流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 また、どこまでも流星のことばかり考えて現実から切り離されそうになる。
 漂い始めたら沖に流されて、もう帰ってこられなくなるような……。

 「──明紗?」

 そんな私を引き戻してくれる久瀬先輩からの明紗って響き。
 今日の体育の終わりもそうだった。

 「呼び捨ては先輩だから出来ないです」
 「無理しなくていい」
 「蓮……先輩?」

 久瀬……蓮先輩と混ざった視線の先、驚いたように見開かれた後に蓮先輩は視線を私から外した。
 何となく蓮先輩が照れているのが伝わってきて、私まで気恥ずかしくなってしまい、おにぎりポリスに指先で助けを求めてしまった。

 「おにぎりポリス、かわいい」
 「気に入ったなら、これ、やろうか?」
 「それは妹さんに悪いので」
 「別にいいって。ガチャか何かだろ」
 「じゃあ、明日もつけてきてくれますか?」

 そう蓮先輩に伝えていたら、周りの声が耳に飛び込んできた。

 「珍しい。弓木明紗が笑ってんだけど」

 昼休みのフリースペースなだけあって、蓮先輩と私は興味を引く対象になっていたようだ。

 「やっぱり、めっちゃかわいい。隠し撮りしちゃう?」
 「ばれるって」

 隠すも何も私に筒抜けだ。
 昔から許可もなしに私の写真や動画を撮られることが多いのは知っていた。
 余り良い気分はしないし、撮っているほうは本人にバレていないと思っているのかもしれないけど、結構伝わっている。
 何となく顔を隠したくて、俯きがちになった。

 「屋上庭園でも行くか?」
 「?」
 「最近、行ってないだろ」
 「そうですね」
 「俺も行ってない」

 蓮先輩も私が表向き彼女ってことになったから、告白の呼び出しが減っているのだろうか。

 「ライラック見たい」

 ここだと他の生徒の好奇の目がいくつもあるから蓮先輩は場所を変えようと気を遣ってくれているんだろう。

 「はい」

 私も素直に応じることにした。
 告白の呼び出し以外で初めて訪れた屋上庭園は生徒はまばらに居たけれど、白・ピンク・紫の花が見頃に彩られたライラックの鉢が並んだ前のベンチは空いていて、そこで昼休みの残りの時間を蓮先輩と過ごした。
 蓮先輩は特に花に詳しいわけではなく、上の妹さんの好きなアーティストの曲で『ライラック』があって、それで花を覚えたらしい。
 蓮先輩の妹さんたちの話を聞いていると、蓮先輩って良いお兄ちゃんなんだろうと自然と伝わってきた。
 私の兄妹のことを聞かれた時は、少し気まずいながらも2つ年上の兄は中学卒業後に家を出て高校で寮生活を送っていると教えておいた。

 「何か、明紗と久瀬先輩いい感じに昼休み過ごしてたんだって?」