流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 放課後、柚乃と並んで男子バレー部が活動している第二アリーナに向かうのはすでに日課となっている。

 「あの弓木明紗が彼氏の久瀬蓮と一緒に居て笑顔を見せてたって話題になってたよ」
 「私、普通に笑う」
 「ユズは明紗のそういうところわかるよ。でも、明紗は小学生の頃からクールビューティーなイメージ強いでしょ。その分、笑った時の破壊力えぐすぎるけど」

 昔から私の言葉も行動も関心をもたれる分だけ表現するのが怖くて、あまり喋らなくて感情を表に出さないように気を付けていたことがクールビューティーだと良い風に変換されているだけ。
 私だって楽しいも、痛いも、悲しいも、恥ずかしいも、つらいも、ちゃんと思うし、感じている。

 「実際に久瀬先輩と明紗の距離が縮まるの、ユズちょっと複雑」
 「何で?」
 「明紗はやっぱりユズのものでいてほしい」
 「私は誰のものとかないよ」

 私は一生、流星に恋焦がれながら生きていくんだと思う。
 あの綺麗な指先で髪や指に触れてほしい。
 肉体すらないのに、今でも一番強く、流星に触れられたいと願ってしまう。

 「そういえば、志恩先輩から図書室で聞いたんだけど、体育が終わってハンドボール片づけた後に志恩先輩と久瀬先輩に会ったじゃない?」
 「うん」
 「あの時さ、向こうは志恩先輩たちに最初は気づいてなかったみたいなんだけど。3年の男たちが明紗を見て廊下で騒いでたらしくて」
 「騒ぐ?」
 「それがちょっと下品っていうか、明紗が体操服だったから、痩せてるのに胸が大きいとかそういう話から、どういうシチュエーションで明紗とHしたいかとか、下劣な話で大盛り上がりしていたんだって。ユズが聞いてたら殴りに行ってたかもしれない」

 誰に何を話されていても仕方ないと思ってはいるけど、さすがに他の人が聞いている場で自分のそういう話をされるのは気分が良いわけがない。

 「志恩先輩ね。あの時ユズに話しかけながら、久瀬先輩がキレるんじゃないかとヒヤヒヤしてたって」

 何で蓮先輩がキレる必要があるんだろう。
 表向きでも彼女のことを好き放題に言われていたら、嫌なのかもしれないけど。

 「けど、あの時さらっと久瀬先輩が明紗は自分のものだって宣言したじゃない。その時の3年の男たちの屈辱的な顔が快感だったって、志恩先輩が言ってたよ。ユズも見てやりたかった」

 私が自分のものだって宣言?

 『俺、明紗が彼女でかなり浮かれてる』

 蓮先輩のあの台詞の裏にはそんなことがあったのか。
 少なくともまた知らないうちに蓮先輩に私は助けられてたってことは確か。