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二学期制ゆえ成績表をもらうことはなく、境界線が曖昧なまま約1ヶ月の夏休みに突入した。
夏休み明けには程なくして前期の期末考査が控えている。
中学は3学期制だったから初めての感覚が新鮮だった。
私はほぼ毎日、特別講習で学校に通っていた。
普段登校するよりも朝はゆっくりめだし、部活動や講習で登校している生徒も大勢いたけれど、普段の学校の様子とは違っている。
講習の合間に時間があいた時は図書閲覧室で自学自習した。
夏休み期間中も購買が空いているから、そこでお昼を買ってカフェテリアでランチを摂る。
いつも購買を利用しなかったのは大行列で昼休みが削られるから。
夏休み中もお昼時は部活動の生徒が集団で大挙したりはするけれど、昼休憩の時間が限定されているわけじゃないから満席になってしまったり、買うために何十分も並んだりするわけじゃない。
男子バレー部の昼休憩と時間が重なった時は蓮先輩と一緒に食べたりした。
最初はランチを摂っていると私が一人だと思って男女、同級生上級生問わず話しかけられることもあったけど、蓮先輩と合流するんだと察してくれたようで、それも日が進むうちになくなった。
笹沼先輩も一緒かと思ったけれど、柚乃が居ないからか私たちに気を遣ってくれているのか他の男子バレー部の人と食べている。
蓮先輩は夏休みも相変わらずお弁当箱を持参していて、それを包む巾着袋にはおにぎりポリスのマスコットが相変わらずつけられていた。
「これ翠から明紗に渡してくれって頼まれた」
「私にお手紙ですか?」
「俺は断ったんだけど。夏休みで時間有り余っているみたいだし、こういうの好きな時期なんだろ。明紗は気にしなくていいから」
蓮先輩から渡されたのは人気キャラクターがプリントされた可愛らしい封筒。
表には”DEAR あさちゃん”と書かれていて、キラキラとしたシールがたくさん貼られている。
確かに私は自分からしなかったけど、女子はお手紙交換が好きな子が多くて、私もよくもらった。
小5なら尚更そういった時期かもしれない。
「嬉しいです。私もお返事、書いてきます」
「いいって。明紗に翠のことで時間を遣わせるの悪い」
「そんなことないです」
私は女の子が好みそうな可愛らしいレターセットを持っていないから、今日は買ってから帰宅しよう。
翠ちゃんも私からビジネス文書みたいなお堅い返事をもらっても困るだろう。
「俺の家族、みんな明紗のこと好きだから。やたら明紗のこと聞かれる。迷惑じゃなかったら、また会ってやって」
「迷惑なんてとんでもないです」
好意的に思ってもらえて嬉しい反面、どこか良心がとがめた。
今週末の土曜日は蓮先輩と笹沼先輩と柚乃と4人で三高の最寄り駅の隣の駅で行われる夏祭りに行く予定になっている。
何となく、時期が近いだろうなと予感めいたものはあった。
「──明紗。俺、明紗が好きだ」
二学期制ゆえ成績表をもらうことはなく、境界線が曖昧なまま約1ヶ月の夏休みに突入した。
夏休み明けには程なくして前期の期末考査が控えている。
中学は3学期制だったから初めての感覚が新鮮だった。
私はほぼ毎日、特別講習で学校に通っていた。
普段登校するよりも朝はゆっくりめだし、部活動や講習で登校している生徒も大勢いたけれど、普段の学校の様子とは違っている。
講習の合間に時間があいた時は図書閲覧室で自学自習した。
夏休み期間中も購買が空いているから、そこでお昼を買ってカフェテリアでランチを摂る。
いつも購買を利用しなかったのは大行列で昼休みが削られるから。
夏休み中もお昼時は部活動の生徒が集団で大挙したりはするけれど、昼休憩の時間が限定されているわけじゃないから満席になってしまったり、買うために何十分も並んだりするわけじゃない。
男子バレー部の昼休憩と時間が重なった時は蓮先輩と一緒に食べたりした。
最初はランチを摂っていると私が一人だと思って男女、同級生上級生問わず話しかけられることもあったけど、蓮先輩と合流するんだと察してくれたようで、それも日が進むうちになくなった。
笹沼先輩も一緒かと思ったけれど、柚乃が居ないからか私たちに気を遣ってくれているのか他の男子バレー部の人と食べている。
蓮先輩は夏休みも相変わらずお弁当箱を持参していて、それを包む巾着袋にはおにぎりポリスのマスコットが相変わらずつけられていた。
「これ翠から明紗に渡してくれって頼まれた」
「私にお手紙ですか?」
「俺は断ったんだけど。夏休みで時間有り余っているみたいだし、こういうの好きな時期なんだろ。明紗は気にしなくていいから」
蓮先輩から渡されたのは人気キャラクターがプリントされた可愛らしい封筒。
表には”DEAR あさちゃん”と書かれていて、キラキラとしたシールがたくさん貼られている。
確かに私は自分からしなかったけど、女子はお手紙交換が好きな子が多くて、私もよくもらった。
小5なら尚更そういった時期かもしれない。
「嬉しいです。私もお返事、書いてきます」
「いいって。明紗に翠のことで時間を遣わせるの悪い」
「そんなことないです」
私は女の子が好みそうな可愛らしいレターセットを持っていないから、今日は買ってから帰宅しよう。
翠ちゃんも私からビジネス文書みたいなお堅い返事をもらっても困るだろう。
「俺の家族、みんな明紗のこと好きだから。やたら明紗のこと聞かれる。迷惑じゃなかったら、また会ってやって」
「迷惑なんてとんでもないです」
好意的に思ってもらえて嬉しい反面、どこか良心がとがめた。
今週末の土曜日は蓮先輩と笹沼先輩と柚乃と4人で三高の最寄り駅の隣の駅で行われる夏祭りに行く予定になっている。
何となく、時期が近いだろうなと予感めいたものはあった。
「──明紗。俺、明紗が好きだ」



