試合が終わって応援席に向かって選手が礼をすると、万雷の拍手が贈られた。
顔を上げた蓮先輩が私のほうを真っすぐ見ている気がする。
私の膝の上に座る鈴ちゃんの手を借りて、蓮先輩に手を振ると口許が少し緩んでいた。
蓮先輩は肩にかけたタオルで汗を拭きながら、他の選手たちと一緒にいったんコートから下がっていく。
間をおいて行われた試合は春高で全国ベスト4に入った東京一の強豪校が対戦相手らしく、フルセットまでもつれ込んだものの残念ながら三高は敗北してしまった。
お昼をはさんで午後の試合はともに一勝ずつ勝利している学校との対戦となる。
すでに2勝している春高ベスト4の学校が2敗を喫している学校に負けることはほぼないと予想され、実質この試合に勝ったほうが残りの1枠のインターハイの切符を手にすることになるらしい。
私と柚乃は会場の体育館を一回出て、近くの飲食店でランチをした後、また体育館に戻った。
「次の試合、勝ったらインターハイ出場だよ。緊張するよね」
ランチ中も興奮さめやらない柚乃は、ずっと緊張というを言葉を繰り返し使っていた。
「明紗が彼女で久瀬先輩がうらやましいって思ってたけど、バレーしてる久瀬先輩を見ちゃったら、久瀬先輩が彼氏って明紗がうらやましい」
「実際に蓮先輩と付き合ってないって知ってるよね」
小声で柚乃に話す。
「そうだけど。ユズ、逆に何で久瀬先輩と明紗が実際に付き合っていないかのほうが不思議に思えてきた」
「……弓木 明紗ちゃんだよね?」
後ろから不意にかけられた声に心臓が止まるかと思った。
振り返ると観客席の上側通路からジャージを着た女子が私を見下ろしている。
その顔には見覚えがあった。
「速見美青さん?」
青中で一緒だった流星の元彼女である2学年上の高3の速見さん。
速見さんは階段を下りながら、私が座る場所まで近づいてきた。
速見美青さんがどうしてここに居るんだろう。
「やっぱり明紗ちゃんだった! あ、私は第一試合で三高が対戦した高校でバレー部のマネージャーやってるの。ベンチには別のマネージャーの子が入っているんだけど。明紗ちゃん三高に進学してたんだね」
「はい」
「三高の応援席にとんでもなく綺麗な子がいるって、うちの高校でも大騒ぎになってた。明紗ちゃん、子どもを抱っこしてた?」
「はい」
「じゃあ、やっぱり明紗ちゃんのことだ」
速見さんは髪をお団子にしていて、私が知っている中3の時よりも顔がシャープになって大人の女性に近づいたように見える。
「弓木くんとは中学卒業して以来、会ってないんだけど元気? 剣道の関係で遠くの高校に進学してたよね」
「……はい」
お兄ちゃんが元気かどうかなんて、私はわからないくせに。
「今でも考えちゃうの……」
速見さんが眼下に広がるバレーボールのコートを見て呟いた。
「こうやって高校バレーの会場に試合で訪れると、この場に榊くんが居るはずだったのに……って」
顔を上げた蓮先輩が私のほうを真っすぐ見ている気がする。
私の膝の上に座る鈴ちゃんの手を借りて、蓮先輩に手を振ると口許が少し緩んでいた。
蓮先輩は肩にかけたタオルで汗を拭きながら、他の選手たちと一緒にいったんコートから下がっていく。
間をおいて行われた試合は春高で全国ベスト4に入った東京一の強豪校が対戦相手らしく、フルセットまでもつれ込んだものの残念ながら三高は敗北してしまった。
お昼をはさんで午後の試合はともに一勝ずつ勝利している学校との対戦となる。
すでに2勝している春高ベスト4の学校が2敗を喫している学校に負けることはほぼないと予想され、実質この試合に勝ったほうが残りの1枠のインターハイの切符を手にすることになるらしい。
私と柚乃は会場の体育館を一回出て、近くの飲食店でランチをした後、また体育館に戻った。
「次の試合、勝ったらインターハイ出場だよ。緊張するよね」
ランチ中も興奮さめやらない柚乃は、ずっと緊張というを言葉を繰り返し使っていた。
「明紗が彼女で久瀬先輩がうらやましいって思ってたけど、バレーしてる久瀬先輩を見ちゃったら、久瀬先輩が彼氏って明紗がうらやましい」
「実際に蓮先輩と付き合ってないって知ってるよね」
小声で柚乃に話す。
「そうだけど。ユズ、逆に何で久瀬先輩と明紗が実際に付き合っていないかのほうが不思議に思えてきた」
「……弓木 明紗ちゃんだよね?」
後ろから不意にかけられた声に心臓が止まるかと思った。
振り返ると観客席の上側通路からジャージを着た女子が私を見下ろしている。
その顔には見覚えがあった。
「速見美青さん?」
青中で一緒だった流星の元彼女である2学年上の高3の速見さん。
速見さんは階段を下りながら、私が座る場所まで近づいてきた。
速見美青さんがどうしてここに居るんだろう。
「やっぱり明紗ちゃんだった! あ、私は第一試合で三高が対戦した高校でバレー部のマネージャーやってるの。ベンチには別のマネージャーの子が入っているんだけど。明紗ちゃん三高に進学してたんだね」
「はい」
「三高の応援席にとんでもなく綺麗な子がいるって、うちの高校でも大騒ぎになってた。明紗ちゃん、子どもを抱っこしてた?」
「はい」
「じゃあ、やっぱり明紗ちゃんのことだ」
速見さんは髪をお団子にしていて、私が知っている中3の時よりも顔がシャープになって大人の女性に近づいたように見える。
「弓木くんとは中学卒業して以来、会ってないんだけど元気? 剣道の関係で遠くの高校に進学してたよね」
「……はい」
お兄ちゃんが元気かどうかなんて、私はわからないくせに。
「今でも考えちゃうの……」
速見さんが眼下に広がるバレーボールのコートを見て呟いた。
「こうやって高校バレーの会場に試合で訪れると、この場に榊くんが居るはずだったのに……って」



