森の奥、黒い影がざわめき、再び怨霊たちが姿を現した。
その数は先の村の比ではなかった。まるで森全体が怨霊の巣窟と化しているかのように。

「来るぞ!」

千龍が叫び、村雨に力を込めて斬りかかった。

怨霊の尖った爪が空を切り裂き、藤雅の火遁術と蒼真の結界が激しく交錯する。

だが、そこへ玲音がゆっくりと前に出た。
彼の碧い瞳が怨霊の動きを一瞬で見抜き、言葉に力が宿った。

「怨霊たちはただ暴れているのではない。誰かの意志に操られ、弱点を隠している」

玲音が手をかざすと、智の珠がその掌で静かに輝き始める。
その光は闇を裂き、怨霊たちの動きを鈍らせた。

「観察せよ、敵の虚を突くのだ」

玲音の指示に従い、一同は連携を取りながら怨霊の隙を突いた。
千龍が村雨で狙いを定め斬り込むと、怨霊のうち一体が崩れ落ちる。

「この力……ただの力任せの戦いじゃない、冷静な判断と的確な行動だわ」

美咲が感嘆の声を漏らした。
やがて怨霊の群れは徐々に押され、森の奥へと後退を始めた。

戦いの終わりに近づいた頃、玲音は息を整えながら言った。

「状況を見極め、最適な手を打つ。それが智の珠の力だ、決して無謀に突き進むだけではない」

千龍は笑みを浮かべて頷いた。

「頼もしい仲間が増えた。共に戦えば、どんな敵も恐れない」

藤雅も肩を叩き、微笑んだ。

「俺たちの戦いはまだ続くが、これでまた一歩強くなったな」

玲音は静かに微笑み返し、仲間たちとの間に確かな信頼が生まれているのを感じていた。

夕暮れの風が心地よく吹き抜け、彼らの絆を優しく包み込んだ。