流れ星を追いかける君と、輝く夜明けに。

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 中学校に入学して1ヶ月ともなると、いつの間にか制服を着て通学路を歩くのも1年1組の教室に入るのも当たり前になっていた。
 GWが過ぎ去れば、1年1組の教室前の廊下へと人だかりまでは出来ることもなくなっていたし、クラスでは最初に給食で同じ班だった女の子を介して、話す女の子も増えている。
 青中に入学してわかったことと言えば、流星とお兄ちゃんの存在感は学校内で群を抜いていて、アイドル……それよりも遥かに手の届かないスター的な二人だとクラスの子たちに教えてもらった。
 バレー部のエースで生徒会長、どこか甘く、柔らかい雰囲気をまとう流星と剣道部に所属していて生徒会副会長、一見近寄りがたく硬派なお兄ちゃん。
 それぞれ人気のあった二人が中二の秋から生徒会で一緒になって絡むことが増えたからか、榊流星派か弓木天音派か2人セットでもてはやされるようになったという。
 そんな流星と私は昼休みの半分を一緒に過ごしている。
 晴れた日は体育館の裏、部室棟の前で。
 雨の日はバレー部の部室で。

 「天音より絶対俺のほうがモテると思うんだけど」

 私と過ごす昼時間、流星はいつもバレーボールを触っている。
 まるで自分の身体の一部でもあるかのように。

 「流星はお兄ちゃんよりモテたいの?」

 私が腰かける外階段周りの草木の緑色の濃度が深くなったような気がした。
 ここを吹き抜ける風が少し湿り気を帯びだし、日差しの強さは入学した頃より明らかに増している。

 「天音に負けたくないだけ」

 相変わらず何の狂いもないトスを真上に放り続ける流星。

 「天音ってなんでも出来て完璧じゃん。しかも、タワマン住んでるし」
 「……」
 「よく比較されてたのも知ってたし」
 「……」
 「生徒会で一緒になったから、天音の欠点探しまくってやろうかと思ったんだけど。むしろ、自分の時間割いて勉強まで教えてくれるイイ奴だし」
 「……」
 「ま、もう天音よりモテなくていいか」
 「今日、三年の速見(はやみ)美青(みお)さんって人が教室まで私に会いに来たんだけど」
 「え?」

 私が伝えると、珍しく流星はトスを乱してバレーボールが草木の絨毯の上へと転がった。
 流星がここまで動揺するなんて……。

 「12月頃、流星が言ってた別れちゃった彼女って速見さんって人だったんだ」
 「明紗。美青に何かされた?」

 私の隣に座って、真剣にうろたえている流星。
 レアな流星の姿をしばらく観察していたくなった。

 「私が元カノに何かされるようなことを流星はしたの?」