流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 全面人工芝の第一グラウンドから本校舎近くの体育倉庫へとハンドボールがいっぱいに入っているキャスター付きのかごを柚乃が押していく。

 「柚乃。変わるよ」
 「重いってわけでもないからいいよ。ユズがやるって言ったんだし」

 そう答える柚乃だけれど、たぶん私に気を遣って人の輪から連れ出してくれていた。

 「明紗。ユズが言うのもなんだけど、久瀬先輩との関係、今のままだと嘘だってみんなにバレると思うよ」
 「私もそう思う」
 「並んでるだけで絵になる二人だけど、クールなカップルって言っても限度あるじゃない? 久瀬先輩と明紗って、目も合わせないし、話さないし、ただでさえ、学校一の美男美女がくっついてみんなの注目を浴びてるんだから」

 わかってはいる。
 こんな淡白どころか笹沼先輩と柚乃がいなかったら何の繋がりもない私と久瀬先輩の様子が不自然なことくらいは。
 柚乃も私が傍にいなくても、もう笹沼先輩と普通に喋れるだろう。
 確かに告白の呼び出しなどがなくなって安堵はしているけれど。

 「表向きだけとは言え、もう少しだけ久瀬先輩と恋人らしくしてみたら?」
 「出来ない」
 「何で?」
 「……」

 毎回、久瀬先輩が他に好きな子がいると伝えて告白を断っていたことを柚乃に言ってもいいのかわからなくて唇を閉じる。
 そもそも恋人らしいというのはどうしたらいいのかなんてわかるわけない。
 体育倉庫にハンドボールの入った籠を閉じ込めて、柚乃と本校舎の昇降口へ向かって歩いている時だった。

 「おーい柚乃! 3限は体育?」

 本校舎の1階廊下を歩いていたのか、窓を開放した笹沼先輩が外回りを歩く柚乃に声をかけてくる。
 お約束のように隣には久瀬先輩がいて、さっきまで久瀬先輩の話をしていただけに意識が自然と向かってしまって何となく居心地が悪い。

 「そう。やっと体力テスト今日で終わった!」
 「お疲れさま。柚乃、どうだった?」
 「ユズは大体5点。明紗は体力テストほぼ満点でクラスで一番だったけど」
 「弓木さんって入学早々、各運動部からの勧誘がすごかったって聞いたことある」
 「明紗って4月はそういう呼び出しも多かったよね」

 笹沼先輩と柚乃が会話している横で久瀬先輩と私はお互いに無言。
 何か話したほうがいいのか、目線くらいは向けたほうがいいのか。

 「弓木さんが髪の毛、縛ってるの初めて見た」

 笹沼先輩に指摘されて、私は今、髪の毛を2つに結んでいることを思い出す。
 体育の時間は大体こうしている。

 「そういえば明紗。普段はヘアアレンジとかしないで、おろしてるもんね。その分、体育の時に髪の毛を結んでいる明紗が眼福で尊いの」
 「ああ。弓木さんってポニーテールとかも似合いそう」
 「そういえば明紗ってポニーテールしないよね?」