魔道具師メイフェザーは意を決して通信用の魔道具を握りしめていた。
その魔道具に魔力を込める。

「はよ出えや・・・」
右足を揺さぶって、貧乏揺すりをしている。
メイフェザーの苛々が伝わってきそうだ。
そして魔道具が繋がった音を奏でた。

「メイフェザーか、こんな夜更けにどうした?」
少々嫌がった響きのある声音だった。

「村長・・・大変やで・・・」

「だから何があった?」

「いよいよやで・・・」

「だから説明せんか?」
村長と呼ばれた者の苛立ちが伝わってきそうだ。
勿体ぶるなと言いたげだ。

「・・・フェアリーバード様が顕現なされたで」

「!!!」
通信用の魔道具からでも村長が息を飲むのが分かった。

「場所はまた美容院『アンジェリ』や・・・」

「そうか・・・遂にか・・・フェアリーバード様が・・・」

「あそこの店長は本当に何者なんや?先ほど説明を受けたが、あり得ん事やで」
もうどうにでもなれとメイフェザーの態度が物語っていた。

「どうしたというのだ?」

「ジョニー店長曰く、フェアリーバード様は店長の元相棒らしいで・・・それも元店長の飼っていた犬が転生したらしい・・・なんでやねん!」

「なんだと?転生?本当なのか?」

「ああ・・・間違いないで・・・そんな嘘はつけるとは思えん・・・それに二人の様子をライゼル元皇太子が目撃してるんや・・・あの人が保証してたで・・・」

「そうか・・・」

「こうなると・・・わてらも遂に動かなあかんなあ」

「分かっている、準備を始めようか」

「頼んだで・・・村長」

「ああ・・・」
プツリと通信は途絶えた。
メイフェザーはポツリと呟いた。

「どないなっとんねん・・・もう知らんがな・・・」
魔道具をテーブルに置くと、メイフェザーはどうにでもなれと肩を落とした。