流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 「あ、ごめん。つい芸能人見たような反応しちゃった。失礼だったよね」
 「……いえ」
 「俺、青中で2個上だったんだ。って話したこともないし知らないよね? 俺、3年の時に体育委員長やってたから中央委員会も出てたんだけど。天音とは中2、中3クラス同じだった」

 申し訳ないけど、私の記憶には残っていない。
 この人の言う通り、話したことがなかった。
 そして、今ここにいるということはお兄ちゃんと同じクラスだっただけじゃなく、流星と同じバレー部員だったんだろう。

 「明紗を知ってたんですか?」
 「青中で一緒。ま、一方的に俺が知ってるだけ」
 「一方的?」
 「説明しなくても大体わかるだろ。青中の全校生徒の憧れの(まと)だったよ」
 「ああ」

 納得したように蓮先輩が短く返答する。
 私の胸は信じられないほどざわついていた。
 この人は知っている。
 中学の時の流星と私を。
 繋いでしまう。
 流星と私と蓮先輩を。

 「え。久瀬が明紗って呼んでるってことは?」
 「俺の彼女です」
 「ええ!? マジ!?」

 大げさに驚いたその人は続けて何かを言いたそうだったけど、アリーナの中央から号令がかかって、2校が加わっていつもより大勢いる男子バレー部員は集合していった。
 青中出身で流星を知ってる人がこの中に居るんだ。
 動揺がおさまらないまま、階段を上がってキャットウォークからアリーナを見下ろす。
 キャットウォークには他校の女生徒も見学にきている。
 コート上では3校合同で準備運動が開始されていた。
 これだけ人数がいたって蓮先輩はすぐに私の視界にとびこむ。
 流星の命日、7月7日。
 蓮先輩が部活を休んでまで行っていたのは流星の事故現場だったんだ。
 私は一度も行ったことのないその場所。
 考えるのを放棄したくなるその場所。
 お通夜にも行けなかった私は真正面から今も向き合えていないのかもしれない。
 ──流星の死と。
 アリーナでは、三高ともう一校の練習試合が始まろうとしている。

 「ねぇ、明紗」

 柚乃はキャットウォークの手すりにもたれて、アリーナを見つめながら私に声をかけた。

 「何?」
 「もうね、ユズのバレー見学に付き合ってくれなくていいよ」
 「……」
 「ずっと明紗はユズに付き合ってもらっちゃってたもんね」
 「一人で大丈夫?」
 「うん。というか、ずいぶん前から本当はもうユズ一人でも平気だった。少しでも明紗と一緒にいたいのもあったの」
 「そう」
 「夏休み明けたら放課後、付き合ってくれなくてもいいよ」

 最初は私がここに来たのは柚乃に一緒に来てほしいと頼まれたからだった。
 
 「もし、ユズたちのことが久瀬先輩と明紗の関係に影響を与えているんだとしたら、気にしなくていいよって言いたかったの」