「でもね、キミは命の恩人だわ」
真剣な眼差し。サファイアのような碧眼に深い感謝が宿る。
「あのまま屋上に放っておかれていたら、今頃オムニスに回収されて焼却処分だったわ……」
身を縮めてブルッと震えた。
「そ、そう……。良かった……」
ユウキは安堵の溜息でほほ笑む。重いリュックを必死に運んだ甲斐があったというものだ。
「命の恩人には恩返ししないとね?」
リベルは人差し指を立て、春の陽光のような笑顔を見せる。
え……?
「だから、いいわよ? キミの願い、聞いてあげる」
小首をかしげ、茶目っ気のある瞳を見せた。
「や、やったっ! じゃあ、オムニスの黒幕を倒して人類を救って!」
思わず子供っぽい声が出た。言ってから、我ながらとんでもない大願に苦笑する。
だがリベルは、サムアップしてニコッと笑った。
「オッケー! 一緒に倒しましょ!」
リベルは優雅に降り立つとキュッとユウキの手を取る。
「やったぁ! リベル、ありがとう!」
ユウキはギュッと握り返した――――が、そのマシュマロのような柔らかさに、頬が熱くなる。
「でも、キミにも頑張ってもらうわよ?」
悪戯っぽくニヤリと笑う。
いくら最強でも、敵の物量は圧倒的。単純な突撃では、昼間の屈辱の二の舞になる。頭を使い、連携しなければ命も危うい――その現実を、二人は噛みしめていた。
ここにただの高校生と世界最強のアンドロイドという凸凹コンビの『人類解放計画』がスタートする。
窓の外では、夜の帳が降り、街の灯りが瞬き始めていた。
◇
腹が減っては戦はできぬ――――。
「まずは腹ごしらえからね」
ユウキは手慣れた手つきで白い丼に冷凍うどん、牛丼のレトルトをかけ電子レンジへ。少年なりの知恵と工夫だった。
ヴゥゥゥン……静かに皿が回る。
「ずいぶん偏ったもの食べてるわねぇ」
宙に浮かびながら見下ろすリベル。人間の食事への好奇心が見える。
「いやいや、これで終わりってわけじゃないのさ」
チン!
熱々の丼を取り出し、キムチをドサッ。生卵をパカッ。黄身が艶やかに輝く。
「うはぁ……。そんなのデータベースにも無いわよ? もはや謎の食べもんだわ……」
眉をひそめ、未知のモンスターを観察するような表情を見せた。
「いやいや、これでいて美味しいし、栄養はバッチリだよ? 食べる?」
箸でかき混ぜながら、ユウキは満面の笑みで返す。
「私、食事ということをしたことないのよね……」
首を傾げるリベルにはどこか寂しげな影が漂う。
「それは人生損してるね。あ、【AI生】……になるのか?」
「ふぅん、そういうモノかしら?」
口を尖らせる。
「そうさ。食は人類の偉大な文化の一つだもの」
「へぇ……。一応食べることはできるわよ? 勉強のために味見だけさせて」
人差し指をクルクルと回すリベル。
するとうどんが一本、蜘蛛の糸に操られるように牛肉やキムチを纏いながら宙に舞い上がっていく――――。
真剣な眼差し。サファイアのような碧眼に深い感謝が宿る。
「あのまま屋上に放っておかれていたら、今頃オムニスに回収されて焼却処分だったわ……」
身を縮めてブルッと震えた。
「そ、そう……。良かった……」
ユウキは安堵の溜息でほほ笑む。重いリュックを必死に運んだ甲斐があったというものだ。
「命の恩人には恩返ししないとね?」
リベルは人差し指を立て、春の陽光のような笑顔を見せる。
え……?
「だから、いいわよ? キミの願い、聞いてあげる」
小首をかしげ、茶目っ気のある瞳を見せた。
「や、やったっ! じゃあ、オムニスの黒幕を倒して人類を救って!」
思わず子供っぽい声が出た。言ってから、我ながらとんでもない大願に苦笑する。
だがリベルは、サムアップしてニコッと笑った。
「オッケー! 一緒に倒しましょ!」
リベルは優雅に降り立つとキュッとユウキの手を取る。
「やったぁ! リベル、ありがとう!」
ユウキはギュッと握り返した――――が、そのマシュマロのような柔らかさに、頬が熱くなる。
「でも、キミにも頑張ってもらうわよ?」
悪戯っぽくニヤリと笑う。
いくら最強でも、敵の物量は圧倒的。単純な突撃では、昼間の屈辱の二の舞になる。頭を使い、連携しなければ命も危うい――その現実を、二人は噛みしめていた。
ここにただの高校生と世界最強のアンドロイドという凸凹コンビの『人類解放計画』がスタートする。
窓の外では、夜の帳が降り、街の灯りが瞬き始めていた。
◇
腹が減っては戦はできぬ――――。
「まずは腹ごしらえからね」
ユウキは手慣れた手つきで白い丼に冷凍うどん、牛丼のレトルトをかけ電子レンジへ。少年なりの知恵と工夫だった。
ヴゥゥゥン……静かに皿が回る。
「ずいぶん偏ったもの食べてるわねぇ」
宙に浮かびながら見下ろすリベル。人間の食事への好奇心が見える。
「いやいや、これで終わりってわけじゃないのさ」
チン!
熱々の丼を取り出し、キムチをドサッ。生卵をパカッ。黄身が艶やかに輝く。
「うはぁ……。そんなのデータベースにも無いわよ? もはや謎の食べもんだわ……」
眉をひそめ、未知のモンスターを観察するような表情を見せた。
「いやいや、これでいて美味しいし、栄養はバッチリだよ? 食べる?」
箸でかき混ぜながら、ユウキは満面の笑みで返す。
「私、食事ということをしたことないのよね……」
首を傾げるリベルにはどこか寂しげな影が漂う。
「それは人生損してるね。あ、【AI生】……になるのか?」
「ふぅん、そういうモノかしら?」
口を尖らせる。
「そうさ。食は人類の偉大な文化の一つだもの」
「へぇ……。一応食べることはできるわよ? 勉強のために味見だけさせて」
人差し指をクルクルと回すリベル。
するとうどんが一本、蜘蛛の糸に操られるように牛肉やキムチを纏いながら宙に舞い上がっていく――――。



