流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 これ以上、抗議したところで流星にうまく流されてしまうのはわかっていた。
 それに流星が罪悪感なんて少しも感じていないことも……。

 「学代にまでなって俺に近づきたかった?」
 「……」
 「わかってるよ。またみんなに選ばれちゃったんでしょ? 明紗はイイコだから」
 「……」
 「ほんっと、明紗かわいいよね」
 「私、かわいいって言われたくない」

 挑むように目線を尖らせたまま、流星に答える。
 また胸のうちに秘めておいた本音を流星にぶつけてしまった。
 流星は目を見張った後、すぐに笑顔に戻る。

 「うん。明紗はかわいくないよ。生意気だからね。──俺の前でだけ」

 流星にかわいくないと言われて、生意気だと言われて、嬉しいなんて私はおかしいのかもしれない。
 流星は自分の前でだけ私のイイコの仮面が剥がれることをよく知っている。
 それが何となく悔しくて、ずるくて、心地よかった。

 「バレー部の練習、見学してから帰る」
 「え?」
 「流星は私にバレー部の部室まで送ってほしいんでしょ? 行こう」

 無遠慮に私の指で遊んでいた手を離し、流星の腕を引っ張って歩行を促す。
 けれど、流星は一歩も動いてくれなかった。

 「え? 明紗いきなり何」
 「流星がバレーしてるところ見たい」
 「ちょっと待って。無理無理。明紗が見てると思ったら俺、バレーに集中できなくなる」
 「練習試合もあるんだよね。私、応援しに行く」
 「それはもっと無理」
 「いつ、どこで? 相手は河津中であってる?」
 「やだ。本当に明紗は来ないで。絶対に相手の学校の奴ら、みんな明紗に夢中になる」
 「流星が教えてくれないなら自分から聞く。同じクラスで男子バレー部って誰……」
 「明紗、ごめん。俺が悪かったから」

 結局、バレー部の見学は頑ななまでに流星に拒否されて私が行くことはなかった。
 けれど、後日、学代の1年男子の子から
 「あの時のこと、榊先輩に謝罪されたんだよね。弓木さんと喋ってたのは俺だったから全然気にしてなかったんだけど、びっくりした」
 と、教えてもらった。
 流星が1年生に素直に謝るなんて想像がつかない。
 私に言わなかったってことは私に知らずにいてほしいことだと思って、私から流星には聞かなかった。