流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 「流星と待ち合わせ?」
 「ん。SLの前で夜、待ち合わせしよ」

 流星に柔らかく微笑まれて、聞き返したい言葉を一度飲み込んだ。
 だって、SL公園。来週の木曜。
 その意味がわからないほど、私もにぶいわけではない。

 「あ、でも明紗を夜道歩かせられないから、駅から公園までのバス調べておいた。後で送っておく」
 「うん。ありがとう」

 昼休みが終わっても、ずっと何かにせき立てられているように胸の辺りが落ち着いてくれなかった。
 5時間目の英語の授業を受けながら、流星のことが頭を占めていて。
 流星が私の家でお兄ちゃんに勉強を教えてもらっていた時、確かに言っていた。

 『明紗。俺さ、7月7日が誕生日で』

 来週の木曜は七夕。
 7月7日は流星の誕生日だ。

 『そこのSLの前でどちらかの誕生日に告白して付き合った2人は永遠の愛で結ばれるって』

 前にクラスメイトに聞いたことを流星に伝えたけれど、噂レベルの話で別に深い意味があったわけでなくて。
 これはたぶんというより、確実に。
 ──私は流星に告白される。
 そう認識したら、ひとりでに顔が赤くなってきた。
 流星は自分の誕生日を私が覚えてるってわかっている。
 その日に私と流星がSL公園で待ち合わせする意味を理解するだろうって知っておきながら、そうしたのだろう。
 直接じゃない予告告白。
 とてつもなくずるい……。
 こんなドキドキのバロメーターが壊れた状態であと1週間その日までどう過ごせばいいというのだろう。
 流星が私を好きなことを私は知っている。
 私が流星を好きなことも流星は知っている。
 この絶妙で微妙で曖昧で、でも特別な距離感が楽しくて、心地よくて、浸っていたいのも事実で。
 裏腹に少し物足りなかった気持ちも無視できなくて。
 私は流星の彼女になりたい?
 というよりは、私は流星の特別でありたいのほうが正しいのかもしれない。
 処理しきれない気持ちを抱えたまま、6限の体育館で行われた壮行会で流星のバレー部のユニフォーム姿を初めて見た。
 澄み切った青空みたいな水色ベースに黒色の文字で1と数字が書かれていた。
 バレー部の部長を務めているのは三高に合格するためなのか、流星の実力なのかわからないけど、流星には1番がよく似合っている。
 男子バレー部がステージに上がっている時に、流星と目が合ったような気がしたのはきっと偶然じゃない。
 名字のために体育館のほぼ一番後ろに整列している私を流星は簡単に見つけてくれる。