流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 ***

 『そんなこと言って俺と同じ高校、行きたいくせに』

 これって本当に流星の顔なのかな。
 私と流星が一緒に映った写真はおろか、流星個人の写真だって一枚も手元にない。
 写真を撮ったことなんてなかったから。
 だから、私の記憶の中の流星の顔が、実際に流星の顔だったのか不安になる。
 日を重ねるごとに怖くなる。
 夢の中でなら会えるだとか、そんな絵空事に思いを馳せられるほど幼くいられない。
 夢でも現実でもどこでだって流星には二度と会えない。
 奇跡なんてものにすら(すが)らせてくれない。

 「──明紗。大丈夫?」

 次に目が覚めた時には私を心配そうに覗き込む柚乃の顔がそこにあった。

 「柚乃……?」

 第二アリーナで男子バレー部を見学していて、そこから記憶が途切れている。

 「明紗。いきなり体育館で倒れちゃったからびっくりした。ここは保健室だよ。今は保健の先生いないけど、貧血だと思うって言ってた。大丈夫?」

 私は保健室のベッドに寝かされていたようだ。
 上半身をゆっくり起こしていく。
 体調が悪いわけではないけれど、どこか霞がかったように意識がおぼつかない。

 「うん。身体は大丈夫そう」
 「明紗、無理しないで。倒れた時に頭は打っていないって先生は言ってたけど、今日はユズともう帰ろう」
 「ごめん、柚乃。バレー部の見学できなくなったよね」
 「そんなのどうだっていいよ。ユズは明紗のほうが大事」

 保健室の壁時計を確認すると17:15を指していた。
 私はそこまで長い時間、倒れていたわけでもなさそうだし、今から帰れば塾にも充分間に合う。

 「久瀬先輩が明紗を保健室まで運んでくれたの」
 「え?」
 「ユズなんて明紗が倒れて、びっくりしておろおろしてただけなのに、久瀬先輩はすぐに明紗に駆けつけてたよ。何か王子様みたいだった。第二アリーナ中が騒然となってたんだから」

  久瀬先輩が私を運んでくれたんだ。
  また久瀬先輩に助けられてしまった。

 「失礼しまーす」

 保健室の引き戸が開き、

 「あ。弓木さん目を覚ましたんだ。大丈夫?」

 と、笹沼先輩が保健室にやってきた。
 背後に久瀬先輩を伴って。

 「大丈夫です。ご迷惑をおかけしてすみません」
 「迷惑なわけないでしょ。俺たち、すぐに第二アリーナに戻らないといけないけど」
 「ユズも明紗ともう帰りますね」

 久瀬先輩たちは部活の休憩中に抜けて私の様子を見に来てくれたらしい。
 笹沼先輩と柚乃の会話を聞きながら、周りに負担をかけている自分に言葉を失う。
 何で私はこんなに弱ってしまったんだろう。
 誰にも見せないって決めているのに。

 「ああ、そうだ。弓木さんに俺から一つ提案があるんだけど」