その声が、やけに優しくて、なのに冷たくて。

私の名前が、静かに――けれど確かに唇から零れた。

「おまえの名を呼べるのも、朕だけだ。」

それは、命令とも呪いともつかぬ言葉だった。

私は、思わず息を呑む。

――まさか。

今になって、他の男に抱かれたことを、嫉妬している……?

「そなたが朕の者になれば、あの男は助けてやる。」

耳元で囁かれた言葉は、突き刺さるように残酷だった。

「今まで通りの仕事ができるようにしてやろう。何事もなかったように。」

私は、動けなかった。

恐怖でも羞恥でもない――もっと複雑な感情が、胸を満たしていた。

「ああ、翠蘭。」

首元に陛下の舌が触れる。

寝衣が剥がされ、胸元が露わになった。

皇帝陛下が、私の乳房に吸い付く。

「んん……」

「声を殺すな。甘い声を聞かせろ。」