流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 ランチタイムを終え、蓮先輩は部活が行われる第二アリーナに、私は図書閲覧室に行くために本校舎の廊下を並んで歩いている時、不意に蓮先輩に告白された。
 示し合わせたわけじゃないのにお互い足を止めて、向かい合う。
 廊下には人影がなくて、蓮先輩と私以外すべて消えてしまったように静閑だった。

 「俺、明紗が三高に入学してくる前から明紗のこと知ってた」
 「え?」
 「今年の1月、三高の推薦入試の日。在校生は休みだったんだけど、本校舎に入らないことが条件で、バレーやってもいいって許可もらって俺も学校に来てた」

 蓮先輩の言う通り、私は一般受験ではなく、三高に推薦入試で合格している。

 「明紗。道で立ち往生していたおばあさんを助けてただろ」

 確かに推薦入試を受けるために三高の校門を目指す途中で、大きな荷物を抱えお年を召した腰の曲がったご婦人が困ったように辺りを見回していた。
 私から声をかけて、荷物を代わりに持って駅前の交番まで支えながら行って、そこからは警察官に対応をお願いしたけれど。

 「入試当日で受験生みんな自分のことで必死な様子が伝わってくるなかで、明紗だけ周りと違って見えた」
 「……」
 「名前も知らないくせにずっと気になってどうしようもなかった。絶対にその子は合格するだろうなとは思ってたけど」
 「……」
 「4月になって三高の新入生の中に明紗の姿を見つけた時は嬉しかった」

 まさか、あの現場を蓮先輩に見られていたとは思わなかった。

 『悪い。俺、好きな()いるから、付き合えない』

 入学してから何度となく蓮先輩が告白をされる場面に遭遇してきた。
 いつも断る時に言っていたあの台詞。
 あれは私のことだったんだ。

 「俺も明紗に告白しようと思ってた。でも入学早々、明紗はこれでもかってほど人気あってモテるし、”弓木明紗 みんなでフラれれば 怖くない”とか、明紗に対して失礼でふざけんなよとか思ってたんだけど」
 「……」
 「俺が明紗に告白しても、その一員になるだけだと思って言えずにいた」

 蓮先輩の言葉がそこで途切れる。
 ずっと黙って聞いていた私はどんな表情をしていたんだろう。

 「表向きの恋人だとしても明紗と一緒に居られるようになって知れば知るほど、明紗を好きになってる」
 「……」
 「明紗に手を出さないとかかっこつけたけど、」
 「……」
 「明紗の彼氏になりたい」

 真摯な蓮先輩の告白に胸をうたれた。
 私も知れば知るほど、蓮先輩に惹かれている。
 他の誰よりも蓮先輩のことが気になっている。
 それは自分でも自覚できている。
 だけど、私はどうしても流星を忘れることなんて出来ない。

 「……ごめんなさい」