僕のレールは空に続く

ある雨の日。遅延が重なり、車内にはやや張り詰めた空気が漂っていた。蓮は慌ただしくドア操作をこなしながら、ふと車内に乗るベビーカーの赤ちゃんと目が合う。

その瞬間、蓮の中に3歳の頃の記憶が蘇る。あの日、ベビーカーに乗った自分が窓の外に手を伸ばし、空に向かって「走ってる」と叫んだ瞬間。 「今度はぼくが案内する側になったんだ」

思わず蓮は、赤ちゃんに軽く手を振った。 その母親は少し驚いた表情を見せ、そして「ありがとう」と静かに微笑んだ。

それはほんの一瞬のすれ違い。でも蓮の心には、“運ぶ”という仕事の意味が深く刻まれていった。 「時間じゃない。気持ちを届けることだ」