「明紗ちゃん、やっぱり騒がれてるね」
「……最初だけだと思う」
「弓木さんと話すの綺麗すぎて有名人相手にしてるみたいで緊張するんだけど」
「小学校にも芸能事務所のスカウトの人が明紗ちゃんに会いにきたりしてたよね?」
「え? すごっ」
「明紗ちゃん、あまり自分から喋んないけど、優しくて、人の悪口を言ったりしないいい子なんだよ。小学校の時も女子みんな明紗ちゃんに憧れてて好きだったし」
「あんなに新入生代表挨拶上手だったのに喋らないの? あ、私も明紗ちゃんって呼んでいい?」
「……うん。嬉しい」
素直にそう笑いかければ、違う小学校だった女の子の頬が紅潮した。
男子2人に関しては私の顔は全然見ようともしないし、机をくっつけていたとしても男子と女子で分かれて会話は進んでいた。
中学校では昼休みが開始して20分間は例え給食を食べ終わっていたとしても、自分の教室から出ては行けない決まりみたいで、それを過ぎれば残りの20分は自由となる。
たいていのクラスメイトが20分もあれば食べ終わり、私も給食の食器を片付けて、女子3人で話していた時。
「明紗ー。やっほー」
流星が教室後方の出入口から顔を出した。
瞬間的にそこかしこで盛り上がっている雑談が止まり、教室中の視線という視線が流星に向けられた。
3年生。生徒会長。バレー部のエース。
入学式での在校生代表挨拶。
昨日入学したばかりの1年生だとしても、榊流星を知らない人は少ないだろう。
「ちょっと来て」
私の返事を聞く前に流星は教室に入り込んできて着席していた私の手首を掴む。
ああ20分経過していたから、廊下に人が出始めたんだ。
なんて思っている間に、
「ごめん。ちょっと明紗、借りてくね」
と、私と話していた2人に断り、私は流星に連れ去られてしまった。
「ねえ、」
「何?」
流星に文句を言ったところで聞いてはくれないだろう。
流星も流星で私の言いたいことはわかってるはずなのに、ぐんぐん足を進めていく。
私の腕を引いて歩く流星と私は昼休みで解き放たれた生徒たちの好奇の的になっているに違いない。
連れてこられたのは体育館の裏側とでもいえばいいのか。
そばには二階建ての横に長い建物が双子のように2棟並んでいる。
木目の扉が配列されていて、それぞれの隣に部活動の名前が掲げられていた。
部室棟なんだと思うけど、昼休みに用がある人はほぼ居ないんだろう。
私たち以外に人影は見えなかった。
「朝から明紗目当てで教室の前に人だかりが出来てたんだって? 人気者」
私を体育館の外階段へと座らせ、流星は男子バレー部と掲げられた部室からバレーボールを一つ拝借してくると、私の目の前でバレーボールを上に放る。
その場に立ち1ミリも足を動かさないで繰り返される直上トス。
「昼休み20分経ったら速攻で教室抜けて、明紗のところまでダッシュした」
私に視線もくれず、まるで機械のような正確な動きで流星はトスを反復する。
「流星、本当にバレー部だったんだ」
「……最初だけだと思う」
「弓木さんと話すの綺麗すぎて有名人相手にしてるみたいで緊張するんだけど」
「小学校にも芸能事務所のスカウトの人が明紗ちゃんに会いにきたりしてたよね?」
「え? すごっ」
「明紗ちゃん、あまり自分から喋んないけど、優しくて、人の悪口を言ったりしないいい子なんだよ。小学校の時も女子みんな明紗ちゃんに憧れてて好きだったし」
「あんなに新入生代表挨拶上手だったのに喋らないの? あ、私も明紗ちゃんって呼んでいい?」
「……うん。嬉しい」
素直にそう笑いかければ、違う小学校だった女の子の頬が紅潮した。
男子2人に関しては私の顔は全然見ようともしないし、机をくっつけていたとしても男子と女子で分かれて会話は進んでいた。
中学校では昼休みが開始して20分間は例え給食を食べ終わっていたとしても、自分の教室から出ては行けない決まりみたいで、それを過ぎれば残りの20分は自由となる。
たいていのクラスメイトが20分もあれば食べ終わり、私も給食の食器を片付けて、女子3人で話していた時。
「明紗ー。やっほー」
流星が教室後方の出入口から顔を出した。
瞬間的にそこかしこで盛り上がっている雑談が止まり、教室中の視線という視線が流星に向けられた。
3年生。生徒会長。バレー部のエース。
入学式での在校生代表挨拶。
昨日入学したばかりの1年生だとしても、榊流星を知らない人は少ないだろう。
「ちょっと来て」
私の返事を聞く前に流星は教室に入り込んできて着席していた私の手首を掴む。
ああ20分経過していたから、廊下に人が出始めたんだ。
なんて思っている間に、
「ごめん。ちょっと明紗、借りてくね」
と、私と話していた2人に断り、私は流星に連れ去られてしまった。
「ねえ、」
「何?」
流星に文句を言ったところで聞いてはくれないだろう。
流星も流星で私の言いたいことはわかってるはずなのに、ぐんぐん足を進めていく。
私の腕を引いて歩く流星と私は昼休みで解き放たれた生徒たちの好奇の的になっているに違いない。
連れてこられたのは体育館の裏側とでもいえばいいのか。
そばには二階建ての横に長い建物が双子のように2棟並んでいる。
木目の扉が配列されていて、それぞれの隣に部活動の名前が掲げられていた。
部室棟なんだと思うけど、昼休みに用がある人はほぼ居ないんだろう。
私たち以外に人影は見えなかった。
「朝から明紗目当てで教室の前に人だかりが出来てたんだって? 人気者」
私を体育館の外階段へと座らせ、流星は男子バレー部と掲げられた部室からバレーボールを一つ拝借してくると、私の目の前でバレーボールを上に放る。
その場に立ち1ミリも足を動かさないで繰り返される直上トス。
「昼休み20分経ったら速攻で教室抜けて、明紗のところまでダッシュした」
私に視線もくれず、まるで機械のような正確な動きで流星はトスを反復する。
「流星、本当にバレー部だったんだ」



