流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 容赦のない低い声に、学代の1年男子はビクッと大げさなほどに肩を震わせた。
 その発生源は一番前のど真ん中に鎮座する流星だった。

 「私語は慎め。うるさい」
 「あ、すみません……」

 いつもは柔和でどことなく甘さを漂わせて喋る流星と別人のように機嫌の悪さを前面に押し出した警告。
 学代の1年男子はみるみるうちに縮こまって謝罪した。
 私たちだけ注意されるのは何となく納得いかない。
 他の人たちだって雑談くらいしていたと思う。
 流星の一声に生徒会室に居た全員が黙ってしまっていた。
 お兄ちゃんだけは流星の隣で必死に笑いをかみ殺していたけれど。

 「令和○年度 第1回 生徒会本部中央委員会を開催します」

 議事進行を務めているお兄ちゃんが、重々しい空気で始まった生徒会の中央委員会を進めていく。
 今回収集されているメンバーは生徒会執行部の生徒会長、生徒会副会長、会計、書記、庶務からなる5名と各委員会の3年の委員長が10名以上、それに1年2年の学代男女計4名が加わっている構成。
 生徒会からの通達、各委員会から生徒会への報告・連絡・相談が主な目的だと司会のお兄ちゃんが全体へかいつまんで説明してくれていた。
 ここに居る1年は私ともう1人の学代男子の2人だけらしく、他はみんな上級生で3年生が主だということだろう。
 そういえば学代に決まった時に学級委員会を担当している厳格な先生に
 「1年の学代は次代の青中を担っていく大事な役割だ。2人には期待してるからしっかりな」と、激励されていた。
 第1回目とあってか各自の自己紹介から始まっている。
 生徒会長なだけあって、流星は一番最初だった。
 さっきまでの機嫌の悪さが嘘のように、いつも通りどことなく余裕げな流星。
 そこに居る流星とここに居る私が昼休みにバレー部の部室で肩を寄せ合っていたなんて、他の誰も知らないだろう。
 何かそれが流星と秘密を共有しているみたいで、胸に灯った熱が顔の温度も上げていく。
 あのいつもバレーボールに触っている繊細な手を私から握ってしまった。
 無意識のうちに流星の長い指先を見つめていたら、流星が私を見遣った時に目が合ってしまう。
 反射的に逸らそうかと思ったけど、さっき私たちだけ流星に叱られたことに少し腹が立ってたから、ずっと真顔で見つめ返してみた。
 一番目立つ場所に座っていて大っぴらな反応はできないためか、流星は少し唇を尖らせて目線を正面へ戻す。
 それだけで、ちょっとした優越感に浸る私は流星の言う通り生意気なんだろう。
 1年の学代で女子の私は1番最後の挨拶だった。

 「1年の学年代表の弓木明紗です。よろしくお願いします」

 立ち上がって無難に挨拶を済ませていると、「ああ、あの子が」と少しざわめいたのが聞こえた。