流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 蓮先輩には他に好きな子がちゃんと居るから。
 表向きだけ恋人同士。
 きっと、蓮先輩にも蓮先輩の事情があるんだろう。
 もし、仮に蓮先輩が私を好きだとしたら表向きだけだとしても一緒に居るわけにはいかなくなる。
 絶対に気持ちに応えられないから。
 だから心を開かないと伝えたし、蓮先輩もそれはわかっていると思う。
 
 「明紗って何で……ううん、いいや何でもなーい」

 柚乃は前を向き直した。
 男子バレー部の練習が第二アリーナで始まる中、蓮先輩だけが水原さんと呼ばれた女性に取材を受けている。
 少し離れた位置だったから、取材内容までは完全にわからなかったけど。

 「──ずっと憧れてる選手がいます。その人を越えるのが俺の目標です」

 なぜか蓮先輩がそう答えた時だけ、はっきり聞こえた。
 その日の取材は三高の男子バレー部に取材に来ていたはずなのに、インタビューを受けていたのは蓮先輩だけだし、全体練習に蓮先輩が戻ってからもカメラマンのレンズの先は常に蓮先輩に向けられている。
 休憩の時に、蓮先輩と笹沼先輩が私と柚乃のところに来てくれた。

 「久瀬先輩ってバレーの天才なんですか?」

 柚乃が蓮先輩に無邪気に聞いている。

 「別に天才じゃねぇよ。勝ちたいってだけ」
 「蓮は勝ちたいからうまくなりたいんだって。蓮とは保育園の時から一緒だけど、ずっとバレーボールが彼女みたいなもんだよな」
 「変なこと言うなよ」
 「ダントツでモテるのに片っ端から女子の告白断ってたから。蓮がイケメンだからクールだとか硬派だとか良い風に言われてただけで。一回、俺とも噂になったことあったよな?」
 「何ですか、それ」
 「蓮が女子の告白を断ってるのは俺とデキてるからだって、一部の女子に噂流されてた」
 「え、志恩先輩そうなの?」
 「そんなわけないって。もしそうなら柚乃と付き合ってないじゃん」

 私は三人の会話を口を開かずに耳を傾け続けていた。

 「でも俺もマジで蓮はバレーばっかで女子に興味ないと思ってた」
 「──あるよ」

 不意に蓮先輩と視線が絡む。
 どこか熱がこもった眼差しにからめとられそうになる。

 「俺も好きな()には興味ある」

 蓮先輩は軽く笑って口角をつりあげた。
 顔も名前も知らない蓮先輩に想われている人。
 私には関係ないのに。
 どうしてなのか息苦しく感じてしまった。

 今日はダンス教室を終えて帰宅し、お風呂に先に入ってから私は自分の部屋でクローゼットの中を物色していた。

 「やっぱり、あった……」