流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 自分が断っているくせに、鋭利なもので引き裂かれているように胸が痛む。
 いつも私が告白を断るときに使っている言葉は蓮先輩に使えない。
 使いたくなかった。
 でも、他に何も言葉が浮かんでこない。

 「……ごめんなさい」
 「謝らなくていい」

 蓮先輩の綺麗な切れ長の瞳に憂いがさす。

 「心を開かないって、先に明紗に言われてたことは覚えてる」

 身体の内側で響く鼓動の一つ一つが重く苦しい。
 だけど、もっと苦しいのは蓮先輩で。

 「なのに期待した俺が悪い」
 「違います!」

 思わず、声が大きくなってしまう。
 期待させたのは私だ。
 蓮先輩との距離の取り方を間違えていた。
 間違えていたんじゃなくて、あえて間違ったのかもしれない。
 蓮先輩と一緒にいたら、もっと知りたいと。
 蓮先輩に近づきたいと、そう感じてしまった。

 「明紗が何かを一人で抱えて傷ついてるんじゃないかってことは何となくわかってきた」

 拍動が更に重みを増す。
 蓮先輩の憂いを帯びた鋭い眼差しが私を捕らえて離さない。

 「軽々しく言っているつもりはないけど、それ俺にも抱えさせてほしい」

 蓮先輩は誰よりも私を見てくれている。
 誰よりも私のことを考えてくれている。
 それが、わかってしまうのがつらい。

 「……ごめんなさい……」

 それしか私に言えなかった。
 私は弱い。
 自分の思考が弱くて仕方ない。
 蓮先輩に私を受け止めてほしいなんて、(よぎ)ってしまった。

 「──明紗を困らせて悪い」

 どうして蓮先輩が謝罪するんだろう。
 余計に胸が苦しい。

 「今まで通りにしてほしい」
 「え?」
 「俺と表向きだけ恋人って関係」
 「それは……」
 「明紗が嫌になったら、いつでも辞めればいいって言っただろ? 俺が嫌になった?」
 「なってないです。でも、」
 「志恩たちにも気を遣わせるし、俺の家族も明紗のこと気に入ってるから」

 今まで通りなんて、それは私にとって虫がよすぎる。

 「違う。本当は俺が明紗と居たいだけ」
 「……」
 「頼む」

 切なる蓮先輩の依頼。
 ずるいとわかっていながら私は頷いてしまった。