僕のレールは空に続く

数週間後。ポストに入っていた封筒の中には、鉄道会社からの合格通知。「採用決定」の文字を見つけた瞬間、蓮は玄関先で立ち尽くした。祖父はその様子を見て、静かに蓮の肩に手を置いた。 「それが、あんたの“運転開始”だな」

研修初日。蓮は支給された制服のジャケットに腕を通す。思った以上に重く感じたそれは、責任の布だった。ドア操作訓練、非常対応、接客ロールプレイ。すべての動作に「安全と感情」の重さが宿る。

そして、研修の最後。実際の車両に乗り、指導員の横でドア操作を任された蓮。そのとき、乗車していたベビーカーの赤ちゃんが、蓮をじっと見つめていた。

蓮は一瞬、3歳の自分が窓の外を見ていた日の記憶と重なり、小さな手に向かってそっと笑みを返した。 「今度はぼくが、その空を案内するよ」