流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 「そういえば、柚乃はもう私が居なくてもバレー部の見学はできる?」
 「無理。明紗もユズと一緒に居て。図書室と体育館だとまた違うんだよね。図書委員の志恩先輩はユズ平気なんだけど、男子バレー部員の志恩先輩に会うのは緊張して倒れそうになる」
 「どういう仕組み?」
 「図書室は委員会で志恩先輩とユズが初めて出会った場所だから大丈夫っていうか……。部活している志恩先輩はその後からだから、何か慣れないんだよね」

 今でも柚乃は男子バレー部の見学の後は私が塾のために帰宅する時間に一緒に帰っている。
 第二アリーナの定位置となった出入口付近に柚乃と並んで立った時だった。

 「ねぇ。写真、撮らせてくれない!?」

 いきなりショートカットのパンツスーツの女性に正面から手を握られた。
 女性の後ろにはデジタル一眼レフカメラを手に持つ男性が控えている。

 「水原さん。いきなり女子高生ナンパするのやめてください。今日は三高の男子バレー部の取材に来ているんですから」
 「だって、こんな逸材逃せる? うちの女性ファッション誌の担当に回せばモデルやってほしいって絶対なるって」
 「自分の同期が編集長だからって、ここでモデルのスカウトしないでくださいよ」
 「ここまで綺麗な子、すぐに看板モデルになるわよ。あ、もうどこか事務所入ってる?」

 水原さんと呼ばれた女性が顔をどんどん近づけてくる。
 勢いに圧倒されて固まっていたら、

 「水原さん、お待たせしました。俺の彼女に何か用ですか?」

 と、蓮先輩が水原さんの肩に手を置いた。

 「あら、久瀬くん。今日はよろしくね」
 「こちらこそよろしくお願いします」
 「この綺麗な女の子、久瀬くんの彼女なの?」
 「はい」
 「うちの会社発行の女性ファッション誌のモデルにスカウトしたいの。彼女モデルに興味とかは……」

 私は蓮先輩に両手の人差し指でバツ印を作って見せた。

 「すみません。彼女、こういった類のお話は全てお断りしているようなので。あっちで取材、始めましょうか?」
 「残念だわー」

 取材に来ていた二人と共に歩きながら、蓮先輩は私に振り返って、唇に笑みを刻んだ。
 私は蓮先輩に小さく会釈を返す。

 「相変わらず、明紗は芸能関係のスカウトも多いんだ?」
 「なくはないけど」
 「久瀬先輩。明紗がそういうの全部断ってること知ってたの?」
 「話したことはない」
 「察してくれたってわけか。何か、久瀬先輩って明紗のこと好きじゃない?」

 柚乃の一言に目を(みは)って、隣に顔を向けると、柚乃は私の反応を観察するかのように上目で見上げていた。

 「嫌われてはいないと思う」