流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 男子バレー部の面々が私たちをちらちら見ながら、何かを話しているような気がする。
 その輪に入っていない笹沼先輩は柚乃の姿を認識すると、こちらに手を振ってきた。
 咄嗟に柚乃は私の背中へとその身を隠し、顔だけを覗かせて笹沼先輩に手を振り返す。
 余りにも初々しすぎる柚乃の反応がかわいらしいと思っているのは笹沼先輩も同じだろう。
 はたと気づくと、笹沼先輩の隣に居る久瀬先輩と目が合った。
 ここで久瀬先輩を見つめているのも良くないと思って、私の背後にくっつく柚乃に焦点を向ける。
 そのうちに男子バレー部は号令がかかって、伝達と準備体操から部活動を開始し始めた。

 「明紗が居てくれなかったら、ユズここで気絶してたかも」
 「いつもの柚乃でいたら大丈夫だよ」
 「それが笹沼先輩と居ると、いつもの自分がよくわかんなくなっちゃうの」

 柚乃は私の右腕を抱きしめたまま、バレー部の練習に専念している笹沼先輩を見つめ続けている。
 完全なる恋する瞳というのはこういうことだろう。
 基礎練習の一つなのか、バレー部は今は二人一組でパス練習をしている。
 久瀬先輩と笹沼先輩が一緒に組んで行っていた。

 「ってか男子バレー部の連中、明紗を意識しすぎ。ユズの明紗をじろじろ見るな」

 そう大きな目をとがらせて言い放つ柚乃はいつもの柚乃っぽいけれど。
 きっとどちらの柚乃も柚乃自身だと思う。

 「すみません。弓木さん、ボールとってもらえませんか?」

 さっきからやけに私のところにバレーボールが転がってくる。
 膝を曲げて足元に回転してきたボールを拾って、ボールを投げ返す。
 これで同じことを繰り返すの何回目だろう。
 全部、別の人なんだけど。

 「あざっす!!」

 そう答える男子バレー部の部員がにやにやと笑っていた。
 ああ、これ、わざとされているのか……。

 「弓木さん。ボールがそっちに……」

 少しうんざりとした気持ちに支配されてきつつ、またバレーボールが私の足元に転がり込む。
 仕方ないから拾おうかと膝を曲げようとした時のことだった。
 ──ドォォンッ。
 ものすごい時速でバレーボールが飛んできたかと思うと、誰も居ない壁へと勢いよくぶつかって跳ね返った。
 私からは少し離れた距離だったけど、びっくりして動作が止まる。
 その時の衝撃音で一瞬で体育館内が静まり返った。

 「真面目に練習やらねぇヤツは帰れよ。邪魔」

 発信源は背筋が凍るほど不機嫌な様子の久瀬先輩だった。
 2年だというのに3年の先輩にも一切躊躇のない物言い。

 「いやー、わざとじゃなかったんだけど」

 最後に私に声をかけていた部員は慌てた様子で走ってきて自分でボールを拾うと、また練習に戻っていった。

 「ほんっと男子ってバカだよねー。久瀬先輩が言わなかったらユズが文句言ってたよ」