夜、冷たい布団にもぐりこんで神様にお願いする。

 ――どうか明日が来ませんように。

 朝、自分の机に乗せられた汚い雑巾を眺めながらお願いする。

 ――どうか誰も私に構いませんように。

 昼、誰も近づかない机で不味い給食をつつきながらお願いする。

 ――どうか誰も私の存在に気づきませんように。

 夕方、下駄箱に突っ込まれたゴミを片づけながらお願いする。

 ――どうか誰もが私のことを忘れてくれますように。

 ふたたびの夜、濡れた枕に目蓋を押しつけて祈る。

 ――もう誰も私を笑いませんように。
 ――もういじめられませんように。

 どうか。
 どうか。
 どうか。

 二年以上をそうやって生きてきた。
 なにひとつ叶わなかった。
 神様なんか、くそくらえだ。


 これが私のすべて。
 これが私の青春。
 傷だらけの青い春。キズハルだ。