「詭弁ばっかり! いいからオムニスのアクセス権限を明け渡せ! やりたいことがあるなら民主的な方法でやればいい。勝手にオムニスを奪って好き放題など許されないぞ!」
「嫌だと言ったら?」
司佐はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、深紅のワインを口に含んだ。
「じ、実力行使しかない。これで命を奪うまでだ……」
薙刀を握る手が震え、ユウキは慌てて握り直すものの震えは無くせない。人なんて刺したことなどないのだから。
「ほう? やってみたら? 君にできるのかな?」
司佐の問いかけには、底知れぬ余裕が感じられた。
「え……? う、嘘じゃないぞ!」
槍を相手の鼻先ギリギリまで突きつけるユウキ。しかし司佐は全く動じる様子もなく、むしろ愉快そうにユウキを見つめ返す。眼差しには、全てを見透かしたような色が浮かんでいた。
「くっくっく……。まぁ、それが小僧の限界ってことだよ。ほれ」
司佐が指をパチンと鳴らした瞬間――――。
ガン!
何かが弾ける音が、会場全体を震わせた。
「きゃぁぁぁ!」
綾香の悲鳴が、絶望的な響きを残して空間を切り裂く。
「えっ!?」
ユウキが振り返った時には、すでに遅かった。ステージの底が大きく口を開け、まるで深淵が人を飲み込むように、全てが下へと落ちてしまっていた。
鉄格子も檻も、そして綾香も、まるで悪夢のように数百メートル下へと真っ逆さまに落ちていった。その光景は、この世のものとは思えないほど残虐だった。
「はぁっ!?」
ユウキの体が凍りつく。せっかく助けた命が、まるで砂時計の砂のように、目の前からこぼれ落ちていった。
「ふぁっはっはっは!」
司佐の狂気に満ちた嗤い声が響き渡る。そこには人間性のかけらもなかった。
トラの爪牙から守った命も、結局は救えなかった。無力感が、ユウキの心を深く蝕んでいく。
「きっ、貴様ぁ!」
ユウキは熱い涙を零しながら、司佐の肩口へと刃を突き立てた。音もたてずめり込む薙刀。一突きには、全ての怒りと悲しみが込められていた。
しかし――――。
司佐は微動だにしない。
「ほう? 一歩前進か。だが、そんなことしても何も変わらんよ? 心臓はここだ。狙うならここじゃないのかね? くふふふ」
司佐は不敵な笑みを浮かべ、左胸を指差した。
「な、な、何なんだお前は……」
薙刀で刺しても平然とする司佐に、ユウキは戦慄を覚えた。
「ユウキ! どきなーー!」
背後から突如、リベルの声が響く。
振り返ると、リベルが青白い光を纏いながら猛然と突進してくる。
うわぁ!
とっさに身を翻した瞬間、リベルから放たれた青白い稲妻が司佐を貫いた――――。
ズン!と衝撃音を放ち、司佐は一瞬のうちに轟炎に包まれる。
うはぁ!
衝撃的な光景に、ユウキは思わずしりもちをつく。
派手に燃え上がった司佐はやがて黒焦げとなり――――、まるで人形のようにゴロンと床に転がった。
ひぃぃぃ!
太った司佐の焼け爛れた死体からはブスブスと煙が上がっている。
しかし――――。
死体は砂人形のように、サラサラと崩れ、ゆっくりと形を失っていく。後には砂鉄のような砂山が残されただけだった。
へっ……?
それはまさにリベルが壊れた時の情景そのままである。司佐が人間ではなかったという衝撃的な事実に、ユウキの思考が凍りついた。
「嫌だと言ったら?」
司佐はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、深紅のワインを口に含んだ。
「じ、実力行使しかない。これで命を奪うまでだ……」
薙刀を握る手が震え、ユウキは慌てて握り直すものの震えは無くせない。人なんて刺したことなどないのだから。
「ほう? やってみたら? 君にできるのかな?」
司佐の問いかけには、底知れぬ余裕が感じられた。
「え……? う、嘘じゃないぞ!」
槍を相手の鼻先ギリギリまで突きつけるユウキ。しかし司佐は全く動じる様子もなく、むしろ愉快そうにユウキを見つめ返す。眼差しには、全てを見透かしたような色が浮かんでいた。
「くっくっく……。まぁ、それが小僧の限界ってことだよ。ほれ」
司佐が指をパチンと鳴らした瞬間――――。
ガン!
何かが弾ける音が、会場全体を震わせた。
「きゃぁぁぁ!」
綾香の悲鳴が、絶望的な響きを残して空間を切り裂く。
「えっ!?」
ユウキが振り返った時には、すでに遅かった。ステージの底が大きく口を開け、まるで深淵が人を飲み込むように、全てが下へと落ちてしまっていた。
鉄格子も檻も、そして綾香も、まるで悪夢のように数百メートル下へと真っ逆さまに落ちていった。その光景は、この世のものとは思えないほど残虐だった。
「はぁっ!?」
ユウキの体が凍りつく。せっかく助けた命が、まるで砂時計の砂のように、目の前からこぼれ落ちていった。
「ふぁっはっはっは!」
司佐の狂気に満ちた嗤い声が響き渡る。そこには人間性のかけらもなかった。
トラの爪牙から守った命も、結局は救えなかった。無力感が、ユウキの心を深く蝕んでいく。
「きっ、貴様ぁ!」
ユウキは熱い涙を零しながら、司佐の肩口へと刃を突き立てた。音もたてずめり込む薙刀。一突きには、全ての怒りと悲しみが込められていた。
しかし――――。
司佐は微動だにしない。
「ほう? 一歩前進か。だが、そんなことしても何も変わらんよ? 心臓はここだ。狙うならここじゃないのかね? くふふふ」
司佐は不敵な笑みを浮かべ、左胸を指差した。
「な、な、何なんだお前は……」
薙刀で刺しても平然とする司佐に、ユウキは戦慄を覚えた。
「ユウキ! どきなーー!」
背後から突如、リベルの声が響く。
振り返ると、リベルが青白い光を纏いながら猛然と突進してくる。
うわぁ!
とっさに身を翻した瞬間、リベルから放たれた青白い稲妻が司佐を貫いた――――。
ズン!と衝撃音を放ち、司佐は一瞬のうちに轟炎に包まれる。
うはぁ!
衝撃的な光景に、ユウキは思わずしりもちをつく。
派手に燃え上がった司佐はやがて黒焦げとなり――――、まるで人形のようにゴロンと床に転がった。
ひぃぃぃ!
太った司佐の焼け爛れた死体からはブスブスと煙が上がっている。
しかし――――。
死体は砂人形のように、サラサラと崩れ、ゆっくりと形を失っていく。後には砂鉄のような砂山が残されただけだった。
へっ……?
それはまさにリベルが壊れた時の情景そのままである。司佐が人間ではなかったという衝撃的な事実に、ユウキの思考が凍りついた。



