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本格的に部活動をしていない私には実感が薄かったけど、一学期の期末テストが終わり、7月ともなると、どの部活も3年生は最後の大会が始まり、負ければ部活を引退し、本格的に高校受験へと移行する。
だからクラスメイトたちが休み時間に折り鶴を折っていたり、寄せ書きのメッセージを書いたりしているのかと合点がいく。
そういえば先月収集された第二回目の中央委員会でも3年生の壮行会について、議題のひとつに上がっていた。
流星が遠い席からアイコンタクトを私に送ってくるから、対応しつつ聴いていたのを思い出す。
今日も昼休みに流星と体育館裏で過ごしている時に話題に出してみた。
「今日の6限のLHR、体育館で部活の壮行会あるよね」
「そう。3年は全員部活の大会用ユニフォームに着替えて出ないといけないの」
そういえば流星がバレーのユニフォームを着ている姿を見たことがない。
それどころか流星がバレーをしている姿すら見たことがなかった。
バレーに打ち込んでることはわかる。
流星が活躍してるだろうことも周りからいろいろ勝手に耳に入るけど、私は見学に行くことすら禁止されていた。
「楽しみかも」
「え? 何が? ユニフォーム着てる俺のこと?」
「うん。そう」
バレーしてる流星を見たくないわけじゃない。
お兄ちゃんにこっそり聞いて、流星に内緒で最後の大会を見に行ってしまおうか。
どこでやるのかはわからないけど、地区大会だったらそう遠くないはず。
「明紗って、さりげなく俺の心、鷲掴みにするよね」
流星はバレーボールを両手でクルクル器用に回しながら、少しだけ悔しそうな表情を象る。
「俺、高校は三高に行きたいの」
「三高?」
「そう。朝比奈第三高等学校。いつか明紗に青中まで告白しに来てたイケメンが居たよな」
「三高って偏差値高いよね」
言わずと知れた都立の名門校。
確か文武両道の超難関校な位置づけだったはずだ。
「わかってる。でも、絶対に三高でバレーする」
両手に収まったバレーボールを見つめながら、”したい”ではなく、そう流星は言い切った。
「ずっと頭に思い描いてきた。春高で三高の黒いユニフォーム着て、プレーしてる自分の姿」
流星は本当にバレーボールが好きなんだと。
いつもよりもその薄茶色の瞳がきらきら輝いたように見えて、不思議とまぶしく感じられた。
バレーに詳しくはないけれど、春高って、確か高校バレー界の最高峰の大会、春の高校バレーのことであっていると思う。
「生徒会長やってるのは内申あげるためだし、死に物狂いで勉強もしないといけないけど」
「私も」
「ん?」
「三高、目指そうかな」
そう私が告げた後、流星の目線の先がバレーボールから私に移される。
「何で? 明紗も三高、行きたいの?」
「都立の名門だし、元々少し考えてた。制服もかわいいから」
「そんなこと言って俺と同じ高校、行きたいくせに」
「うん。それもある」
素直にそう答えると、流星の耳が少し赤く色づいたような気がするのは気のせいだろうか。
「明紗。さらっとそういうこと言っちゃうの、ほんっと何なの」
「もちろん、もっとちゃんと調べるけど。流星、やだ?」
「何言ってんの。嬉しすぎてやばい。明紗と三高行けるなんて思わなかった」
「仮に私と一緒でも1年間だけだよ」
「いや、充分だって。俄然やる気出てきた。明紗は成績いいって聞いてるから大丈夫そうだけど、俺が落ちたらやばい」
「私はいざという時に進路の選択肢が狭まらないよう勉強を積み重ねてきてるから」
「また、ど正論やめて」
隣に座ってきた流星が本当に嬉しそうな表情を浮かべているから、私まで連鎖されるように微笑んでしまう。
本格的に部活動をしていない私には実感が薄かったけど、一学期の期末テストが終わり、7月ともなると、どの部活も3年生は最後の大会が始まり、負ければ部活を引退し、本格的に高校受験へと移行する。
だからクラスメイトたちが休み時間に折り鶴を折っていたり、寄せ書きのメッセージを書いたりしているのかと合点がいく。
そういえば先月収集された第二回目の中央委員会でも3年生の壮行会について、議題のひとつに上がっていた。
流星が遠い席からアイコンタクトを私に送ってくるから、対応しつつ聴いていたのを思い出す。
今日も昼休みに流星と体育館裏で過ごしている時に話題に出してみた。
「今日の6限のLHR、体育館で部活の壮行会あるよね」
「そう。3年は全員部活の大会用ユニフォームに着替えて出ないといけないの」
そういえば流星がバレーのユニフォームを着ている姿を見たことがない。
それどころか流星がバレーをしている姿すら見たことがなかった。
バレーに打ち込んでることはわかる。
流星が活躍してるだろうことも周りからいろいろ勝手に耳に入るけど、私は見学に行くことすら禁止されていた。
「楽しみかも」
「え? 何が? ユニフォーム着てる俺のこと?」
「うん。そう」
バレーしてる流星を見たくないわけじゃない。
お兄ちゃんにこっそり聞いて、流星に内緒で最後の大会を見に行ってしまおうか。
どこでやるのかはわからないけど、地区大会だったらそう遠くないはず。
「明紗って、さりげなく俺の心、鷲掴みにするよね」
流星はバレーボールを両手でクルクル器用に回しながら、少しだけ悔しそうな表情を象る。
「俺、高校は三高に行きたいの」
「三高?」
「そう。朝比奈第三高等学校。いつか明紗に青中まで告白しに来てたイケメンが居たよな」
「三高って偏差値高いよね」
言わずと知れた都立の名門校。
確か文武両道の超難関校な位置づけだったはずだ。
「わかってる。でも、絶対に三高でバレーする」
両手に収まったバレーボールを見つめながら、”したい”ではなく、そう流星は言い切った。
「ずっと頭に思い描いてきた。春高で三高の黒いユニフォーム着て、プレーしてる自分の姿」
流星は本当にバレーボールが好きなんだと。
いつもよりもその薄茶色の瞳がきらきら輝いたように見えて、不思議とまぶしく感じられた。
バレーに詳しくはないけれど、春高って、確か高校バレー界の最高峰の大会、春の高校バレーのことであっていると思う。
「生徒会長やってるのは内申あげるためだし、死に物狂いで勉強もしないといけないけど」
「私も」
「ん?」
「三高、目指そうかな」
そう私が告げた後、流星の目線の先がバレーボールから私に移される。
「何で? 明紗も三高、行きたいの?」
「都立の名門だし、元々少し考えてた。制服もかわいいから」
「そんなこと言って俺と同じ高校、行きたいくせに」
「うん。それもある」
素直にそう答えると、流星の耳が少し赤く色づいたような気がするのは気のせいだろうか。
「明紗。さらっとそういうこと言っちゃうの、ほんっと何なの」
「もちろん、もっとちゃんと調べるけど。流星、やだ?」
「何言ってんの。嬉しすぎてやばい。明紗と三高行けるなんて思わなかった」
「仮に私と一緒でも1年間だけだよ」
「いや、充分だって。俄然やる気出てきた。明紗は成績いいって聞いてるから大丈夫そうだけど、俺が落ちたらやばい」
「私はいざという時に進路の選択肢が狭まらないよう勉強を積み重ねてきてるから」
「また、ど正論やめて」
隣に座ってきた流星が本当に嬉しそうな表情を浮かべているから、私まで連鎖されるように微笑んでしまう。



