金曜の終業チャイムが鳴って二時間後。 夜更けのオフィスは残り香のような残業の気配に包まれ、コピー機の音も止んでいた。
広告代理店勤務・佐伯楓(28)は、プレゼン資料を終えたばかり。気がつくと、時計は23時42分。 「終電……」 スマホの充電は瀕死、タクシー代を惜しむ気分。駅まで行ったとしても、マンションまでは遠い。
コンビニに寄りつつ、少しだけ遠回りをして歩いて帰る決意をする。 ネイビーのトレンチをはおって、夏の終わりの湿った夜へと足を踏み出す。
広告代理店勤務・佐伯楓(28)は、プレゼン資料を終えたばかり。気がつくと、時計は23時42分。 「終電……」 スマホの充電は瀕死、タクシー代を惜しむ気分。駅まで行ったとしても、マンションまでは遠い。
コンビニに寄りつつ、少しだけ遠回りをして歩いて帰る決意をする。 ネイビーのトレンチをはおって、夏の終わりの湿った夜へと足を踏み出す。


