ロープで縛られた男は、織田を視界に入れないよう俯いている。
さっき頭を掴まれて至近距離で睨まれていたのだから仕方のないことだろう。
「で、この結界の破壊方法は?」
「知りません」
「じゃあ、どのようにこの結界を張ったのか?」
「……おそらく式神です」
「式神、か。残念ながら勉強してないな」
そう言いつつも豆臣は手を突き出し風を手に集中させる。
目を瞑り何か唱えた後、手に集まった風を握った。
その瞬間結界は音を立てて崩れ落ちた。
式神と言っていたが、破いたりしたら効果が消えるとかだろうか。
「え、え? どうやって破壊を?」
男は動揺して豆臣を見つめた。しかし、豆臣はにやっと笑った。
「敵には教えてやらないよ」
「豆臣様、華鈴様! ご無事で……一体中で何が?」
慌てて駆け寄ってきたおとねは、たくさんの人が地面に転がっている姿を見て動揺している。
だが、豆臣は駆け寄ってきたおとねにすぐさま指示した。
「おとね! こいつら処理しといて」
「……わかりました。仲間を連れて処理しておきます」
おとねは理由も聞かず一瞬で姿を消した。さすが忍だ。動きがとても早い。
「さて、さっさと枯野を倒しに行こう。長期戦はこちらが不利になると思うからね」
「もちろんです。さっさと片付けてしまいましょう」
私が力一杯頷くと、徳海が私の肩に手を置き豆臣に問いかける。
「豆臣殿、真正面は徳海のままでいいのか? それなら華鈴を連れて行くぞ」
「待て。俺達はすでに枯野に知られている。それならば、戦力の高い織田軍が正面から行く方が妥当だろう」
以前石口が言っていたことが正しいのなら、確かに一番強そうだ。
豆臣は呆れた表情を浮かべつつ、織田に聞く。
「それって、ただ織田殿が華鈴の力を間近で見たいだけでは?」
「悪いのか?」
「なんと素直な……まあ、それだけ華鈴に一目置いているということですね」
「織田殿なら華鈴を危険に晒すこともないだろうしなぁ。俺はそれでもいいぞ」
徳海に許可をもらい、私は織田と一緒に正面突破することになった。
ただ、なぜか織田の馬に乗せてもらうとになり、肩身の狭い思いをすることになってしまった。
「申し訳ございません……」
「よい。間近でお前の力が見られるのなら好都合だ」
さっさと馬術を取得できればよかったのだが、そう上手くいくわけもなかったのだ。
でも、やっぱりこうなる前に取得しておきたかった。
「華鈴、落ち込まないでください。人には得手不得手があります。それを助け合うのが人という者ですよ」
林のフォローに私は笑みが溢れる。おかげで織田の馬に乗っているのに緊張は少しほぐれた気がする。
「ありがとうございます。でも、この世界で生きるのなら、乗れた方がいいと思うのでがんばります」
「よければお手伝いいたしますよ」
明知も笑顔でそう言ってくれ、織田の圧も忘れ私は自然と口角が上がったのだった。
「さて、そろそろ敵も出てくる頃かと。枯野のいる本陣に着くまで体力は温存しておきたいので、馬から降りず弓や銃で撃退しましょう」
明知は腰にぶら下げていた拳銃を手に取り、林は背負っていた弓。織田は両手に拳銃を持った。
まって? 火縄銃なんかよりも高性能に見えるんだけど、この世界なんなの?
名前も違うし、属性とかいうファンタジー要素もある。歴史をなぞっていないのはわかっていた。だからって突然漫画とかで見たことあるような拳銃が出てくると思わないじゃん!?
私が一人動揺している中、熊のような見た目のあやかしが現れる。
今回のは形をあまり保てておらず、どろどろしている。
間髪入れずに織田が銃を撃ち込む。銃弾は体を貫通したが、すぐに穴が塞がった。林も弓を放つが、それも体を抜けていくだけ。
「物理は効かぬようだな」
あやかしが木を引っこ抜き、投げ飛ばしてくる。当たってしまう! そう思って防護術を張ろうとしたが、それよりも前に明知が木をあっさりと粉々にしてみせた。
「あのあやかしは、この明知にお任せを」
まず氷であやかしを氷漬け。それでももがくあやかしを明知は氷を纏わせた刀で真っ二つ。
あやかしはそれでもすぐには倒れず木を掴もうとしたが、明知が刀を納める頃にはあやかしはバラバラと崩れ落ちた。
さすが強いな。
「今後は拳銃や弓に属性を纏わせた方がいいかもしれませんね」
「そのようだ。致し方あるまい」
林の言葉に、織田は銃に火を纏わせた。火が銃口からぼうっと伸びて、普通なら引き金を引く前に暴発しそうなほどだった。
織田が「む……?」と小さく眉をひそめる。
「お前の力か?」
「え? 何の話ですか?」
「いつも拳銃に付与する火はもっと加減してるんですよ」
首を傾げる私に明知は簡単に説明をしてくれる。
「なるほど。でも私何もしてないです」
「側にいるだけで火力の底上げができる……優れた能力ですね」
「だが、明知の能力があがっていないことを見ると範囲は狭いようだな」
確かに明知が攻撃する際も火力が上がっていた場合、明知も織田と似たような反応を示したはずだ。
だが、明知は特に反応はなく、織田も林も気にしていなかった。
となると、かなり近い距離でないと力が発揮しないのだろう。
「それに関しても、完全体にさえなれば遠い距離でも真価を発揮できるだろう。もし呪われた者を見つけたら、敵味方関係なく治療をするといい」
「わかりました!」
そうしてあやかしを倒したり呪われた人達を治療しながら私達は枯野の本陣を目指した。
さっき頭を掴まれて至近距離で睨まれていたのだから仕方のないことだろう。
「で、この結界の破壊方法は?」
「知りません」
「じゃあ、どのようにこの結界を張ったのか?」
「……おそらく式神です」
「式神、か。残念ながら勉強してないな」
そう言いつつも豆臣は手を突き出し風を手に集中させる。
目を瞑り何か唱えた後、手に集まった風を握った。
その瞬間結界は音を立てて崩れ落ちた。
式神と言っていたが、破いたりしたら効果が消えるとかだろうか。
「え、え? どうやって破壊を?」
男は動揺して豆臣を見つめた。しかし、豆臣はにやっと笑った。
「敵には教えてやらないよ」
「豆臣様、華鈴様! ご無事で……一体中で何が?」
慌てて駆け寄ってきたおとねは、たくさんの人が地面に転がっている姿を見て動揺している。
だが、豆臣は駆け寄ってきたおとねにすぐさま指示した。
「おとね! こいつら処理しといて」
「……わかりました。仲間を連れて処理しておきます」
おとねは理由も聞かず一瞬で姿を消した。さすが忍だ。動きがとても早い。
「さて、さっさと枯野を倒しに行こう。長期戦はこちらが不利になると思うからね」
「もちろんです。さっさと片付けてしまいましょう」
私が力一杯頷くと、徳海が私の肩に手を置き豆臣に問いかける。
「豆臣殿、真正面は徳海のままでいいのか? それなら華鈴を連れて行くぞ」
「待て。俺達はすでに枯野に知られている。それならば、戦力の高い織田軍が正面から行く方が妥当だろう」
以前石口が言っていたことが正しいのなら、確かに一番強そうだ。
豆臣は呆れた表情を浮かべつつ、織田に聞く。
「それって、ただ織田殿が華鈴の力を間近で見たいだけでは?」
「悪いのか?」
「なんと素直な……まあ、それだけ華鈴に一目置いているということですね」
「織田殿なら華鈴を危険に晒すこともないだろうしなぁ。俺はそれでもいいぞ」
徳海に許可をもらい、私は織田と一緒に正面突破することになった。
ただ、なぜか織田の馬に乗せてもらうとになり、肩身の狭い思いをすることになってしまった。
「申し訳ございません……」
「よい。間近でお前の力が見られるのなら好都合だ」
さっさと馬術を取得できればよかったのだが、そう上手くいくわけもなかったのだ。
でも、やっぱりこうなる前に取得しておきたかった。
「華鈴、落ち込まないでください。人には得手不得手があります。それを助け合うのが人という者ですよ」
林のフォローに私は笑みが溢れる。おかげで織田の馬に乗っているのに緊張は少しほぐれた気がする。
「ありがとうございます。でも、この世界で生きるのなら、乗れた方がいいと思うのでがんばります」
「よければお手伝いいたしますよ」
明知も笑顔でそう言ってくれ、織田の圧も忘れ私は自然と口角が上がったのだった。
「さて、そろそろ敵も出てくる頃かと。枯野のいる本陣に着くまで体力は温存しておきたいので、馬から降りず弓や銃で撃退しましょう」
明知は腰にぶら下げていた拳銃を手に取り、林は背負っていた弓。織田は両手に拳銃を持った。
まって? 火縄銃なんかよりも高性能に見えるんだけど、この世界なんなの?
名前も違うし、属性とかいうファンタジー要素もある。歴史をなぞっていないのはわかっていた。だからって突然漫画とかで見たことあるような拳銃が出てくると思わないじゃん!?
私が一人動揺している中、熊のような見た目のあやかしが現れる。
今回のは形をあまり保てておらず、どろどろしている。
間髪入れずに織田が銃を撃ち込む。銃弾は体を貫通したが、すぐに穴が塞がった。林も弓を放つが、それも体を抜けていくだけ。
「物理は効かぬようだな」
あやかしが木を引っこ抜き、投げ飛ばしてくる。当たってしまう! そう思って防護術を張ろうとしたが、それよりも前に明知が木をあっさりと粉々にしてみせた。
「あのあやかしは、この明知にお任せを」
まず氷であやかしを氷漬け。それでももがくあやかしを明知は氷を纏わせた刀で真っ二つ。
あやかしはそれでもすぐには倒れず木を掴もうとしたが、明知が刀を納める頃にはあやかしはバラバラと崩れ落ちた。
さすが強いな。
「今後は拳銃や弓に属性を纏わせた方がいいかもしれませんね」
「そのようだ。致し方あるまい」
林の言葉に、織田は銃に火を纏わせた。火が銃口からぼうっと伸びて、普通なら引き金を引く前に暴発しそうなほどだった。
織田が「む……?」と小さく眉をひそめる。
「お前の力か?」
「え? 何の話ですか?」
「いつも拳銃に付与する火はもっと加減してるんですよ」
首を傾げる私に明知は簡単に説明をしてくれる。
「なるほど。でも私何もしてないです」
「側にいるだけで火力の底上げができる……優れた能力ですね」
「だが、明知の能力があがっていないことを見ると範囲は狭いようだな」
確かに明知が攻撃する際も火力が上がっていた場合、明知も織田と似たような反応を示したはずだ。
だが、明知は特に反応はなく、織田も林も気にしていなかった。
となると、かなり近い距離でないと力が発揮しないのだろう。
「それに関しても、完全体にさえなれば遠い距離でも真価を発揮できるだろう。もし呪われた者を見つけたら、敵味方関係なく治療をするといい」
「わかりました!」
そうしてあやかしを倒したり呪われた人達を治療しながら私達は枯野の本陣を目指した。


