「そうだったの?」
「そうですよ。私、少しはお役に立てると思うんです!それが嫌なら私を利用してください。それでいいんです」
前のめりになってまくしたてる私を彼は少し引いてみている。私は言い過ぎたと気づいた。
「ふっ、ははは……」
彼は顔を抑えて笑い出した。そして急に黙ると私をじっと見た。
「ある日急に、この先目が見えなくなるかもしれないと宣告された。実際、徐々に見えなくなってきてからは地獄の毎日だった。彼女にもフラれて自暴自棄になりかけた。でも……今初めて、それも悪くないと思えたよ」
「え?」
「いつもは言葉を選んでいた福原さんが、一生懸命僕に気持ちを伝えてくれた。彼女は交際当初から僕と結婚したいと言っていたが、僕らは趣味の話が全く合わなくてね。実は無理かもしれないと思っていたんだ。福原さんと話す度に、こういう人と一生を共に過ごすべきなんじゃないかと迷っていた。僕がどれほど君に揺らいでいたか……到底わからないだろう」
「河合さん……」
「福原さん。僕も君のことが好きだよ。こんな僕でよかったら試しでいいから側にいてくれる?でも無理だと思ったときは、気にせず去ってくれて構わない。僕は今後の自分のメンタルに自信がないんだ。意図せず君を傷つけるような言動をしてしまう可能性がある」
「心配してくれなくてもおそらく大丈夫です。私、これでいて結構辛抱強い方なんですよ。それに、今までで一番こういうことに前向きです。それくらい、河合さんを私のものにしたいの」
言ってしまってから恥ずかしくなり両手で顔を覆い、テーブルに突っ伏した。
「君って……いや、驚いた。すごく大人っぽい落ちついた人かと思っていたら、結構積極的なんだね」
「やめてください。私、今ちょっと必死すぎて……どこか頭が切れていて……おかしいんです」
