悪党だらけの乙女ゲームに転生したけど、×亡しすぎて残機が足りない!(溺愛もあるよ★)

「ハッピ~バレンタイ~ン♥」

 私はプレゼントの箱を持って紅龍様の前できゃぴるんポーズをする。

 しかし紅龍様の眼差しは冷たかった。


「……バレンタインから何日経過してると思ってるんだヨ」


 ワタシ、当日ソワソワしてたんだヨーと文句を言う紅龍様に胸キュンしつつ、彼に報告する。

「手作りチョコにこだわったから、時間かかっちゃったんですぅー♥」

 はいっ、どーぞ♥ と差し出すと、紅龍様は何故か恐る恐る包み箱を開けていた。

「紅龍様! 何ですかその爆弾処理班みたいな手つき!」
「ウルセー! オマエが作ったモノ、焼きイモ以外、大概がバクダンだろーガ!」
「ひっどーい! 普通にチョコ溶かして固めただけの平成女児チョコですよ!」
「チョコ溶かして固めただけのモンに、どうして何日も時間かかるんだヨ! つうか、かてぇなコレ!」

 そんなカンジでイチャ♥イチャしてると、壁の端からサングレがハンカチを噛みしめながら見つめていた。

「ボク、しすたぁから、チョコもらってない……」

 い、いかん! 悲しみのあまりサングレが闇堕ち(幼児化)してる!

 キレイなサングレ(大人のサングレは発言キタナイけど)に戻すべく、私はセカンドきゃぴるんした。

「ほ~ら、サングレの分もあるのよ~。おいでおいで~」

 ワンコニャンコを呼ぶ手つきでチッチッと舌を鳴らすと、サングレが飛んできて抱きついた。

「わーい! しすたぁ、だーいすき! やさしい! かわいい!」
「フフ。せやろ? 優しいやろ? もっと褒めてもええんやで?(サングレの顎クイしながら)」

 私がドヤ顔でサングレから頬ずりされてると、紅龍様がチョコを嚙み砕いて、炎を背負っていた。

「オマエ、ワタシの前で堂々と浮気するようになったよナ~……」

 し、しまっ……! ラスボスの前でキレちらかす真似しちゃった!
 サングレも煽るみたいに紅龍様に舌を出しているし!

 と青ざめている私の前で、珠天先生が、どっすんどっすん走って来た。(でかい)

「ディディさん、友チョコ作ってきたから、食べて食べて~」

 珠天先生のチョコは、その体と同じくデッカかった!
 先生の胸板くらいあるデカチョコ(ハート型)に、紅龍様とサングレが『その手があったか!』と白目になっている。

 その後にも茨鬼君が「ディディ様! おれ、チョコ作ってきました! どうぞ」と走って来るし、アリアはユニコーンの角をまた獲りに行ったのか、七色の角が生えた丸いチョコ(どう見ても鈍器)を持ってやってきた。

 モテモテすぎて困っちゃう♥とか、ほざきたい所だけど紅龍様とサングレという嫉妬組の方を見るのが怖い! 
 絶対メッラメラにジェラシって燃えてるから!!

 そうやって、わちゃわちゃしてるとガルーが帰ってきた。
 そういえばコイツ、バレンタインに女の子から高級チョコいっぱいもらってたわね~なーんて思い返しつつ、駆け寄る。

「はい、遅くなったけどガルーの分のチョコ。私の手作りだからキモいと思っても食べてね☆」

 最悪のセリフでチョコを渡す。

 ガルーは「ん。サンキュ」とだけ言って受け取る。
 するとガルーはその場で包みを開けた。
 食べてくれるのね~良い子だわぁ~。

 と思っているとチョコを私の口の中に突っ込まれた! ふぐ!
 それからキスをされる! ふゴ!

 チョコの残る口内を熱い舌が掻き回し、歯列をなぞる。

 突然のディープキスに私がクラクラしていると、ガルーは舌なめずりしてニヤニヤ笑いながら「美味ぇじゃん」と口にした。
 そして頭をポンポンされる。お、お前! 貴様!! 
 モテる男以外がやったら処される真似を!!

 そしてそれを見ていた男連中が騒ぎ出した。

 紅龍「ガルー! テメー! コロス!」
 サングレ「うわぁぁああああああああん! ガルーくん、ずるぅい!」
 アリア「くっ……、このユニコーンの角では同じことができない……」
 茨鬼「い、今のって、何ですか?(童貞力)」
 珠天「茨鬼君、今のはね、ディープキスっていう大人の接吻で……」

 あ~!!もう! うるせー!! となりそうなくらい騒ぐ面々を前に、来年のバレンタインはどうしようかと思う私であった。