流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 ***

 私は両親ともに関東出身で、お母さんはお盆期間もカレンダー通りに仕事だったから特段、家庭の予定はなかった。
 お兄ちゃんも帰省してきていない。
 この期間は蓮先輩も笹沼先輩も柚乃もそれぞれ遠出していた。
 蓮先輩は家族で母親の実家である東北地方に帰省していたらしく、次に学校のカフェテリアで蓮先輩と会った時には名物だというお菓子とおにぎりポリスのご当地キーホルダーをくれた。
 おにぎりポリスが伊達政宗の甲冑をまとって眼帯をしている。
 翠ちゃんと鈴ちゃんも一緒に選んでくれたらしい。

 「ありがとうございます。かわいい」

 どこにつけようか思案していたら、

 「これ4人でお揃い」

 と、蓮先輩が告げる。

 「4人?」
 「俺たち兄妹も全員持ってる」
 「そうなんですか」
 「そう。明紗とお揃いがいいって翠と鈴が駄々こねて父親に買ってもらってた」
 「嬉しいんですけど大丈夫ですか?」
 「いいんだろ。翠は自分のバッグに早速つけてた」

 翠ちゃんと鈴ちゃんはいいにしても、蓮先輩もお揃いなんだ。
 少し気恥ずかしい気持ちが沸き上がって頬の周辺が熱くなった。

 三高男子バレー部はその週に行われた一次予選トーナメント1日目、2日目と順調に勝ち上がり、9月に行われる3日目への出場が決定していた。
 この3日目に上位4校に入れば11月に行われる東京都代表決定戦に進み、うち上位3校が春高に出場できるという。
 翌日には男子バレー部は練習試合があって、隣の県の学校2校が来校して第二アリーナに集結していた。
 その日、午前中の1コマしか特別講習がなかった私は柚乃と久しぶりに第二アリーナに向かっている。

 「夏休み終わっちゃうよー。ユズ来週の月曜、朝から登校したくない」
 「がんばろう」
 「何で8/31まで休ませてくれないの?」
 「1週間しか変わらない」
 「その1週間が大きいの。明紗、課題終わってる?」
 「課題は夏休み始まる前から終わってた」
 「やっぱり明紗だね。ユズまだ終わってない科目ある」

 柚乃と会話をしつつ、第二アリーナの入り口からアリーナ内へと足を進めようとした時、

 「久瀬、久しぶりー! って言っても、流星の命日に会ったよな」

 屋内から漏れてきた声に大きく肩が震えて、全身が固まってしまった。

 「お前も毎年、流星の命日に事故現場に花をたむけに行ってたとはな」
 「そのくらいしか出来ませんので」
 「流星の実家、引っ越したんだよな。流星の母親かわいそうだよ。旦那さんも病気で亡くして息子の流星も事故死なんて」

 Uターンしてしまおうかと思った。
 蓮先輩と流星を知っている人との会話。
 得体のしれない不安感がお腹の底からせり上がってくる。
 私が歩みを止めたことに気づかなかった柚乃はすでにアリーナ内に入っていて、

 「明紗ー。どうしたの?」

 と、振り返って大きな声で私を呼んだ。

 「ごめん。柚乃」

 聞こえなかったふりをすればいい。
 気分の悪さに蓋をして、第二アリーナに続いて入った。
 蓮先輩は出入口の傍にいて、他校の男子バレー部員と話していたけど、私を呼んだ柚乃の声で私に気づいたみたいだ。

 「明紗。来てくれ……」
 「おー!! 弓木明紗だ!!」

 蓮先輩と話していた男子バレー部員は私を指さして、あたりをはばからず大きな声を出す。
 驚きが声の大きさに現れたのだろう。