八犬継承奇譚~封印の珠と復活の怨霊~

千龍が村雨を抜いたその瞬間、考の珠がまた輝く。

「俺たちで作る、新たな継承の形。もう、止まらない!」

だが、銅青はその言葉に微かに笑った。

「継承か、八つの珠などやがて崩れる。第九の因が目覚めればな」

「……第九の因……!?」

美咲が目を見開く。

銅青が背を向け、霧の中へと消えていく直前、呟いた。

「智成様が目覚める時、八つの意志は反転する」

「待て!そいつは誰だ⁉どこにいる!」

景臣が叫ぶが、答えはなかった。
霧がすべてを包み込み、また静寂だけが残る。

風露が散り、銅青が現れ、そして“智成”という名が残された。

犬塚千龍は剣を収め、目を伏せながら呟く。

「扇谷定正の末裔。玉梓の呪いを、今なお受け継ぐ者……」

玲音が静かに言う。

「第九の珠。それが敵か、それともかつての仲間か。答えはまだ、霧の中だ」

そして、護符から零れ落ちた墨の雫が、地に形を描く。

それは、崩れた“八”の文字。

次に来るものは継承ではなく、反転だった。