「これが、美咲の力⁉」

千龍が言葉を失ったまま、式神たちを見上げる。

「七体の式を完全召喚なんて、常人の陰陽師じゃ不可能だ」

玲音が小さく呟く。

「これほどの式を従えるなんて。まるで、安倍晴明の再来だな」

蒼真の目に、畏敬の色が宿っていた。

美咲は静かに口を開く。

「南方封地へ向かう。結界が保っているうちに、根源を絶たなければならない。行こう、全員」

その声に応え、七体の式が動き出す。
緑龍が風を操り、九尾と蛇神がその隙間を舞い、鳳泉の羽ばたきが道を拓く。

そして八犬士たちもまた、珠を携えてその後に続く。

夜空に浮かぶ星々が、彼らの旅立ちを静かに見下ろしていた。