今日は抗がん剤で髪が抜けるらしいからカツラとか汗かくらしいしパジャマあと暇つぶし用品とか入院に必要なもの買うらしい

パジャマ屋さんにきたなんか汗かきにくいとか吸収されやすいとかサラサラとかなんかよく分からんから適当に青の半袖短パンのやつを選んでみた

次は。カツラ屋さんぶっちゃけ俺としては本気で行きたくないけど結芽にかっこ悪い所はあまり見せたくないからつけるしかないか

「なんかどれもザッカツラって感じがして嫌!」

「グダグダ言わないで選び」

この母の感情を押し殺す声は聞きたくないな。

「これでいいや」

普段と同じような髪型の物を手に取り母に渡す

「あら、いいじゃないこれにしましょうか次は美容院ね」

「うん。」

このまま丸坊主か。嫌だなそんなことを思っている俺を乗せた車は無情にも走り出しあっという間に美容院についてしまった

「本日はどのような髪型に?」

「坊主で」

「え?あ、失礼しましたほんとうによろしいですね?」

「はい」

最低限の会話で終わらせた。じゃないとこれから治療が始まる怖さや結芽に何か言われてしまうのではないかと思ってしまい泣いてしまいそうだから

「次は美味しいご飯食べに行こうか」

車に揺られること2時間半

「えー!?!?」

「なんと高級ホテルの食べ放題だー!!!!」

「うおー!!!」

少しだけ母のテンションが高くて結構嬉しいけど
素直に喜べない自分が嫌だ。明日から入院なのに喜べるわけが無い。こんな夕飯だけで怖さとか孤独とか拭えると思ってるのかな。けど母に心配かけたくない。

「いただきます!」

わざとでもいい安心させたいから元気に俺は自分を偽って生きていく残りの人生悔いの残らないように


ーーーーー今日は結芽に会えなかったなーー