくのかもしれない。
 そう思うと、胸の中でなにかずっしりと重い感覚がビックバンみたいに広がり、
 そして、ブラックホールの収縮みたいにきゅっと縮まった。

 横を歩いていた君が急に立ち止まったから、
 君のほうを振り向くと、
 君はピンクの中で上を見上げていた。
 そのあとすぐに視線を渡しの方に向けて、
 目と目が合い、一歩、私のほうに近づいた。

 君はパーソナルスペースを無視して、
 私の目の前で私をじっと見つめてきた。
 こうして、見つめ合うと、
 君と離れるんだって実感がより湧いてきた。

 「今更だけど、素直になるわ」と言って君は私を抱きしめた。
 両思いだって今、知っても、今更、もう遅いよ。

 桜の緑が深くなったらすぐに帰る決意をした。




☆桜吹雪
 桜並木の下で、強い風が吹き、桜の花びらが、たくさん舞っている様子



 ■■■きっと、いつか今日のことを思い出しそう■■■


 君といると不思議と時間が過ぎていくのは、
 君が素敵な春のマジックにかかっているからだよ。

 桜吹雪の中で笑顔でいる君は、
 吹雪の中、微笑んでいた君と同じで、
 真冬の世界を一気に暖かくしたように
 明るい君といると嫌なことも忘れられるよ。

 今、尽きない会話が、
 もし、尽き始めたときは、
 今日のことをしっかりと話題にだすよ。






*-*-* 夏




☆水槽の中
 仕切られたなかで、涼しげに過ごしていること なにかに閉じ込められている比喩として使える


 ■■■夏色の君が好き。■■■

 夏が無限に続けばいいくらい、
 公園の芝は青々としている。
 君と二人きりで木陰のベンチで話している。

 「このままだったらいいのに」と
 君はポツリとそう言ったあと、
 穏やかな風が吹いた。

 ふと、君の手に触れたとき、身体に弱い電流が走った。
 
 君の微笑みは無敵で、無邪気だから、
 水槽の中に二人で閉じ込められていいと、
 思えるくらい、
 胸が締め付けられる。

 こうして僕は君のことが好きになった。



☆砂浜
 なにかの思いを抱え、ぼんやりと海を眺める場所 夕日や、朝日と相性が良い




 ■■■季節が変わり始めても、変われない自分にモヤモヤする。■■■


 傷ついた心をそっと引き締めるために、
 少しだけ冷たくなった秋の砂浜で
 ぼやけた海を眺めている。

 手元に置いたコーラはわずかで、
 空飛ぶクジラが来るまで待てなさそうだ。

 昨日の夜に降り注いだ星屑を探そうと、
 両手で砂をすくい、
 指と指の間で感触を確かめたけど、
 つまらなさが旨を締め付ける。

 何をやっても上手くいかない時は、
 どうやってやり過ごしたかを思い出せなくて、
 最後の一口、コーラを飲んだけど、
 何も変わらないから、そっといじけ続けよう。

 気が済むまで、ずっと。





☆麦わら帽子
 夏にかぶる帽子 麦わら帽子にワンピース姿で爽やかな登場人物を描写することができる



 ■■■透明の季節になり、久々に君に会えることになった。■■■

 電車に乗って、遠くの街に住む君に会いに行く。

 被ってきた麦わら帽子を膝に乗せて、
 流れていくキラキラした海をぼんやり眺めている。 
 
 クールな君はきっと久々の再開でも、
 いつもみたいに波がない反応を返してくると思うけど、
 昨日、したためた手紙を渡したときは驚いてほしいな。





☆ひまわり
 夏の黄色の象徴 夏の描写で黄色を使いたければ、とにかくひまわりを入れるとエモくなる




 ■■■君の微笑みを忘れない。■■■

 君といると時空を超える。
 
 ひまわり畑の真ん中は世界の中心に思える。
 上空の青に飛行機が2本の白線を描き、
 轟音を立てて消えていった。
 
 「もし、私がきえたらどうする?」と
 君はおどけた表情で僕に聞いてきた。
 だから、僕は君の手をそっと繋いだあと、
 まっすぐ先を見つめて、
 遠くの山の緑に意識を飛ばす。

 君に催促されたから、
 君の方を振り向き、
 思いっきりだきしめたら、時が止まった。




☆冷たいコンクリートの階段
 夏の日陰のコンクリート階段のこと 夏なのに、その場所だけ、冷え切っているのがポイント
 人気がないことから、秘密や、約束を共有しやすい



 ■■■冷たさは君の特権。■■■


 冷たいコンクリートの階段で、
 制服姿の君と夏の影に隠れて過ごしている。
 君はいつものようにクールなままで、
 何に対しても腹が立つみたいだ。

 別に世界なんて、変えようと思わないけどが、
 君の口癖で、その言葉のたびに、
 君が閉塞感にソーダ水をかけて、
 溶かしてくれるんじゃないかって、
 なんとなく思っちゃうんだ。

 だけど、そんな君と、
 くだらないことを話す、今の時間が好きだよ。




☆プール
 白いプールサイドに、水色の底が特徴 塩素ナトリウムの香りの元 
 プールという単語をいれるだけで涼しさを表現できる




 ■■■もっと、君とはしゃぎたい。■■■



 遊ぶための方法なんて、無数にあるから迷っちゃうよね。
 君と私の時間はアスファルトに落ちたアイスクリームのように溶けていくよ。

 少し前までの、日記に不幸を書き並べてた日々は嘘みたいになったよ。
 肩を叩かれて、振り向くと頬に君の人差し指が当たり君が笑った日から。
  
 緑が深まるの真夏の公園をゆっくりと歩き続けているよ。
 塩素の匂いが、かすかに鼻をくすぐってきて、夏を感じた。

 君とふたりでプールに無数のバブルバスを入れて、
 白いプールサイドに腰を掛けて、
 ふたりで、水色の底の冷たい水を両足でバタバタさせて、
 泡をたくさん作って、そんなイケないことをしてみたいな。

 たまに君は遠い目をふとするときがあるよね。
 私はそれを見逃さなかったよ。
 傷ついた過去はなにか知らないけど。

 言ってくれたら、私は君を包む覚悟はもうできているよ。

 今日も青空は夏を象徴しているみたいだね。
 君がそう言ったから、かっこうつけないでよと、私は平然と君を茶化して寂しくなった。

 君の過去を知ろうとするといつも君は話を逸らすけど、
 いつか、それを知ることができたら、
 きっと、それは愛の証拠になりそうだね。

 待つよ。
 君が心を開いてくれるまで。
 それまで君を私だけに独占させつづけて。




☆クラゲ
 クラゲの浮遊感が自由さを演出しているように見える 
 また、海中を浮遊していることから、夏と合わせることで涼しさを演出できる
 



 ■■■青いあなたのことなんて、なんでもわかってしまうよ。■■■


 青色LEDで淡く照らされた
 水槽のクラゲをベンチに座りながら、
 あなたと一緒に眺めている。

 隣に座るあなたの横顔は、
 いつものように涼しげだけど、
 薄暗いブルーの中に溶けているみたいだね。

 あなたの気持ちを確かめる方法は、
 聞くことしかないけど、
 あなたが今、何を考えているのか、
 なんとなくわかるよ。

 だって、もう、付き合って3年経つんだから。




☆塩素ナトリウムの香り
 夏場は湿度と温度の所為か、塩素消毒の香りが辺りに残ることをさす表現
 この名前を出すだけで、一気に夏の香りを表現することができる



 ■■■あの日の約束のことを、きっと、君は覚えていない。■■■


 日々の憂鬱を取り除くために、
 戻れないあの日の
 塩素ナトリウムの香りを思い出し、
 果たせなかった君との夏の約束を思い出した。





☆線香花火
 手元で儚く散る花火のこと 小さくても、大きな光を放ち、風に弱い



 ■■■夜が進むよ。■■■


 日付が変わる前の公園は
 昼間の熱気が冷め、
 少しだけ涼しい。
 君は時折、腕をさすっていた。

「夏の終りは線香花火に似てるね」
 と君が言ったあと弱い風が吹いた。

 夏が終われば
 それぞれ飛び出した場所にまた帰って
 過ごす日常を思い出した。

 伝えたいことを伝えて
 君の冷えた手を握った。





☆炎天下
 焼け付くような強い日差しのこと 00年代までは、30℃以上の真夏日が、
 比較的少なかったことから、古い作品では、「炎天下」はたまに起きるうんざりするものという
 エモめなニュアンスで表現されていた しかし、現代の夏は常に炎天下




 ■■■炎天下の世界で。■■■


 炎天下の公園は緑が眩しかった。
 噴水が炭酸みたいに白く吹き出ている。

 もし、世界がこのまま終わっても、
 噴水だけはずっとそのまま居座りそうなくらい、
 噴水だけは特別、緑や青に対して浮いていた。

 もし、ゆるい悲しみがこのまま続くなら、
 水しぶきをずっと見ているのも悪くないと思った。





☆テトラポッド
 港や浜辺に置いてある消波ブロックのこと 座れる場所が少ない海辺で、登場人物を座らせやすいアイテム 




 ■■■ふたりきりで海を眺める。■■■


 テトラポッドに座る君はぼんやりしていて、
 髪の毛先が潮風で弱く揺れている。

 夕日に照らされた君のその表情も美しいけど、
 君の悩みをすべて消し去る魔法をかけてあげたい。





☆白いパラソル
 パラソルのなかでも、白いことでより涼しさが際立つパラソル 青空と白が最高に合うことから、
 明るいイメージを演出しやすい




■■■君とレモンソーダをかき混ぜたい。■■■

 白いパラソルの下で君と一緒に
 レモンソーダを飲んでいる。

 君と過ごす夏が終わる前に、
 甘酸っぱい恋をしっかりと君と混ぜたい。





☆夏至
 一年のなかで、最も日照時間が長い日 6月なので、学生だと平日のイベントになることが多い
 

■■■こんな気持ちになるなら。■■■


 こんな気持ちになるなら
 青さは惨めで海なんてちっぽけに思える。

 こんな繋がりになるなら
 白さは真面目で雲なんておまけに思える。

 何度目の夏が来たか
 夏至の終わりに知らされ、

 何も変わらなかった私は、何も変わらず踊る。

 君とコーラで乾杯した海岸線で
 このまま海を見ていたい。





☆入道雲
 夏の定番の雲 地表から計算して、1万メートルも立ち込めることもあることもある




 ■■■星の砂をかき集めて■■■


 星の砂をかき集めて。
 なんて、言えない昼間の砂浜は白く熱くて。

 あなたと足跡つけて、遊びましょう。
 あの人との時を潮風に流して。

 白波
 入道雲
 色褪せた灯台

 白の絵の具みたい。

 溶けるように甘く。
 波はチョコレートみたいに浜を濡らす。

 あなたと今をフィルム色に淡くしよう。





*-*-* 秋





☆静電気
 触れようとしたのに、それを阻み、痛くする電気ショックのこと 恋の痛みに似ている




 ■■■君との恋は秋の夕暮れみたい。■■■


 君との恋の始まりは秋だった。
 イチョウ並木の中で君と初めて手を繋いだ瞬間、静電気が走って笑いあったことも、
 今もまだ、鮮明に1秒ずつ思い出せるよ。
 映画が24フレーム、つまり、1秒間に24枚の絵が重なって動画になっているみたいだけど、
 きっと、それくらいその時のことを、再生できるんだよ。

 君が言った言葉はすべて取っておきたいから、
 スリコで買った300円のジュエリーケースをたくさん並べて、
 その中に丁寧に保存していたよ。

 だけど、もう、その必要はなくなったみたい。

 君の言葉をひとつひとつ、ジュエリーケースから取り出し、
 そのなかに、涙を一つずつ入れていく。
 涙はガラスみたいに透明で、
 ときおり、青い涙も混じっていたよ。

 君と初めて手を繋いだ、あの秋の日。
 深いオレンジ色の中で、思いなんか伝えないで、
 ガソリンスタンドで静電気除去シートに触ればよかった。



☆イチョウ
 秋の黄色の象徴 イチョウ並木を登場させると、絵が全面的に黄色くなり、華やかになる



 ■■■黄色い恋は深まっていく。■■■


 イチョウ並木の中で二人きりで歩く。
 あなたとの素敵な恋はゆっくりと進んでいく。
 手を繋いだままでも、優しさは伝わり、
 きっとこのまま、深まっていきそうだね。

 あなたとの出会いは偶然で、
 彗星同士みたいに逢うはずない出会い方をした。
 思い出も愛情も自然と深まり、
 季節はあっという間に巡っていった。

 あなたが、ふと、立ち止まり、
 「最高だね」って笑顔で言った。
 「最高って、なに?」と聞き返したら、
 あなたに思いっきり抱きしめられて、
 一瞬、息が止まった。





☆カーキのMA-1
 秋に着るアウターの定番 カーキ色は、MA-1でも、トレンチコートでも、
 どれでも落ち着いた雰囲気をつくることができる




 ■■■囚われた君を助けに行く。■■■


 秋も終わろうとしているのに、
 変われない思いを抱いたまま、
 季節は僕を置いてけぼりにしていく。

 冷たい雨が降る中、湿った落ち葉を踏みつけて、
 森の一本道を地道に歩きながら、
 僕は彼女のあれこれを考え続けた。

 だけど、何度もリロードを繰り返した思考の答えは一緒で、
 僕は彼女を必要としていることは変わらなかった。

 彼女が魔女に拐われてから、ずっと君の行方を探している。
 この2か月間、手がかりは見つからないまま、僕は途方にくれていた。

 着慣れたカーキのMA-1のポケットに両手を突っ込み、
 その中で何度も握ったり開いたりしても、
 もどかしい現実が変わるような音はしなかった。

 笑いあった夏が遠くなっていき、
 秋は彼女がいなくなり、途方にくれて、
 そして、今、ひとりぼっちになり冬を迎えようとしている。

 魔女による人さらいは、
 中世の魔女狩りの報復だと言われているけど、
 彼女にも、僕にとっては関係ないことだ。

 そして、僕は2か月の霧を抜け、
 冷たい雨の中、森の中にある魔女の城にたどり着いた。

 ただ、助けたい。
 それくらいのこと、難しくないはずだ。

 僕はバッグから冷たくなった拳銃を取り出し、
 それをしっかりと両手で握り、
 右足でゆっくり扉を蹴った。





☆秋雨
 秋に降る冷たい雨 特に10~11月にかけて、雨が降るたびに、冬が近づいているように感じる
 冬至が間近になり、暗くなるのも早いことから、夕方~夜に降る秋雨はより寂しさを演出する




 ■■■遅刻魔の君は今日も遅れている■■■


 秋雨で深まる街を
 カフェの中からぼんやりと眺めている。
 遅刻魔の君は今日もまだ来なくて、
 お気に入りの文庫を読み返しているけど、
 あまり読み進まないや。

 ガラスにあたり、雫となった無数の線は
 なぜか気持ちを切なくする。
 冷めかけたコーヒーはすでに半分以下で、
 一瞬、今日は君がいない世界で終わる気がするからさ。

 早く来て。
 楽しさで時間を忘れさせてよ。
 今日も。





*-*-* 冬




☆溶けない
 雪が溶けないこと 冬の舞台に「溶けない」を単独で使うと、
 比喩的に「溶ける雪」と連動させやすいため、「チョコレートが溶ける」「溶けないでほしい気持ち」など、
 寂しさを演出するのに使いやすい




 ■■■ふたりぼっち■■■


 雪が振り続けているなかで、
 君と二人マフラーして、手を握りあってる。

 アイスクリームみたいに溶ける恋愛を
 今、瞬間冷凍して、君と食べたい。

 君との青春はあっという間で、
 未だに照れているのは、お互い様だね。

 このまま手を繋いだまま、
 あそこに見える雪が積もった並木道の下を歩こう。





☆イルミネーション
 11月下旬頃から、クリスマスにむけて街が電飾で華やぐ様子 
 以前は電球色が主流だったが、10年代後半から青色LEDが主流となったため、
 「青白いイルミネーション」という表現も可能になった




 ■■■君の雪乞いは最高だね■■■


 大好きな季節の中で君とはしゃぐのは最高だね。
 イルミネーションを背中に抱えて、
 カラフルな世界をiPhoneで自撮りして。

 君の微笑みは最強の武器なのに、
 それを簡単に使えるのは、君がはしゃいでいる証拠だね。

 冷たい世界をデーターに仕立てたあとに、
 そっと、手を繋いでゆっくり歩き始めた。
 あとで楽しかったことをスタバで振り返って、
 最後まで、はしゃいで思い出を深くしようよ。

 空から綿のような雪が振り始めて、
 君は右手をそっと空間に伸ばして、
 何かを掴もうとした。





☆ブラックフライデー
 11月に行われるバーゲンセールのこと 20年代から定着したため、
 忙しさや混雑の表現として、使いやすくなった




 ■■■今年のブラックフライデーに買いたいものなんてない。■■■


 昨日まで光ってなかった
 街路樹のイルミネーションが
 青白く光はじめ、
 もう今年が終わることを
 噛み締めて、カメラに収める。

 すぐに、なにも考えずに
 あなたに共有した。

 ブラックフライデーに
 買いたい物なんてないけど、
 あなたと過ごす時間が少しでもほしい。

 次はいつ会えるんだろう。





☆クリスマス
 24日にロマンティックになること 25日のあとはお正月ムードで日本色が強くなる
 冬の舞台をロマンティックにするなら、クリスマス一択




 ■■■倦怠期で迎えたクリスマスイブ■■■


 雪で白くなった夜をふたりきりで歩いている。
 最近、「好き」って言ってくれる頻度、減ったよね。

 だから、最近の私は倦怠期なのかもって、少しだけ拗ねていて、
 君と一緒に暮らしているのに、
 クリスマス前でより、私の気持ちは揺れていた。

 「やっぱり、落ち着くかも」
 「落ち着くってどういう意味?」
 「好きってことだよ」
 
 そうさらりと言われて、
 その一言で嬉しくなった私はバカだよね。 
 
 うちに帰ったら、
 君が好きって言った記念に、
 生クリームたっぷりの5号のケーキ、一緒に食べようね。





☆ブランケット
 ソファなどで暖を取る毛布のこと ソファとブランケットと、
 Netflixでゴロゴロしている感じを出せる




 ■■■君の返信を待つ真夜中は冷たくて退屈。■■■


 君の返事を待っている真夜中。
 間接照明をつけたまま、
 ソファの上でブランケットをまとって、
 退屈な時間を過ごしている。

 さっき入れたココアはもう簡単に冷めちゃって、
 それだけ君の返信が遅いんだよって責めたい。

 Spotifyを聴きすぎたiPhoneは少しだけ熱を持っていて、
 バッテリーセーバーしたいんだけどって、
 無機質だけど親切なメッセージが出て、
 それを無視して、
 手に握りしめて、
 お気に入りの曲をじっと聴くよ。

 今日も眠れなさそうだよ。
 今日も寒気が列島を覆ったから、 
 手が冷たくなるし、
 ブランケットをぎゅっと握っても、
 あまり暖まらないし、
 エアコンの暖房の効きはイマイチだし、
 まだ、君からの返事が来ないから、
 すべてが嫌になっちゃいそうだよ。

 ソファから起き上がり、
 ココアが入ったマグカップに手を伸ばした瞬間、
 iPhoneがバイブレーションした。






☆バレンタイン
 冬の終わりの最大のイベント クリスマスに次いでロマンティックな演出が可能
 シチュエーションとしては強いものの、クリスマスには及ばない




 ■■■ものすごく特別だよ■■■


 バレンタインなんて待ち切れないほど、
 君が好きだから、
 今日も特別な印として、
 赤いKitKatを2つあげるね。

 今はまだ、心の準備ができなくて、
 自分から告白なんて、できないけど、
 君はものすごく特別だよ。





☆スノードーム
 ドーム状のガラスの中にミニチュアと粉雪を水の中に閉じ込めたもの 
 閉じ込められている感じと、水のなかで雪が舞う様子が単純にエモい




 ■■■隣の君はいつも違う世界を見ている■■■


 巡る季節の中で、
 あなたと私は取り残されたみたいに、
 無口なまま手を繋ぎ、雪を踏みしめている。

 雪が降り積もった静かな朝の中を
 ゆっくり切り裂いているみたいだね。

 冷たい手で美しい世界を描く君の才能は、
 スノードームを振ったような揺らぎで、
 それは、切なくて最高の世界だよ。

 きっと、今この瞬間も私には見えない何かを
 あなたは受け止めているのかな。

 それがたまに寂しくなるときもあるよ。
 そんな離れそうなあなたを離したくない。






*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



青春と学校の言葉



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*








☆少年少女
 10歳以下の男性と女性のこと まだ、恋愛感情をフラットに見ることができる年齢であることから、
 純粋さや、無垢さ、そして幼馴染としての関係の単純さを演出することができる
 「大人になった今」「恋を知った今」を合わせると対比になり、エモくなる




 ■■■少年少女だった僕たちは、大人に近づいている。■■■


 コーヒーを飲む数だけ、
 君と僕はお互いのことを知り、
 大人に近づいていくような気がするね。

 少年少女のままだったら、
 守れた純粋な幸せから、
 離れていくのは寂しいけど、
 落ち着いた今の君のほうが好きだよ。




☆絆創膏
 傷を癒やすもの 誰かに貼ってもらうシーンを作ると優しさも表現できる
 「心の傷に絆創膏を貼る」というだけで優しさが表現できる




 ■■■傷を塞ぐ絆創膏は次の恋しかない。■■■


 終わった恋はりんごの皮を剥くのを失敗し、
 人差し指を縦に赤く滲ませたように、
 今までのことを自己否定していて痛い。

 この自己否定を絆創膏で塞いだら、
 次は明るくなるのかな。

 まだ、胸の中に君の甘さがまだ残っていて、
 思い出が無駄に涙に変換され始めた。





☆机
 囚われた学校のなかで、退屈を耐える場所




 ■■■こうやって恋が始まるのかな■■■


 たまたま、嫌なことをクラスで押し付けられた、
 かわいそうなふたりだけど、
 夕日が差し込む教室の中で、
 机をくっつけて、向かい合って、
 君と話していたら、思ったより君が面白くて、
 君のイメージが変わってしまったよ。

 君がおいたペンが机から落ちそうになったとき、
 とっさに右手を出したら、なぜか君の左手に触れていて、
 その瞬間だけ、時間が止まった気がした。

 もともと、君のことなんて意識してなかったのに、
 ドキドキし始めたから、結局、触れたままの手を離して、
 君を思わず、じっと見つめてしまったよ。

 こうやって恋が始まるのかな。
 そんなことを考えている間に、君が微笑んだから、
 私は思わず、君から視線をそらした。




☆クラス
 ランダムに抽出した30人を無理やり仲間にするシステムのこと




 ■■■君とはまだ友達以上■■■


 コンクリートの非常階段が、
 ふたりだけの秘密の場所になっていて、
 今日も、階段に腰掛けて、
 夏が始まったばかりの見慣れた街をぼんやり眺めている。

 君はクラスで浮いているらしいし、
 だったら似た者同士だねって、
 笑いあったのは、ここ最近のことだった。

 そんな君のことを友達以上に思い始めているけど、
 それ以上になれるかなんて、まだわからない。
 君がどう思っているかなんてわからないから、
 今は、現状維持をして、
 コンクリートの冷たさをしっかり感じていたい。





☆クラスガチャ
 気の合わない人たちと1年間過ごすことが確定し、運が悪いと思うこと





 ■■■もう決めているからいいんだ■■■


 もう、私には、
 人並みのキラキラした青春を過ごすことができないのなんて、
 自分でも十分、わかっているよ。

 クラスガチャ以前に、
 私の性格は暗すぎだから、
 私は自分の手でキラキラした未来なんて切り開けないから。
 
 だけどね、それでもいいんだ。
 私はもう、ひとりで生きるって決めきっているから。
 
 それでも、周りのキラキラを見ていると、
 たまに寂しくて、苦しくなるんだ。
 胸の奥が。





☆白いカーテン
 開けっ放しの教室の窓から吹き込む風で、よく揺れる薄い布のこと
 誰かがカーテンをまとめるのを忘れて、瞬いている印象




 ■■■キスしてほしい■■■


 ようやっと、ふたりきりになれたね。
 憂鬱な学校のなかじゃ、逃げ場なんてないから、
 夕方6時前の教室のなかは夢の中みたいに思えるよ。

 このまま、窓から入る風でゆれる白いカーテンを眺めて、
 ただ、くだらないことで笑い合うのもいいけど、
 シンプルにキスしてほしい。





☆制服姿
 学生であることを証明するもの 制服のなかでも、ブレザー、セーラー服、学ランなど、
 種類があるため、どのような制服を纏うかによって、演出も違ってくるアイテム




 ■■■恋が揺れる1分前。■■■


 放課後の教室で、ぼんやり外を眺めている。
 ガラスの外は雨で滴り、景色がグレーに滲んでいる。

 ガラスに弱く映る私の制服姿は、
 今シーズン限りで見納めだね。

 プールの雨で水面が揺れて、
 せっかくの底の水色は涼しさが抜けて、
 今日は泣いているときみたいに悲しくみえるよ。

 君に待ってと言われて、
 待ち続けている金曜日は、
 緊張と期待で胸が痛くなるよ。

 もし、両思いだったら、
 どうやって、君に嬉しさを表現すればいいんだろう。
 そんなことを考えていたら、
 君の声がして、一気に心臓が壊れそうになった。





☆ベンチ
 公園に行ったら座るもの 真夜中の公園の場合、高確率で街灯の下にある




 ■■■閉じ込められた世界の中で、僕たちはしっかり生きるしかない。■■■


 土砂降りの公園を屋根付きのベンチの中から、
 君と座りながら雨が上がるのを待っている。
 天気予報を当てにした僕らはバカらしくて、
 お互いに几帳面に生きる僕たちは、
 雨に笑われているねと君と話す時間は尊い。

 「このまま閉じ込められたらどうしよう」と
 君がぽつりと言ったから、
 君となら閉じ込められてもいいよと、
 素直な気持ちを君に伝えると、
 君は微笑み返してくれたあと、僕の手を繋いだ。

 だけど、その願いとは逆に、
 降り続けている雨が雲の隙間から差し込み、
 黄色でキラキラし始めた。
 きっと、僕たちはこれからも上手くいくなって、
 理由はわからないけど、微かな予感を抱いた。





☆ブランコ
 公園に行ったらベンチに次いで、座るもの 
 なんとなく、ブランコを揺らしながら、思いの丈を伝えたりする




 ■■■夏に君の悩みを溶かしたい■■■


 西日のオレンジに染まった、ちっぽけな公園を、
 君と黙ったまま、ベンチから眺めている。

 君が泣いてしまった今日。
 少しでも君のことを助けたいと思ったんだ。

 だから、残りのコーラを飲み終わったら、
 ブランコに座って、ゆらゆらしながら、
 もっと君のことを聞かせて。





☆シーソー
 ふたりでバランスを取り合う遊具 シーソーを揺らして、はしゃぎあうシーンなどで使う




 ■■■君との次はもうない■■■



 君の気持ちを保存する方法がないまま、
 涙はとっくに枯れ果てて日常をこなす。

 月の上のシーソーに乗り、はしゃぐような
 たくさん紡いできた甘い記憶は
 ミルクティーのなかにすべて溶けてしまった。

 伝えたかった気持ちをすべて空に戻して、
 また一から指を折り直して新しい人を探そう。

 君の棘を磨くような優しさを持つのは無理だった。
 楽しい気持ちだけで過ごせたら最高だったのに。
 片腕が千切れたテディベアの腕を縫うような
 仲直りはもうないかもね。

 今まで、ありがとう。
 夢で会う程度でいいよ。





☆5時のチャイム
 夕方5時に鳴るチャイム 田舎だと大体鳴りがち
 なんとなく、帰る合図にもなっている




 ■■■君はそれをプリズムと言った■■■


 すすきが夕日で輝いている
 君はそれをプリズムと言った

 ストロベリーパフェのような
 凛々しさとあどけなさが、
 君は最強でレベチだね

 5時のチャイムのような
 寂しさとやるせなさが、
 君と離れたくない理由なんだよ

 君が求めているのなら、
 無くした捜し物みたいに
 綺麗にワープして消えてやる。






*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



街・乗り物・小物の言葉



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*







☆ビル群
 都会と仕事場の象徴 日常の退屈さを表現しやすい




 ■■■たまに息が詰まる。■■■


 色づき始めた街路樹の木陰は少し冷たい。
 
 先に見えているビル群のグレーは無機質に並び、
 何も考えず、今日もそこへ向かう。

 生きる意味ってなんだろうって、
 ときどき、ふと考えてしまう。

 一度、立ち止まり、深呼吸をする。

 懐かしいあおさが蘇り、胸を締め付ける。
 もう少し、明るい性格になりたかった。
 マーケットに山積みされたレモンのように。

 日常に追われて、自分の世界が沈む。
 ドキドキすることが思い出せないから、
 次の休日はどこか遠くへ行こう。





☆雨で濡れた銀色のビル街
 雨に濡れたビル街のこと 曇っていて、明るくない状況で、
 ビルの外装、ガラスの反射も相まって、銀色に見えることから由来する




 ■■■イノセンス■■■


 大人になるにつれて、無邪気さは消されていくけど、
 自分の中には、無邪気さを持ち続けていたいな。

 雨で濡れた銀色のビル街。
 ネオン色を反射する濡れたアスファルト。

 そんな退屈な都心でも、
 青と緑の夏色の公園で水遊びをしていた、
 あの日のことを忘れないようにしていたい。





☆アスファルト
 原油を生成したときに出る黒色の粘着物のこと 雨で黒く見えるのは、
 凹凸に雨が染み込んで、平らとなり、それが光を反射するから
 



 ■■■雨の街は宝石みたいにキラキラしている。■■■


 雨の中のビル街は悲しくキラキラしていて、
 都会の夢とか、希望とか、
 そういうのをすべてアスファルトが
 黒く吸収しているように思える。

 自分が嫌になってしまい、
 横断歩道の真ん中で立ち止まりたくなった。
 
 夏が始まるのに、
 胸に残った重たい感覚はそのままで、
 きっと、この夏も無力感を感じるんだろうなって、
 なんとなく、嫌な方に考えてしまう。

 なぜかわからないけど、
 あなたが今、どこで何をしているのかを
 急に知りたくなった。





☆交差点
 2本以上の道路が交差する場所 真夜中の交差点は車も人もおらず、
 サイバーパンク感が出ている




 ■■■誰かに、そう言われたい■■■



 雨に濡れた夜のビル街の交差点で立ち止まっている。
 黒くなったアスファルトに赤信号が反射していて、
 それが、青に変わったのと合わせて、
 下から、視線を前に戻す。

 自分の代わりなんて、
 たくさんいるのはわかっている。

 だけど、たまにものすごく必要とされていたいんだ。

 だから、誰かに、
 ただ、「君が必要だ」って、言ってほしい。





☆スクランブル交差点
 全方向の自動車の行き来を止めて、全方向から横断することができる交差点
 渋谷のスクランブル交差点が有名




 ■■■雨が上がれば■■■


 冬の雨で濡れた夜の渋谷スクランブル交差点は
 無数の夢の色を反射してるみたいに青白い。

 こんな雨なのに誰かと待ち合わせしてる人は、
 自分も含めて、すごく多いことに感激する。

 今夜がどうなるかなんて、
 まだ、何もわからないけど、
 君に会えるという事実できゅっとする。

 雨、上がればいいな。





☆オープンテラス
 カフェや、レストラン、ビルなどに設けられている室外の空間 
 夜風にあたりながら、オープンテラスのテーブルで食事をするシーンに使われる




 ■■■変われない日々は、夢の中みたいに微温い■■■


 夏の終わりの日の朝、
 カフェのオープンテラスから忙しい街を眺めていると、
 巡る季節から、置いていかれているような気がする。

 生き方を変えないまま、
 生活を変えないまま、
 よかった記憶はどんどん遠くなっていく。

 もし、このまま世界の時計が止まっても、
 後悔なんてしないと思えるくらい、
 今はまだ、何も見えないけど、
 きっと、その先は明るいはずだ。

 だから、今は何も考えずに、
 クリープで白く濁したアイスコーヒーを飲んで、
 夏の名残を楽しむことにした。





☆ウォーターフロント
 都市の海や川沿いに港とともに整備されている地域 
 横浜のみなとみらいなどが有名




 ■■■友達以上恋人未満は一番、心が揺れるから緊張する。■■■

 胸に秘めた予感を温めて、君を待つ日曜日は非日常。
 
 LINEでは会話が弾むのに、
 先々週ははずまなかったから、
 今日は戒めを糧に明るく振る舞おう。

 ウォーターフロントで尽きない想い伝え合いたい。

 レモネードで白のワンピースを
 ゆっくり染め上げるように
 甘酸っぱい思いをたくさんしたい。





☆ショッピングモール
 大規模な商業施設 吹き抜けや、広場など整備されていることや、
 有名テナントが多数出店していることから、舞台として動きを作りやすい




 ■■■このまま透明なままでいて。■■■

 君とこのまま、手を繋いだまま、真夏の空を飛び、
 ショッピングモールの吹き抜けのガラスの上を歩きたい。

 透明感100%の君がこのまま消えてしまわないように、
 素直に君の透明感が好きだと伝えた。





☆ホーム
 駅に電車が発着する場所 駅の規模によって、登場人物が受ける感想が変わってくる
 ただ、無人駅でもターミナル駅でも、ひとりきりで行動している場合は寂しさが募りやすい




 ■■■いつもの憂鬱は寂しさが原因。■■■


 ホームは冷たく、朝霧で霞んでいる。
 まだ眠っている小さいこの街から、
 君に会うために大都会へ向かうよ。

 ベンチでひとりきり、
 ぼんやりと何度も読み込んだ本を読んでいる。

 夏が過ぎ去ったこの時期は
 いつも、寂しさが旨を占めるけど、
 心が満たされるような気がするよ。

 大好きな君は何て言うのか、
 想像して、結局、本の内容は頭に入ってこない。
 遠くから列車の音がする。

 霞んだ先を見ると電球色が近づいてきた。





☆踏切
 線路と道路が交差する場所 踏切の遮断機と、警報を鳴らす音響はどちらかが壊れてもいいように、
 連動しないように作られている 




 ■■■夏なんて早く終わればいいのに。■■■


 海へ続く下り坂を陽炎の透明を切り裂いて、歩き続ける。
 坂を下った先に見える踏切は逆光で影って歪んでいる。

 片思いだった想いは簡単に失った。
 君が別な人と手を繋いでいるのを見てしまった。
 噂なんて、信用できないよね。
 誰が、まだ付き合ってる人はいないよって広めたんだろう。

 先に広がる海はキラキラと白い光を反射して、
 世界は遥か先まで夏だった。
 揺れた想いはこのまま、夏の熱で溶かしてほしい。
 バターが焦げてしまうくらいに。

 踏切が点滅を始めたあとすぐに、
 ゆっくりとアルミ色の電車が奥の海を遮った。





☆カフェ
 コーヒーを飲みながら、いろんなことを考えたり、語ったりする場所
 密会に適している場所でもあり、非日常感を演出できるため、敵対していた相手との打ち合わせや、
 デートや事件前の一息つくシーンに使うことができる




 ■■■すべてが君だった日々を補う接着剤をください■■■


 カフェの中でゆっくりと抱いた君への思いは、
 離れ離れの大好きな君にはきっと届いていない。

 冷めかけたコーヒーと、
 読みかけの文庫は半分、放ったらかされたままで、
 曇り空を映し出した銀色の朝の街並みを
 ぼんやりと眺め、ビルに吸い込まれていく
 人々を目で追った。

 夏色だったあのとききの君とは、
 仕方なく別れたけど、
 心の隙間を狙うように、
 君との思い出がいつも入り込むのはなぜだろう。

 あと5分でまたつまらない日常が始まるから、
 水をかけあって、はしゃいだあの日を
 一旦、忘れるために
 残りのコーヒーをすべて飲み干した。




☆カウンター席
 大体、窓側か、厨房沿って、一直線に備え付けられている席 
 窓側のカウンター席の場合、ぼんやりと外の世界を眺めることができる




 ■■■秋は冷たくて、気持ちを置き去りにする。■■■


 言いたいことが言えずに昨日が終わり、
 今日も日常が始まったから、
 カフェのカウンター席から、雨で銀色の街を眺めている。
 
 一気に色づき始めた街路樹も濡れて、
 濡れて冷たい青色のビルも
 信号を反射する黒色のアスファルトも
 すべてが切なくて、
 秋はいつも憂鬱になるから好きじゃない。

 いつものように少し濃いコーヒーを飲んでも
 気持ちはそんなに変わらないし、
 あーあ、って自分が惨めに感じるし、
 変われない自分だけが置いてかれる。

 それでも流星群が降り注ぐように
 日常ははやく展開していくから、
 窓の雨粒を指でなぞるくらいは許してほしい。




☆街路樹
 道路沿いに植えられている木々のこと ビル街でも田舎でも街路樹が存在するため、
 季節感を伝えるアイテムとして、利便性が高い




 ■■■あなたへの気持ちは■■■


 街路樹が色づき、
 日差しが黄色い昼下がり、
 あなたと黙々と手をつないで歩いている。

 季節は冬に向かって
 移動している最中だけど、
 あなたへの気持ちは変わらない。

 別に行く宛なんてないけど
 もどかしさなんてない。

 このまま、
 ただ、時間が流れればいい。
 それだけで非日常になるから。




☆コンビニ
 コンビニエンスストアの略称 基本的に24時間営業であるため、
 深夜帯に物語を動かすときには、だいたい、コンビニで何かを買いがち




 ■■■春のシュークリーム■■■


 冬が終わった今日は、
 暖かくなったお祝いをしたくなった。

 午後の柔らかい日に照らされて、
 コンビニで買ったシュークリーム入った袋を
 ブラブラさせて帰るよ。

 なにも考えず、自分をゼロに戻しながら。

 春風はちょっぴり頬を冷たくするけど、
 切ない新しさを運んでいる。

 明日もきっと上手くいくよ。





☆夜のスタバ
 閉店間際のスターバックスのこと 都市型店舗でも、地方のロードサイド店舗でも、
 0時近くまで営業している店舗が多数ある 
 真夜中に甘さやコーヒーを飲むことがストーリー的で非日常感がある





 ■■■夜のスタバで紡ぐ、自分への愛。■■■


 iPhoneをなぞり紡いだ言葉は、
 ほとんど無意味なことは知っているよ。

 ただ、夜のスタバで、
 頭の中を整理する時間が必要なだけなんだ。

 ただ、今日もよくやったって、
 自分をしっかりと励まして、
 明日も生活を紡ぎたいだけなんだから。






☆ファミレス
 ファミリーレストランの略称 10年代まで24時間営業といえばファミレスだった
 ただ、20年代に入ってからは、夜を明かす場所ではなく、
 日中に甘いものを食べる場所に変化している




 ■■■夏はいつも上手くいかない。■■■

 君と食べるパフェは嘘とは無縁で気持ちが楽になるね。
 ファミレスの安いパフェでも生クリームの甘さは変わらないし、
 口の中に広がる冷たさも変わらないから、
 すべてのうんざりした人間関係も吹き飛ぶんだ。

 だから、君にこれ以上、
 愚痴を言うことはやめて今を楽しむね。





☆レイトショー
 21時以降に映画を観ること 大体、終電に間に合うようにレイトショーを設定してるシネコンがほとんどだが、
 車中心の都市では、1時近くまで上映する作品も存在する




 ■■■レイトショーに行きましょう■■■


 雨が降っているから、
 レイトショーに行きましょう。
 早めのディナー済まして。

 今年、最高と噂になっている
 ラブロマンス、観に行きましょう。

 シャイな君とは、
 なぜか上手くいく予感がするんだよ。

 手を繋ぐのは、
 まだ緊張するけど、
 今の悩みを忘れる劇薬は
 君だということは確かだよ。





☆深夜のコインランドリー
 基本24時間営業、かつ洗濯をする場所のため、退屈になりがち 誰もいないコインランドリーの中で、
 自分が回した洗濯機の音だけが響いている感じがクラシカルでエモい
 80~00年代の映画では、何かが起こる場所としてよく使われていたイメージ




 ■■■ 嘘を見つめ続ける、深夜のコインランドリー■■■


 深夜のコインランドリーで、
 ひとりきりで、ベンチに座り、
 ただ、回るTシャツたちを眺めている。

 無機質なモーターの音が、
 少し前についた君への大きな嘘の、
 罪悪感を大きくしているような気がした。

 このまま偽らなくちゃいけないけど、
 本当なら、偽りたくなかったな。

 回り始めた宇宙コマは磁力で回り続け、
 しばらく止まらないのと一緒だね。

 今は、罪悪感にN極を与え続け、
 しばらく回そう。

 そして、いつか、君に真実を告げよう――。





☆電車
 都市部、地方問わず、通学の手段として使われている乗り物 走る路線によって、
 まったく舞台設定を変えられるのが強み




 ■■■朝の電車は日常を整えてくれる。■■■

 電車はいつもの橋を通過している。
 朝日で輝く大きな川は今日も穏やかだ。
 ドアにもたれて、景色を見ながら、
 イヤホンから流れるお気に入りの曲で
 今日も憂鬱とさよならしよう。

 君がいない毎日は彩りに欠けていて、
 退屈な毎日を繰り返しているよ。

 ジンジャエールの辛さのように
 すっきりした日常は無理みたいだから、
 たまに涙もろくなるの。
 
 昔にトリップして、
 今を忘れそうになる。
 だから、前を向くしかないんだよ。





☆バス
 都市部、地方問わず、通学の手段として使われている乗り物
 閑散路線だと、ふたりきりになりやすく、本音を告げるなどドラマを起こしやすい




 ■■■見ている世界はきっと良くなる■■■


 指先でそっと曇ったガラスをなぞり、
 これから遠くへ行くバスから、
 雨で濡れた街のファンタジーを眺める。

 嫌な思い出をたくさん作った街は、
 これで見納めなんだって思うと、
 少しだけ傷が癒えたような気がした。

 春は桃色のはずなのに色褪せるくらい
 雨は降り続けている。

 iPhoneを眺めてもきっと、
 いい情報は見つけられない気がするから、
 このまま、見慣れた街を
 なんとなく目に焼き付けて、
 これから始まる遠くの街での暮らしが、
 上手く行けばいいなって、
 ぼんやりした憂鬱をボトルコーヒーを飲んで、
 希望を浄化した。





☆夜行バス
 深夜時間帯を走る都市間高速バスのこと 高速道路の街灯の明かりが一定時間通り過ぎるという
 シチュエーションだけでも、寂しさや切なさが生まれやすい




 ■■■夜行バスに乗って、翌朝からディズニーに行く■■■

 
 君と約束通り、終業式が終わり、
 夏休みに入ったから速攻で、
 バイト代を突っ込み買った夜行バスに乗り込むと、
 完全に嬉しくなってワクワクし始めた。
 
 君はそれに気がついてくれたみたいで、
 「とりあえず、イメトレしとこう」と、
 TikTokのベイマックスのハッピーライドの動画を見せてきた君も、
 ワクワクしてそうで、明日は素直に最高の一日になる気がした。





☆東京タワー
 東京の象徴 スカイツリーもあるが、明るい夜の大都市のなかでも、
 赤はものすごく目立っている印象 夜、羽田空港から離陸する便に乗ると、
 方向によっては、東京ディズニーランドと東京タワーを見ることができる




 ■■■東京タワーは今日も深い青を貫く。■■■


 夏の夕暮れに光る東京タワーのことを
 君は夢の塊だねと表現した。

 君と手を繋いだまま、
 電球色に染まった赤が、
 深い青に伸びているのを、
 君とただ、このまま見ていたいなって思った。





☆ジェット機
 飛行機のうち、大型旅客機のこと ボーイング社とエアバス社が主なシェアを獲得している
 国際線、主要国内線を描くならボーイング777 
 短距離国際線、国内地方路線を描くならエアバス320と書いておけばいい




 ■■■砂浜で自分を取り戻すことを誓う。■■■


 雨が降るたびに書きが深まり、
 そのたびに切なさが胸を占める。
 今日も砂浜でビニール傘の下、
 波と雨音をしっかりと聞き、頭の中を空にする。

 酸素ボンベをつけて深海まで潜るペンギンのように、
 毎日なんとか、やり過ごしているけど、
 とっくに限界を超えていて、
 小さいときの夢から、
 かけ離れた今の自分が認められない。

 ジェット機の轟音があたりを支配するけど、
 真上を見ても冷たい灰色で、
 早く、また炎天下になればいいのにって、
 思いを込めて、左手を強く握った。





☆夜の住宅街
 夜間の住宅街は基本的に、あまり人がいない そのため、そのなかを歩くだけで絵になる 




■■■一緒だけど寂しいのは夜の所為■■■


 君と一緒に夜の住宅街を歩くのは少しだけ寂しいよ。
 なんでだろうね、一緒にいるのに。

 ただ、そんなことを口に出すと、
 きっと、引かれるだろうから、
 私はそのまま、君と手を繋いだまま、
 小さいパフェを買いにローソンへ向かう。





☆堤防
 川に沿って作られている土手 大体、緑の芝に覆われ、てっぺんがアスファルトで舗装されている
 夕方、自転車を押しながら、とぼとぼ歩くだけで、落ち込んでいる感じや一日を振り返っている感じがでる




 ■■■朝の決意がずっと続けばいいのに。■■■

 コンバースの紐を結び直して、かがんだまま前を向く。
 堤防や川辺は今日も静かに生きているのを感じる。

 まだ、人通りが少なく、
 朝は少しだけ冷たくて、
 普段の憂鬱なことなんて、
 口の中で溶けたキャンディみたいに
 甘くなくなるように思える。

 今日は楽しく行きてやるって、
 心のなかでそっと決意した。





☆商店街
 商店が並ぶ場所 駅前の元気な商店街もあれば、シャッター街の寂れた商店街も存在する
 どちらを使うにしても、哀愁を作り出すことができる




 ■■■このまま、自転車で駆け抜けたい。■■■


 遠くで鳴る踏切の音が静かな街に響く。
 自転車でいつものように中心地を目指し、
 少しだけひんやりした空気を切り裂く。

 シャッターがしまった商店街は
 いつまでもレトロのままで時が止まっている。

 今のままで十分だと、漠然とたまに思う。

 いつまでこんなこと続けるんだろう。
 とりあえず、次の休みはどこかに行きたい。

 ショッピングモールだけじゃ満たされないから、
 誰もいない展望台で思いを馳せたい。
 そして、ぼんやりして何もかも忘れたい。





☆カーブミラー
 見通しの悪い路地でよく設置されているオレンジ色のミラーのこと 
 視野を確保するために、凸面鏡が使われているので、
 人物が小さく映し出されるようになっている




 ■■■君に触れる■■■


 カーブミラーに映る制服姿の僕たちは
 奥に映る風に揺れる街路樹と電柱の間で、
 湾曲して、突っ立っていた。

 風で君のスカートの裾は揺れて、
 整ったボブの先もきれいに揺れていた。

 「ねえ、キスしよう」
 そう言われて、君の積極性を責めるより、
 僕の消極的な姿勢に、一瞬、自己嫌悪した。
 だけど、すぐに切り替えて、
 君の肩に手を回した。

 そして、とりあえずそのまま抱きしめて、
 路地裏で君の体温を奪うくらい、
 しばらくそのままでいたあと、
 そっと、君を離した。

 「あとでね」とわざと焦らしたけど、
 君がつま先立ちをした直後、唇が触れた。





☆ビニール傘
 ビニール製の傘 雨が降っていたら、柄物の傘もいいけど、ビニール傘のほうが、
 日本的で絵になる




 ■■■それでも一瞬を楽しみたい■■■


 雨の中、ライトアップされている
 桜は濡れていても綺麗で、
 さしているビニール傘の上に落ちた花びらが
 ワンポイントになって、
 ちょっとだけ奇跡な気持ちになった。

 濡れて落ちていくピンクで、
 黒くなったアスファルトは染められ、
 それを踏むのが少しだけ、嫌だな。

 寒いけど、仕事帰りに寄ってよかったなって、
 ふと思いながら、
 今の面倒なことをすべて捨てたいなって、
 すっと、ため息をひとつ吐いた。





☆マグカップ
 優しい飲み物をいれるためのカップ 湯気を描写するといい感じにエモくなる




 ■■■調子が悪い日も君は優しい。■■■


 「調子悪い日は、大人しくしたらいいよ」

 そう言って、君はマグカップを手元に置いた。
 コーヒーの香りが立ち、
 香ばしい甘さが空気を凛とさせた。

 頭がまわらないけど、グズだと思わないで欲しい。
 そう思い、コーヒーを一口飲んだ。

 礼を言うと、君は微笑み、
 そっと部屋を出ていった。





☆グラス
 冷たい飲み物をいれるためのコップ マグカップとの違いは、緊張感と涼しさを作ることができること




 ■■■あのね、最近■■■



 ソーダ水の前で突っ伏して、
 顔を上げてグラス越しに君を見る。
 泡の中で拡大された君はそっと微笑んだ。
 
 あのね、最近。
 私自身を保てなくなっているの。

 レモンをひとつ混ぜるように
 酸味のある日々を過ごしたいね。
 そう君に言いたいけど、言えないな。

 コーヒーフロートのバニラみたいに
 ゆっくり気持ちを溶かして
 仲直りの魔法をかけよう。

 機嫌をなおすには君の言葉が必要だよ。
 必死になっている私をバカにしないでね。

 そうとはしらずにそっと頭を撫でられたから、
 モヤモヤを打ち消して、君のことを許そうかな。





☆ベッド
 一番の安全基地 誰もが、寝る前に何かを考えたり、振り返ったりする
 夢の描写や、朝起きる描写をどうしてもしたいなら、物語の序盤には置かないようにする




 ■■■次は必ず上手くやるんだ■■■


 夜中に孤独を楽しむと、
 人を傷つけたことを思い出す。
 常識をがむしゃらに頑張り、
 いつもバランスを崩す。

 昔からだ。
 決め事は嫌いだから、無理に争った。
 
 でも、それが楽しかった。
 計画が嫌で、時間は過ぎたけど、
 安らぎ、直感に従えば、
 次は必ず上手くやると真夜中のベッドで誓った。






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デジタルの言葉


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☆iPhone
 青春するなら、いちばん都合がいい端末 アンドロイド端末でもいいが、スタイリッシュで青春感があるのは、
 やっぱりiPhoneであり、イメージしやすい


 ■■■すれ違ったまま、諦めた恋を思い出すのはどうしようもなかったからだ。■■■


 夢を追う君から離れたほうがいいと思い、
 僕は好きだったけど、君から離れることにした。

 君に言えなかったことは、今はようやく克服できたよ。

 あの時は先が見通せなくて、身体もどんどんボロボロになっていき、
 白い天井や風で舞っている白いカーテンを白いベッドの上から眺めていたよ。
 世間は夏でキラキラして、青色を楽しんでいるのかと思うと、
 すごく悲しかったし、こっちから君のことを振ったのに、
 ときおり、君との恋を思い出して冷たく不機嫌な胸が少しだけ温かくなったよ。

 『応援してるよ』
 
 このDMを送るので精一杯だった。
 本当は自分の病を君に打ち明けてもよかったと今、結果論で考えると
 もう少し、君に頼ってもよかったのかもしれないと思ったよ。

 君は無数の銀色の窓が空の青を反射する街で上手く行ったのかな。

 更新されない君のインスタのアカウントは昔のままだった。
 そして、僕のページも3年前と変わらないままだった。
 だけど、君にも僕にも平等に3年のときは流れているはずだよ。

 数年ぶりのドトールの中で、
 僕はミラノサンドを食べ、それをコーヒーで流し込み、
 いつもと変わらない見慣れた国道を行き交う車を窓越しに眺めていた。
 カウンターに置いたままだったiPhoneに通知が表示されたから、

 それを見ると、最初、信じられなくて、
 僕は素直に君にこれまでのことを伝えようと思った。





☆AirPods
 無線式のイヤホン 有線イヤホンがノスタルジックでエモいという傾向も出てきたが、シェアでは、
 無線式イヤホンに負ける スタイリッシュさがクールでエモい




 ■■■自分のことが嫌いでも■■■


 閉塞感に負けそうな日々が続くね。
 いつも通り、銀色の電車に乗り、
 憂鬱をしっかりと味わい続ける。

 AirPodsで両耳から、
 幸せなシティポップを流しても、
 テンションは上がらないよ。

 自分の未来の投資のために、
 今、嫌な学校に向かっているけど、
 今の自分には、毒でしかないのに、
 投資になっているのかな。

 ――そんなことなんて、考えるな。

 今日も気持ちを押し殺して、
 すっと弱く息を吐いた。






☆AirDrop
 Bluetoothで画像を共有する方法 この機能が便利すぎて、青春するならiPhone一択感がある




 ■■■君とベンチに座り、スマホで撮った写真を見せ合った■■■


 公園は夕闇が深くなり、街灯が主張し始めた。
 君とベンチに座り、スマホで撮った写真を見せ合った。
 緑と青に君の黄色が魅力的な多くのシーンが次々と指先で過ぎていく。

 「黄色ワンピにしてよかった」
 「いいね」
 「映え狙ったから」

 AirDropで送った写真を君は早速アップしてた。





☆LINE
 連絡手段になるアプリ SNSと表記されることが多いが、個人的には、電話、メールと同じように
 連絡手段の位にしている




 ■■■恋の痛みは冷やすだけじゃ治まらない。■■■

 エアコン全開の部屋は無菌室みたいで、
 自分を部屋に閉じ込めたまま、
 Spotifyでお気に入りの曲を再生しても、
 胸は冷え切ったまま痛む。

 仲直りのきっかけがないまま、君との関係は終わりそうだね。
 「さよなら」くらい言えばよかったかな。

 君との青春は去年の夏に始まり、
 君との青春は今年の夏に終わりそうだ。

 たくさん交わした約束はもうすぐ無効になりそうで、
 昨日の夜から何度も確認したLINEのやり取りを読み返しても、
 終わりの気配しか感じなかった。

 初めて君を好きになった日のことは今もすぐに再生できるし、
 それを大切にしていたのに、
 そろそろ捨てなければいけなくなると思うと、
 余計、胸が痛み始めた。

 君との関係がもし終わったら、
 一体、どうやって日々を重ねたらいいんだろう。





☆トーク画面
 ふたりだけの会話を記録している画面 それまで、言葉としても存在しなかった
 「既読」という文化を作ったのはすごいと思う




 ■■■君の影をそっと再インストールする■■■


 隠れた君への想いを、
 今更、再インストールしたって、
 気持ちは青いままだよ。

 君とのトーク画面を開き、
 最後のメッセージを凝視する。

 『またね。応援してるから』

 その言葉が、いまだに胸を貫くから、
 なにもない快晴の空を思わず眺め始めた。






☆メッセージ
 言葉のキャッチボール 固有名詞を使用しない方針のときは、この表記を使う




 ■■■お互いに出来すぎてるね。■■■


 寂しさに負けそうだから、
 君にメッセージを送ろうとしたら、
 ちょうど、君からメッセージ届いた。

 君も寂しかったんだと嬉しくて笑っちゃったよ。
 求めてくれてありがとう。





☆Netflix
 ネトフリとも言う 映画を観るシーンでよく登場する




 ■■■君を待って、日付を跨ぐ手前まで過ぎた■■■

 今日も終わろうとしている今、
 ココアを飲みながら君を待っている。

 iPhoneを白いローテーブルに置いたまま、
 頭のなかでグルグル回る
 送ったメッセージの内容を忘れるために
 Netflixオリジナルドラマをぼんやり眺めている。

 今観ているストーリーが終わっても、
 きっと、君からの返信を待ち続けるだろうなって、
 思うだけでぞっとした。





☆Spotify
 スポティファイ 音楽配信サービス スマホ以外の端末で使用する場合は、
 基本的に自由に曲を聴ける スマホで自由に曲を聴く場合はプラン加入必須




 ■■■たまに君を思い出す■■■


 夜の青い街を反射する濡れたアスファルトが
 冷たさと寂しさを一緒になっているみたいで
 忘れかけていた君との苦い思いと切なさを
 ふと思い出して、
 まだお互いに若かったなって、ため息をつく。

 君が大好きだった曲をSpotifyで流しながら、
 傘をさして雨音もついでに友達にして、ゆっくり歩くよ。

 君との恋が揺れた日は上に積み上げた
 カラフルな積み木が崩れるようだったな。

 別にもう君のことなんて、
 すべて消してやるって思ったけど、
 未だに君を思い出すのは、
 それだけ、思い出が重すぎたからなんだよ。





☆TikTok
 文化の最前線のアプリ 正直、トレンドのほとんどはTikTokで作られている
 もし、流行りを追いたいなら、絶対、やったほうがいい




 ■■■君は明るさを切なくする天才だ■■■


 赤いリッケンバッカーで、
 君が切なく弾いている曲は、
 TikTokで流れたアイドルの曲で、
 少し聴き飽き始めた曲だった。

 かわいい曲を切なくして、笑いながら歌う君に
 「バカみたい」って、おどけて告げると、
 君は「いいでしょ」と得意げにそう告げた。





☆インスタ
 こちらも最前線のアプリ TikTokより年齢層は上で女性がよく利用している
 DMでのやりとりが優秀 リールはTikTokの次にトレンドの前線




 ■■■すれ違ったまま、諦めた恋を思い出すのはどうして?■■■



 日々、後悔は胸に降り積もっていく。
 だけど、それを無視して、新しい生活をして、新しい人を選んで頑張っても、
 心のどこかで君を思い出してしまうのは、どうしてだろう。

 君とは自然消滅したんだから、
 私はもう、後悔なんてしていないはずなのに。

 今日も雨の中、都営新宿線に乗り、忙しい場所まで身を任せているよ。
 地下の中では雨の気配は人々の閉じた傘しか感じられないし、
 都会ではね、君の住む場所と違って、
 濡れないまま、雨の匂いも感じず、外の冷たい空気を吸わずに、
 目的地まで行くことができるんだよ。

 君は何をしているのか、気がかりな気持ちを抑えられなくて、
 結局、カフェで一息つくことにしたよ。

 そして、インスタのDMに残っている君とのやり取りを開いて、
 『応援してるよ』
 と、数年前の君の優しさを思い出して、
 また、胸が痛くなったよ。

 優しさに飢えた私は、きっと、今、
 君とはもう、価値観が合わないかもしれないくらい、
 くたびれてしまったよ。

 だけど、諦めきれないから、久々にメッセージを送ってしまい、
 ドキドキを誤魔化すためにコーヒーを飲もうとしたら、
 数滴、カウンターにこぼしてしまった。