「そんな妃を……おいそれと他の男に下賜すると思うか?」

皇帝の声は冷たく、静かに重かった。

広間の空気が張りつめる中、景文は一歩も退かず、落ち着いた声で応えた。

景文はひれ伏したまま、落ち着いた声で口を開いた。

「それでは、もう一つ……願い出てもよろしいでしょうか。」

皇帝は目を細める。

「……なんだ。」

その問いに、景文は静かに顔を上げ、はっきりと告げた。

「この景文を――皇帝陛下の御子息と、お認め頂けないでしょうか。」

その言葉が玉座の間に響き渡った瞬間、家臣たちの間にどよめきが走った。

「なにっ⁉」

「今さら皇子と……?」

「いや、しかし……」

「確かに、あの首元の刺青は皇族の証だ。言い逃れはできまい……!」

場がざわつく中、景文は毅然として続けた。

「皇帝陛下の寵愛なき妃は、その息子が娶ってもよい――そう、後宮の古き規則に明記されています。」

その言葉に、再び一同が息を呑んだ。