睨み合っていると、赤毛眼帯が笑った。
「ははっ、相変わらずだ。」
あ、相変わらずって…。
「ホントに俺らに会ったことあるみてーな口ぶりだなー。」
ウンウン。
「いやだから、前世で会ったことある…」
赤毛眼帯の弁明タイムが始まろうとしたその時だった。
ピンポーン!
「おっと、郵便だ。ちょいまち〜」
獅音は玄関に歩いていった。
声だけが聞こえる。
「はーい、って、あれ?学生さんですか?」
「せや。あのー、ここに『色波紅蓮』って子来とらん?こんくらいの背丈の…」
「色波…あ、もしかして赤毛で眼帯の?」
「あ、そうですその子です。」
会話を聞きつつ話している人物に目線を流すと、赤毛眼帯はもう駆け出した後だった。
俺も追いかける。
「りゅう!」
リュウ…とは、赤毛世界での新キャラでいいのか?
玄関には緑髪の青年がいた。
どうやら2人は知り合いのようだ。
クリスマスカラーかよ。
「お、いるやん。心配したんやで?おふくろさんから『紅蓮が全然帰ってこない』って言われてもーて。」
「ええ、ごめん!」
うーん、それって俺のせいじゃ…。
「とにかく、見つかってよかったわ〜。」
「なんでここが分かったの?」
「GPSで。」
今度は俺と獅音が声を合わせた。
「「ストーカー…?」」
「おふくろさんに紅蓮のスマホ位置を聞いたんや!勝手に犯罪者にせんといて!」
この人、関西人っぽいな。
なぜかって?ノリがいいから。
「え、葵、そこ?ふつーに関西弁じゃん。」
獅音、心読むのやめて。
そういった後、獅音が続けて緑さんに問いかけた。(え?赤毛は呼び捨てなのに緑さんが『さん』付けな理由?そんなの赤毛がムカつくからに決まってるじゃん。)
「名前なんて言うんですか?」
「あぁ、俺?うーんと、なんか紙ある?」
獅音が紙とペンを持ってきた。
緑さんはサラサラ、と整った字で名前を書いた。
『翠川柳』
「「スイカワヤナギ?」」
俺と獅音で再び声を揃える。
「ちゃうちゃう。と言うても、初見じゃそう読むよなぁ。よぉし、優しい俺が教えたるわ。俺の名前は、」
「『みどりかわりゅう』って読むんだよ、この字。」
緑さんが説明しようとした瞬間に、赤毛…色波紅蓮が言い放った。
「...なぁ紅蓮、自分の名前くらい自分で説明させてくれたってええやないか(泣)」
「僕がいる限り柳は一生名前を説明出来ないよ。」
「そ、そんな…。」
俺と獅音は呆気に取られた。
この2人の仲が俺たちほどらしいってことにも驚いたけど、そもそも論。
「「標準語喋れんのかい!」」

音楽好きの文系、
お調子者のボケ担当、
厨二病気質の謎少年、
笑顔が絶えない関西人。
これは、たまたま出会ったこの4人の物語。