僕のレールは空に続く

2学期のある日、蓮のクラスに転校生がやってきた。佐山咲良(さくら)は、弱視のため白杖を使って歩いていた。担任の先生は「彼女をサポートしながら、みんなで工夫していこう」と言った。

蓮は不思議だった。「電車は便利なのに、どうやって乗るんだろう」。昼休みに勇気を出して咲良に話しかけると、「基本は駅員さんにお願いするけど、時刻表が読みにくくていつも不安」と言われた。

その夜、蓮は祖父の工房で古い点字辞典を探し、必死に仕組みを調べた。「見えなくても、読める地図があればいい」——その思いから、蓮は校内の交通クラブに「点字時刻表プロジェクト」を提案した。

企画は簡単ではなかった。点字プリンターの調達、読み方の習得、フォーマットのデザイン——クラブ顧問からは「前例がない」と言われる。でも、咲良と話すたび、蓮の中には確信が強まった。

「誰かが不安の中にいるなら、それを“運ぶ”方法を作ればいい」 これは「車掌になる夢」の延長じゃない。“誰かの一日”を安心に変える仕事——それはもう始まっている。