その優しさと強さが、何より私を守ってくれる。

「時期に、翠蘭には俺の妃になる許可が出る。」

そっと囁かれた言葉に、私は頷いた。

「ええ。」

「そうなったら、そなたはまた王族の妃だ。」

その声には、どこか誇らしげな響きがあった。

だが私は、そっと彼の胸に手を置いて言う。

「でも、今度は違います。」

「ん?」

「今度の私は、愛している人の妃です。」

景文がゆっくりと私を振り返った。

そして、深い瞳で私を見つめる。

「……その言葉だけで、俺は何よりの褒美を得た気分だ。」

ふたりの間に、柔らかな笑みが咲いた。

名も、地位も、肩書も越えて。

ただ、ひとりの男と女として。

私たちは、ようやく本当の夫婦になる。

「ところで、寝所なのだが。」

夕餉の後、少し緊張した面持ちで景文が言った。咳払いまでして、妙に改まっている。

「妃の許可が出るまで、寝所を共にすることができない。」

「えっ⁉」

思わず声を上げてしまった。