「カーーッ! 泣いてたらそこで試合終了だろ! 力を戻してやるから手伝え!」
リベルはレヴィアに両手をかざした――――。
徐々に輝き出すレヴィアの身体。やがて、黄金の光が眩しいまでに少女の体を包み込み、失われた力が蘇っていく。
「おっ! おおっ!」
レヴィアは顔を上げると黄金の光をまとった両手を眺め、キラキラと深紅の瞳を輝かせた。
「どうだ? やる気になったか?」
「うっひょぉ!」
ぴょんと飛び上がると空中でボン!と爆煙を上げ、中から漆黒の厳ついうろこに包まれた巨大なドラゴンが現れた。
『ガーッハッハッハ!! これよ! こうでなくっちゃぁ!』
巨大な翼をゆったりと羽ばたかせながら嬉しそうに叫び――――。
ゴッハァァァァァ!!
いきなり夕空へ向けて黄金に輝く炎を高々と吐き出した。その炎は太陽のように眩しく、生命力に満ち溢れている。
「これでいいだろ? じゃあ、手伝え!」
リベルはニヤッと笑う。一緒に戦うのにメソメソされていては話にならないのだ。
ところが――――。
『やなこった! バイバイキーン!!』
レヴィアはそう言うとクルクルッとその巨体を楽しげに躍らせた――――。
しかし――――、何も起こらない。
『あ、あれ……? えいっ! えいえいっ!!』
レヴィアは慌てて腕を振るが何も起こらなかった。その慌てふためく様子は、威厳あるドラゴンから一転して困った子供のようである。
「バカチンがーー!!」
リベルのかかと落としがレヴィアの後頭部にヒットし、レヴィアは地面にたたきつけられる。
ゴハァ!
「シアンの標的になってる奴がこの地球から逃げられるわけないだろ? いい加減腹くくれ!!」
リベルは腕を組み、間抜けに横たわるレヴィアを見下ろした。
「逃げられんとは……。くぅぅぅぅ……。終わりじゃぁ……」
レヴィアは巨大な目から涙をボロボロとこぼしながら泣き始める。
「なんで泣くんだよぉぉ! しっかりしろ!!」
リベルはうんざりしながらレヴィアの硬い漆黒の鱗をポカポカと叩いた。
「まぁまぁ……。諦めるのはまだ早いって。何か策はあるはずだよ?」
ユウキはリベルを制止すると、涙にぬれる巨大なドラゴンのほほの鱗をなでた。
「策って……?」
レヴィアは泣きべその顔をユウキに向ける。
「そもそも……、なんでシアンには攻撃が効かないのかな?」
ユウキは降りてくるリベルに聞いた。
「は? 奴の前方になんだかとんでもないシールドが張られてるからよ。あれに全てが弾かれてしまうのよ」
「だったら後ろから撃てばいいじゃない?」
ユウキは呑気に微笑む。
「カーーッ! 分かってないわね。奴の速度はもうマッハ二十どころじゃないんだから後ろから撃つなんて無理よ」
リベルは肩をすくめる。
「じゃあ、速度を落とさせよう」
ユウキは当たり前かのように言った。
「どうやって?」
「障害物をバンバンぶち当ててやればいいじゃないか。ふふっ」
ユウキは人差し指を立てながら楽しげに笑う。
「何言ってんの! そんな都合のいい障害物なんて……、あれ?」「あった!」
二人はドラゴンの方を向いた。その瞬間、希望の光が二人の間に宿る。
「な、何じゃ? まさか我をぶち当てようとか思ってるんじゃあるまいな?」
レヴィアは焦ってたじろいだ。この二人の滅茶苦茶さには閉口しているのだ。
「そうじゃない、さっきなんか黒い柱バンバン打ち上げてたじゃないか。あれをシアンの前にたくさん出してほしいんだよね」
ユウキは敬意を込めて巨大なドラゴンの瞳をのぞきこむ。
「いやいやいや、そんな超高速で飛んでる標的に当たるわけなかろう!」
レヴィアは渋い顔をしながら首を振る。
「あんたが当てなくていいわ。僕がここをこう地面スレスレに飛ぶから僕の直後に柱を打ち出して」
リベルは焼け焦げた石垣島の海岸沿いを指さした。
「はぁっ!? そんな都合よくいくかい!」
レヴィアは頭を抱えた。マッハ二十を超えて吹っ飛んでくるリベルの直後に柱を打ち出す――――、そんな曲芸師みたいなことできるわけがない。
「やらなきゃ死ぬのよ? あんた分かってんの? やるの? 死ぬの?」
リベルは碧眼をギラリと光らせてにらんだ。
「とほほほほ……。しょうがない。やるわい」
レヴィアは渋々了承する。これでも神の端くれである。リベルを感知したら打ちあがるような条件式を記述しておけば上手くいくかもしれないと気付いたのだ。とはいえ――――、テストもなくぶっつけ本番でうまくいく可能性などどのくらいあるだろうか? レヴィアは巨大な口から重い溜息をもらした。
「最初からそう言いなさいよ!」
リベルはペシッとレヴィアの鱗をはたいた。
「じゃが、柱を出すくらいしかできんからな? 我の攻撃なぞ全く効果ないんじゃから」
レヴィアは渋い表情でリベルをにらむ。
「速度さえ落としてくれたら、後は僕の仕事。任せて!」
リベルはニコリと笑うと自分の胸をポンと叩く。その笑顔には、あのムカつく大天使に一泡吹かせられるかも知れないという希望が輝いていた。
リベルはレヴィアに両手をかざした――――。
徐々に輝き出すレヴィアの身体。やがて、黄金の光が眩しいまでに少女の体を包み込み、失われた力が蘇っていく。
「おっ! おおっ!」
レヴィアは顔を上げると黄金の光をまとった両手を眺め、キラキラと深紅の瞳を輝かせた。
「どうだ? やる気になったか?」
「うっひょぉ!」
ぴょんと飛び上がると空中でボン!と爆煙を上げ、中から漆黒の厳ついうろこに包まれた巨大なドラゴンが現れた。
『ガーッハッハッハ!! これよ! こうでなくっちゃぁ!』
巨大な翼をゆったりと羽ばたかせながら嬉しそうに叫び――――。
ゴッハァァァァァ!!
いきなり夕空へ向けて黄金に輝く炎を高々と吐き出した。その炎は太陽のように眩しく、生命力に満ち溢れている。
「これでいいだろ? じゃあ、手伝え!」
リベルはニヤッと笑う。一緒に戦うのにメソメソされていては話にならないのだ。
ところが――――。
『やなこった! バイバイキーン!!』
レヴィアはそう言うとクルクルッとその巨体を楽しげに躍らせた――――。
しかし――――、何も起こらない。
『あ、あれ……? えいっ! えいえいっ!!』
レヴィアは慌てて腕を振るが何も起こらなかった。その慌てふためく様子は、威厳あるドラゴンから一転して困った子供のようである。
「バカチンがーー!!」
リベルのかかと落としがレヴィアの後頭部にヒットし、レヴィアは地面にたたきつけられる。
ゴハァ!
「シアンの標的になってる奴がこの地球から逃げられるわけないだろ? いい加減腹くくれ!!」
リベルは腕を組み、間抜けに横たわるレヴィアを見下ろした。
「逃げられんとは……。くぅぅぅぅ……。終わりじゃぁ……」
レヴィアは巨大な目から涙をボロボロとこぼしながら泣き始める。
「なんで泣くんだよぉぉ! しっかりしろ!!」
リベルはうんざりしながらレヴィアの硬い漆黒の鱗をポカポカと叩いた。
「まぁまぁ……。諦めるのはまだ早いって。何か策はあるはずだよ?」
ユウキはリベルを制止すると、涙にぬれる巨大なドラゴンのほほの鱗をなでた。
「策って……?」
レヴィアは泣きべその顔をユウキに向ける。
「そもそも……、なんでシアンには攻撃が効かないのかな?」
ユウキは降りてくるリベルに聞いた。
「は? 奴の前方になんだかとんでもないシールドが張られてるからよ。あれに全てが弾かれてしまうのよ」
「だったら後ろから撃てばいいじゃない?」
ユウキは呑気に微笑む。
「カーーッ! 分かってないわね。奴の速度はもうマッハ二十どころじゃないんだから後ろから撃つなんて無理よ」
リベルは肩をすくめる。
「じゃあ、速度を落とさせよう」
ユウキは当たり前かのように言った。
「どうやって?」
「障害物をバンバンぶち当ててやればいいじゃないか。ふふっ」
ユウキは人差し指を立てながら楽しげに笑う。
「何言ってんの! そんな都合のいい障害物なんて……、あれ?」「あった!」
二人はドラゴンの方を向いた。その瞬間、希望の光が二人の間に宿る。
「な、何じゃ? まさか我をぶち当てようとか思ってるんじゃあるまいな?」
レヴィアは焦ってたじろいだ。この二人の滅茶苦茶さには閉口しているのだ。
「そうじゃない、さっきなんか黒い柱バンバン打ち上げてたじゃないか。あれをシアンの前にたくさん出してほしいんだよね」
ユウキは敬意を込めて巨大なドラゴンの瞳をのぞきこむ。
「いやいやいや、そんな超高速で飛んでる標的に当たるわけなかろう!」
レヴィアは渋い顔をしながら首を振る。
「あんたが当てなくていいわ。僕がここをこう地面スレスレに飛ぶから僕の直後に柱を打ち出して」
リベルは焼け焦げた石垣島の海岸沿いを指さした。
「はぁっ!? そんな都合よくいくかい!」
レヴィアは頭を抱えた。マッハ二十を超えて吹っ飛んでくるリベルの直後に柱を打ち出す――――、そんな曲芸師みたいなことできるわけがない。
「やらなきゃ死ぬのよ? あんた分かってんの? やるの? 死ぬの?」
リベルは碧眼をギラリと光らせてにらんだ。
「とほほほほ……。しょうがない。やるわい」
レヴィアは渋々了承する。これでも神の端くれである。リベルを感知したら打ちあがるような条件式を記述しておけば上手くいくかもしれないと気付いたのだ。とはいえ――――、テストもなくぶっつけ本番でうまくいく可能性などどのくらいあるだろうか? レヴィアは巨大な口から重い溜息をもらした。
「最初からそう言いなさいよ!」
リベルはペシッとレヴィアの鱗をはたいた。
「じゃが、柱を出すくらいしかできんからな? 我の攻撃なぞ全く効果ないんじゃから」
レヴィアは渋い表情でリベルをにらむ。
「速度さえ落としてくれたら、後は僕の仕事。任せて!」
リベルはニコリと笑うと自分の胸をポンと叩く。その笑顔には、あのムカつく大天使に一泡吹かせられるかも知れないという希望が輝いていた。



