流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 「そうだ、蓮。江口と連絡とってたんだけど、中学の時のバレー部の奴らも日曜日に応援に来るって」

 柚乃と二人で話していた笹沼先輩が蓮先輩に話を振った。

 「そうなのか」
 「インターハイ絶対出ろよって激励してた。ま、俺はベンチ入りもしてないんだけど」
 「志恩先輩と久瀬先輩って保育園から一緒って言ってたよね?」
 「そう。1歳の時には蓮と顔を合わせてる」
 「ええ!? それで高校まで一緒ってすごい」
 「蓮のことなら何でもわかるかな」
 「そんなわけねぇだろ」

 3人で繰り広げられていた会話を聞きながら、蓮先輩への正体がわからない負い目に苛まれていた。

 インターハイ出場校が決まる日曜日までの間、男子バレー部の士気は全体的に普段より上がっているのは感じ取れたし、木曜日にはお父さんが単身赴任先のスペインに戻ってしまって寂しくも感じた。

 日曜日、待ち合わせ時刻の9時少し前。
 柚乃よりも早く会場最寄りの駅についていた私は頭上に広がるどこまでも澄み切っている青空を眺めていた。
 私が自分自身で応援に行くって選択が出来なかったから、こんなに気がかりが続いているのだろうか。
 蓮先輩を応援したい気持ちは本物なのに。

 「明紗。おはよう!」

 柚乃からのバックハグを受けて振り返る。

 「おはよう柚乃」
 「もう日曜に早起きして眠たいよー。昨日の夜はユズが興奮しちゃって、ちゃんと眠れなかった」

 そう言いながらあくびをした柚乃と会場まで徒歩10分の道のりを歩く。
 会場となる総合体育館には”令和●年度 東京都高等学校総合体育大会 国民体育大会バレーボール予選会会場”と掲げられていて、関係者なのか高校生だけじゃなくて、大勢の人が体育館の外にも集っていた。
 会場に入ると全部で3面あるコートではすでに選手たちがそれぞれの場所で練習に入っている。
 試合前独特の緊張感が練習中とはいえコートから高い天井まで伝染してくるようで。

 「こういう雰囲気、どきどきするよね」

 柚乃と並んで座席上の通路を歩く。
 各学校の応援エリアは決まっているらしく第一試合の三高の応援席へとたどり着いた。
 そこのコートから近い列は全てベンチ入り出来なかったバレー部の面々が40名は占拠している。
 試合に出られなくても応援することは大切な役割のひとつなのだろう。
 すでに敗退済みの三高女子バレー部も男子の応援に来ているようですでに席に座っている。
 女子バレー部に所属している同じクラスの子が私と柚乃を見つけて手を振ってくれた。