流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

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 季節は移ろうと言うけれど10月になり後期が始まった今でも毎日25℃近くまで気温の上がる日が多く、制服であるキャメル色のブレザーは出番待ちの状態が続いていた。
 それでも日没は早くなり、朝晩の風には身震いするはどの冷たさをたまに感じる時もあって、夏服のポロシャツではなくワイシャツの長袖を着るようになった。

 「ずっと弓木さんのことが気になっていました。友だちからでいいので俺と付き合ってください」

 私がまた昼休みに屋上庭園に呼び出される日々は蓮先輩と私が別れたと知れ渡るなり再開していた。
 私からは柚乃にしか言ってないし、蓮先輩も自分から周りにベラベラ喋る人じゃない。
 それでも久瀬蓮と弓木明紗の破局情報は光の速さで三高中に拡散されたという。
 今日、告白してくれたのは三年生の先輩。
 確かバレー部の見学に行っていた時に顔を見ていたように思う。
 私にわざとボールを転がしてきた人たちの中にこの人の顔もあった。

 「ありがとうございます。とても嬉しいんですけど、私、今は誰かと付き合うとか考えられなくて。お気持ちに応えられなくて申し訳ありません」

 また同じ台詞を伝えなければいけないことはつらかった。
 同じではなかった。
 蓮先輩と表向きだけだとしても恋人同士になる前は付き合うことに興味がないと伝えていた。
 今は考えられないと伝えている。
 事実、私は考えられない。
 流星を忘れられないまま、蓮先輩を好きでいる私が他の誰かと付き合うなんて考えすら及ばなかった。
 あとは私の知らないところで告白する側にルールが出来ていたようで、私を呼び出したかったら私の靴箱にメモを入れる。
 メモが先に入っていれば、先約があると判断して追加で入れてはいけない。
 打ち合わせたわけでもないと思うのに、原始的な方法のそんな決まりが出来ていたおかげで、告白を何人か続けてされたりとかバッティングして相手の教室まで調整に行ったりという労力は無くなった。
 もちろん以前と変わらず廊下や階段、時に図書閲覧室で突発的に告白されることもあったけれど、私にとっても助かっていた。
 告白してくれた相手が立ち去ってから、屋上庭園に目を走らせる。
 夏の間、青々と茂っていた草木が色褪せてきていた。
 金木犀の香りが肺の奥にまで充満し、花壇の秋桜(コスモス)は控えめにそっと咲いている。
 酷暑を通り過ぎて屋外で過ごしやすくなったからか、庭園内にいくつも設置されたベンチは埋まっている場所も多い。
 やっぱり確実に季節は移ろっている。
 今この瞬間にも。
 私と蓮先輩が別れたベンチも今は女の子3人が座って楽しそうに話している。
 初夏にはライラックの木の鉢が並んで置いてあった場所に一番近かったベンチだ。
 蓮先輩と別れてから、前期の期末考査もあったし、文化祭もあった。
 夏休みに地獄と呼ばれる特別夏期講習をやり抜いて、勉学に力を入れていたから期末考査は総合6位に上がったし、前期の通知表も良かった。
 二学期生の三高では前期になるべく学校行事を詰めて行い、後期では勉学に集中できる環境が整えられる。
 私も昼休みの残りは図書閲覧室で自習しようと、出入口に向かった時だった。

 「久瀬くんのことが好きでした。私と付き合ってください」
 「悪い。俺、好きな()いるから付き合えない」