高校卒業後、蓮は交通・観光関連の専門学校へ進学した。クラスメイトには空港勤務志望の人、観光地ガイドを目指す人もいて、鉄道一本だった蓮は最初「場違いかな」と戸惑いを感じる。

しかし、鉄道文化を専門に扱う講義の中で「ローカル路線と地域の共生」というテーマに出会い、胸がざわめいた。講師は語る——「路線は“経済”だけでなく、記憶や絆を運んでいる。乗る理由は、通勤だけじゃない」

その言葉に蓮はノートをぎっしりと埋めながら、自分の路線図に“過疎駅”という名前を書き加えた。忘れられた駅にも、人の物語がある。そこに蓮の中の車掌魂が、静かに目を覚ましはじめる。