流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

 ***

 今日の6限に設定されているLHRの時間は各委員会活動の時間だった。
 クラスメイトの推薦で学級委員になってしまった私。
 学級委員の中から更に各学年で男女1名ずつ選ばれる”学年代表”と呼ばれる学代(がくだい)にも私は選出されてしまった。
 そのために放課後行われる生徒会執行部の中央委員会なるものに学代も参加する必要があるらしい。
 生徒会室は3階の一番端の音楽室の手前にあって、入室するとロの字型に会議テーブルがレイアウトされていて、すでに席がほぼ埋められていた。

 「あれ、明紗。1年の学代だったんだ」

 すでに着席していた生徒会副会長であるお兄ちゃんが私の姿を認めるなり、声をかけてくる。
 嫌でもお兄ちゃんの隣に座っている流星が目に入ってきてしまう。
 生徒会長なんだから当然といえば当然なんだけど。

 「何か、選んでもらって」

 昼休みのあれがあったばかりで流星と顔を合わせるのはさすがに気まずすぎて、お兄ちゃんだけに視線の先を注いでしまう。

 「結構、学代大変なんだよ。学級委員やりながら生徒会の補佐もさせられるから」
 「そうなんだ。全然知らなかった」

 自分の席はどこだろうと室内に目線を走らせていたら、

 「弓木さん。こっち」

 と、同じ1年の学代の男子が呼んでくれた。

 「じゃあね、お兄ちゃん」

 流星が私に構ってこないなんて珍しい。
 私は1年の学代の男子の隣に椅子を引いて着席する。
 生徒会長である流星が座る真ん中とは一番といっていいほど遠い位置だった。

 「弓木さんって奥谷(おくや)先生にピアノ習ってる?」

 出し抜けに私を呼んだ1年の学代の男子から質問を受ける。
 確か3組だったと思うけど、私と身長は同じくらいで、まだぶかぶかの制服に着られているような大きな瞳が印象的な子。
 どちらかといえばかわいらしいという形容が似合う人で、もちろん私とは喋ったことも面識もないはずだった。

 「うん。そうだけど……」
 「やっぱり! 俺の妹、小1なんだけど、去年の年末に発表会に初めて出たから俺も家族でホールに見に行ったんだよね。その時に弓木さん見たよ。確か最後から2番目くらいに弾いてなかった?」
 「うん」
 「それまで申し訳ないけど、ほぼ発表会の間は寝てたんだけどさ。凛としためちゃくちゃ綺麗な女の子が出てきたからびびって目が覚めたの! パンフレット見たら小6で弓木明紗って書いてあったから俺と同じ年齢なのに大人っぽいし、ピアノもうまいしで印象に残ってた。確か何だっけ……」
 「あの時はブラームスの8つのピアノ小品OP76の第1番と第8番」

 ここでピアノの時の自分の話が出ると思わなくて、つい普通に学代の1年男子と喋ってしまっていた。
 男の子の目が宝石みたいにキラキラと輝かせながら純粋な賛辞を送ってくれるから私も何だか嬉しくなってしまっていて。

 「ちょっと曲名とかよくわかんないけど、すっごい印象に残ってた! 入学式で弓木さんの新入生代表の挨拶見た時にあの時の子だって俺、興奮しちゃって……」
 「──そこの1年」