流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 何で、こんなに蓮先輩は”明紗本位”なんだろう。
 優しくされるから苦しくなる。
 大事にしてもらえているとわかるからつらくなる。
 学習机に蓮先輩からお土産でもらったおにぎりポリスのご当地キーホルダーと流星に作ったユニフォーム型のお守りを並べて、ただただ眺めていた。
 何を蓮先輩と話せばいいんだろう。
 蓮先輩は何を聞きたいんだろう。
 自分が憧れていた流星と私に結び付きがあったとわかってどう感じただろう。
 どこまでも真っ直ぐに、どこまでも優しく、私と向き合ってくれる蓮先輩。
 私も蓮先輩と話したい。
 でも話すのが怖い。
 いざ直面することに足が竦む。

 週末2日を過ごし、二度と戻らない高校一年生の夏休みは音もなく幕を閉じる。
 2学期制ゆえに夏休み明けに始業式があるわけでもなく、三高の正門をくぐれば、1ヶ月の夏休み明けで時差のようなものを感じるのか生徒たちはどこか暑さ以外でも気怠そうだった。
 私は自分の教室ではなく、ある場所を目指していた。
 2年生の教室が並ぶエリアに私が立ち入ることなんてない。
 上履きの色が違う私が珍しいのか振り返って二度見されるほどに注目を浴びる。

 「あの子、1年の弓木明紗ちゃんじゃない?」
 「うわー近くで初めて見た。こんなに綺麗なんだ」
 「やっぱり三高の姫君って感じ」
 「英語スピーチも上手だったよね」
 「何かいい匂いする気がする」

 目指す先はひとつ2年A組の教室だった。
 蓮先輩は今日もバレー部の朝練があっただろうけど、この時間には教室に居るだろう。
 後方出入口から教室の中を覗く。

 「夏休みどうだったー?」
 「朝、起きるのつらかったー」

 夏休みという特別な1ヶ月を過ごし終わった後の独特な空気が教室に満ちている。
 教室の中央の一番後ろの席には蓮先輩が座っていて、前の席に座る笹沼先輩と会話を交わしていた。
 上級生の教室の雰囲気だけじゃなく、蓮先輩の姿を目に入れるだけで緊張感がまとわりつく。
 
 「──蓮先輩……!」