悪口を言った人へ
虐めた人へ
虐めを見て楽しんだ人へ
虐めを見て見ぬふりをした人へ

僕が泣いていたら笑ったおじいちゃんおばあちゃんへ
僕が寝ている間に川に捨てようとしたお父さんお母さんへ

僕はとても辛かったです。
だから死のうと思います。
さようなら。

うーん、違う。僕が言いたいのはそんなことじゃない。
言いたいことがまとまらない。伝わらないなぁ。どうすればいいのかな。
「へぇー、お前いじめられてんだ?何で?」
朔空先生は、僕の下書き用の遺書を見て言う。
「⋯…知ってたら苦労しませんよ。自分の嫌いなところも悪いところも直す努力はします」
病んでんなぁ、と先生。僕は普通だったのに⋯って被害者面かな。
虐められて辛くない奴なんかいない。いるとすれば、サイコパスかサディストくらいだ。
僕は溜め息を吐く。
「どーすれば誰にも迷惑かけずに死ねますかね」
逆に、どうすればみんなに迷惑掛けて死ねるんだろう。

遺書の下書きを消す。
書くのやめようかな。面倒になってきた。

先生は答えない。何も言ってくれない。
「アドバイスくらいくださいよ」
先生は目をそらす。何も言わない。言えないのだろうか。
「ねえ」
黙ったまま。
「聞いてますか?」

放課後。僕たち以外いない、理科準備室。
先生は、何故か泣いていた。