「……?」

目をやると、庭の端に、三人ほどの小さな子供たちが楽しそうに駆け回っている。

「あなた達、どこから入ったの?」

私はしゃがみこんで優しく尋ねると、子供たちは声を揃えて「あっち!」と庭の奥を指差した。

指先の先には、低い垣根の下に、小さな木の扉があった。

近づいてみると、それは手作りの、まるで子供専用の出入り口のようだった。

「こんなところに……」

少し戸を開いてみると、外の裏通りにつながっている。

どうやら、誰かが内緒で作ったものらしい。

「お兄ちゃんが作ってくれたの!」

一人の女の子が得意そうに言った。

「お兄ちゃん?」

「うん。すっごく器用なんだよ。なんでも作れるの!」

私は思わず微笑んだ。

「そう……いいお兄ちゃんね。」

その時、ふと、ある顔が脳裏に浮かぶ。あの、口は悪いけど、優しくて、気づかいのできる人。

もしかして、子供たちが言う“お兄ちゃん”とは――。